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CDを出したい路上ミュージシャンに出資してみた
1話
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「お疲れ様で~す。先輩、たまには飲みに行きましょうよ!」
定時でパソコンの電源を落とした俺に隣の席に座っていた後輩が声をかけてきた。
「あ?なんでお前と飲みに行かなきゃいけないんだよ」
俺はあまり人と酒を飲むのが好きではない。
それに酒を飲む金があったら他のことに使う。
「えぇたまにはいいじゃないすか」
俺は後輩の声に聞こえないふりをして荷物を手に帰り支度を始めた。
「じゃ、お疲れ」
「え~、待ってくださいよ!」
エレベーターに向かう俺の後ろをあたふたと追いかけてくる。
「お前もたいがいしつこいな」
「えへへ、よく言われます」
「別に褒めてねぇよ」
結局、一緒に会社を出て後輩と二人で歩き出してしまった。
駅前には居酒屋が多くあるのでそっちのほうに向かう。
「先輩、何か食べたいものありますか?」
後輩がスマホで店を調べている。
「安いとこならなんでも」
「先輩冷たい…じゃあ俺は焼鳥の気分なんでココにしましょ」
後輩が店を勝手に決めたようだ。
ちょうどその時駅前の大きめの広場を通りがかった。
「あ、なんかあそこで歌ってますよ」
後輩が指さす先にはギターを片手に路上ライブをやっている人がいた。
「へぇ、案外人集まるもんなんだな」
「あの人、けっこう歌うまいですもんね」
「は?おまえ、歌とかわかるのかよ」
「こう見えても俺、学生時代はバンドとかやってた口なんですよ~」
ヘラヘラと後輩が笑っている。
ちょっとその顔にイラっとした。
「でもCD出せてその上売れる人なんてほんとに一握りなんですよね…」
そういって少しうらやましそうにギターをもって歌っている青年を眺める後輩の眼差しは少し寂しそうだった。
「…おら、さっさと飲みにいって帰るぞ」
俺は広場からさっさと出ていきたい気分になったので、後輩の腕を引っ張って店に向かって歩き出す。
「はーい!」
後輩は嬉しそうに俺に引きずられながらも視線を青年からそらす。
…
「せぇ~んぱぁい!もう、にょめないれふ」
「はぁ、飲ませるんじゃなかった…」
後輩は何を思ったのかハイペースでビールを飲んでいったが、俺は特段止めなかった。
どうせ明日は休日だし。
ひどい二日酔いでせっかくの休日がつぶれてもこいつの自己責任だし。
「ほら、帰るぞ」
「やぁだ、まだ飲む~」
べろべろの後輩をタクシーで彼のマンションまで送り届ける。
「家着いたぞ、鍵は?」
「んん」
もぞもぞとカバンを指さす。
中から鍵を出して、部屋に入る。
「寝室は?」
「こっち…?」
なぜか自分の家なのに首を傾げながら一つの扉を指さした。
「開けるぞ」
扉を開けると白い大きなベットが一つ、おいてあった。
「生活感ねぇな…おら、さっさと寝ろ」
ベットに身体を放り込むと後輩はすぐに寝入ったようだった。
鍵を外からかかけて郵便受けに投げ入れる。
「鍵、郵便受け、っと」
SNSで後輩に短くメッセージを残して俺は自宅に帰るのだった。
定時でパソコンの電源を落とした俺に隣の席に座っていた後輩が声をかけてきた。
「あ?なんでお前と飲みに行かなきゃいけないんだよ」
俺はあまり人と酒を飲むのが好きではない。
それに酒を飲む金があったら他のことに使う。
「えぇたまにはいいじゃないすか」
俺は後輩の声に聞こえないふりをして荷物を手に帰り支度を始めた。
「じゃ、お疲れ」
「え~、待ってくださいよ!」
エレベーターに向かう俺の後ろをあたふたと追いかけてくる。
「お前もたいがいしつこいな」
「えへへ、よく言われます」
「別に褒めてねぇよ」
結局、一緒に会社を出て後輩と二人で歩き出してしまった。
駅前には居酒屋が多くあるのでそっちのほうに向かう。
「先輩、何か食べたいものありますか?」
後輩がスマホで店を調べている。
「安いとこならなんでも」
「先輩冷たい…じゃあ俺は焼鳥の気分なんでココにしましょ」
後輩が店を勝手に決めたようだ。
ちょうどその時駅前の大きめの広場を通りがかった。
「あ、なんかあそこで歌ってますよ」
後輩が指さす先にはギターを片手に路上ライブをやっている人がいた。
「へぇ、案外人集まるもんなんだな」
「あの人、けっこう歌うまいですもんね」
「は?おまえ、歌とかわかるのかよ」
「こう見えても俺、学生時代はバンドとかやってた口なんですよ~」
ヘラヘラと後輩が笑っている。
ちょっとその顔にイラっとした。
「でもCD出せてその上売れる人なんてほんとに一握りなんですよね…」
そういって少しうらやましそうにギターをもって歌っている青年を眺める後輩の眼差しは少し寂しそうだった。
「…おら、さっさと飲みにいって帰るぞ」
俺は広場からさっさと出ていきたい気分になったので、後輩の腕を引っ張って店に向かって歩き出す。
「はーい!」
後輩は嬉しそうに俺に引きずられながらも視線を青年からそらす。
…
「せぇ~んぱぁい!もう、にょめないれふ」
「はぁ、飲ませるんじゃなかった…」
後輩は何を思ったのかハイペースでビールを飲んでいったが、俺は特段止めなかった。
どうせ明日は休日だし。
ひどい二日酔いでせっかくの休日がつぶれてもこいつの自己責任だし。
「ほら、帰るぞ」
「やぁだ、まだ飲む~」
べろべろの後輩をタクシーで彼のマンションまで送り届ける。
「家着いたぞ、鍵は?」
「んん」
もぞもぞとカバンを指さす。
中から鍵を出して、部屋に入る。
「寝室は?」
「こっち…?」
なぜか自分の家なのに首を傾げながら一つの扉を指さした。
「開けるぞ」
扉を開けると白い大きなベットが一つ、おいてあった。
「生活感ねぇな…おら、さっさと寝ろ」
ベットに身体を放り込むと後輩はすぐに寝入ったようだった。
鍵を外からかかけて郵便受けに投げ入れる。
「鍵、郵便受け、っと」
SNSで後輩に短くメッセージを残して俺は自宅に帰るのだった。
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