裏クラウドファンディングへようこそ

浅上秀

文字の大きさ
67 / 130
さびれた商店街に出資してみた

2話

しおりを挟む
俺は結局、お楽しみ会の方を選んだ。
申し込んでから数日後、自宅に届いた招待状には集合場所と時間のみが記載されている。
そのお楽しみ会なるものがどのような催しなのか、全くわからないがその日を待ちわびるように俺は仕事に精を出すのだった。
そんな俺はさながら修学旅行が楽しみな学生のようだったのか、後輩が俺を茶かしに来ている。

「先輩、なんかいいことでもあったんですか?」

なんだかニヤニヤした後輩の様子にイラっときたので無言で彼を追い払うのだった。



あっという間にお楽しみ会が開かれるという連休に入った。
開催場所までは駅前からバスが出るらしい。

「ここか…」

駅前の観光バスが多く泊まっているロータリーの一角、招待状を持った人間が何人か流れていくので後に続く。
大きめの観光バスの前ではスーツを着た男性が一人一人の招待状を確認している。
裏クラウドファンディングの人といえば顔がわからないようにマスクや仮面をしていることが多いが、今回は普通に男性は顔を出している。

「お次の方どうぞ」

「あ、はい」

列に並んでいると俺の番が来た。

「確認させていただきます」

運営から届いた招待状を差し出すと、男は中を開いて持っていたペンライトで透かしを映し出した。

「けっこうでございます。バスにお乗りになったら二番の座席にお座り下さい」

招待状を受け取ってバスに乗り込む。
バスの中は一人で二席使えるようになっている。

「二番…はここか」

前から二列目の右側の席に二番と書かれている。
次々に人が乗り込んでくるが、一列目は案内役の男性が乗るのか空席のままだった。
乗ってくる人は男性のみならず女性もいる。
ただ全員共通して連れはおらず一人だ。
まもなくして扉が閉まるとバスの前で案内していた男性がバスガイドのようにマイクをもって話し始めた。

「それでは時間になりましたので出発いたします」

駅前から大きな幹線道路へとバスは進んでいく。
前に乗った時とは違って、目的地が明確になっているせいか窓から外が見れるようになっている。

「本日みなさまを目的地へとご案内し、無事にご自宅までお帰りいただくまでお手伝いさせていただきます木田と申します。どうぞよろしくお願いいたします」

揺れるバスの中で立ったままマイクを持ったまま男性が一礼する。

「このバスは皆様をお楽しみの場所へとご案内いたします。途中、トイレ休憩はございますが、バス後方にもお手洗いはございます。よろしければご利用ください」

後列を振り向くとバスの後ろにはトイレのマークと個室があるようだった。



しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

身体検査その後

RIKUTO
BL
「身体検査」のその後、結果が公開された。彼はどう感じたのか?

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

淫愛家族

箕田 はる
BL
婿養子として篠山家で生活している睦紀は、結婚一年目にして妻との不仲を悩んでいた。 事あるごとに身の丈に合わない結婚かもしれないと考える睦紀だったが、以前から親交があった義父の俊政と義兄の春馬とは良好な関係を築いていた。 二人から向けられる優しさは心地よく、迷惑をかけたくないという思いから、睦紀は妻と向き合うことを決意する。 だが、同僚から渡された風俗店のカードを返し忘れてしまったことで、正しい三人の関係性が次第に壊れていく――

疲弊した肉体は残酷な椅子へと座らされる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...