開発されに通院中

浅上秀

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初めて旅行に行きます編

3話

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次の日、近藤が出社するとウキウキした様子の後輩が走り寄ってきた。
彼の様子にはなんだか既視感がある。

「近藤先輩、おはようございます」

「おう、どうした、嬉しそうだな」

「はい!慰安旅行の予定が決まりそうで!」

「ほう、そうか」

近藤は慰安旅行には一切興味はなかった。
それよりも昨日確定した真壁との予定が楽しみでしょうがなかった。

「近藤先輩も機嫌いいですね。なんかありました?」

「そうか?いやたいしたことは…」

「あ、近藤さん!おはようございます!」

後輩の女性社員がトコトコと二人に近づいてきた。

「おう、おはよう」

彼女も彼同様に嬉しそうだ。

「近藤さんも、慰安旅行、いらっしゃいますよね?」

彼女は頬を上気させて尋ねてくる。
近藤はパソコンの電源を入れてパスワードを入力している所だった。

「ああ。まぁ予定が合えばな」

「はい!」

彼女は嬉しそうに小走りで自分のデスクに戻っていった。



「じゃあ、そんな感じで頼むよ」

「かしこまりました」

部長の支持を受けて、クライアントとのアポを取ろうとした。
しかし部長に呼び止められた。

「近藤君は慰安旅行に行くのかね?」

「はぁ、まぁ予定が合えば…」

「そうかそうか」

「部長は?」

「ぜひとも参加したいんだがね…休日は家族サービスも大事だろう?慰安旅行に連れていくわけにもいかんし…困ったもんだよ」

「はぁ、そうですか」

「いやいや、呼び止めて悪かった」

「いえ、それでは」



この日、近藤はクライアント先から直帰した。

「ただいま」

家の中は真っ暗で真壁はまだ帰宅していないようだった。
メッセージを送ろうとアプリを立ち上げると、会社の新規のグループラインに招待されていた。

「慰安旅行組…?」

招待されているメンバーは部の全員だった。
ノートが閲覧できたので、メンバーに入る前に開いてみた。

しかしちょうどその時、近藤のスマホに着信があった。

「お、もしもし」

「あ、もしもし、猛?」

「おう」

「今どこ?」

「家」

「え、今日早くない?」

「直帰だったから」

「どっか食べに行こうかと思ったんだけど…家にいるならいいや!」

「いいよ、食べに行こうぜ。病院まで迎えに行く」

「まじか!待ってる!」

近藤は通話の切れた画面を見てふっと笑った。




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