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CDを出したい路上ミュージシャンに出資してみた
2話
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後輩を送り届けてから家に戻った俺は早速、パソコンを立ち上げる。
裏クラウドファンディングのページに飛んで最新情報を漁った。
「やっぱりベタなのもありだな」
ミュージシャンになりたくて自主製作でCDを出したいのでお金が欲しい、という青年のページがいくつもある。
「でもこいつら全員、なれるわけでもないのに…」
俺はビール片手に明日の夜の相手を選んだ。
…
休日ということもあり、日中は惰眠を貪り、食べたいものを食べて、たまに部屋の掃除をしてのんびりと過ごしているうちにあっという間に夜になった。
「よし、行くか…」
今日の相手との待ち合わせはちょっと変わっていた。
「自分の歌を聴いてほしい、ねぇ」
指定された駅で電車を降りて、西口の広場にむかう。
そこの大きなモニュメントの前で歌っている、とのことだった。
「ここか」
広場にたどり着いたのはいいが、そこは路上ミュージシャンの聖地なのか、はたまた今日が休日だからなのか歌っている人がたくさんいた。
「おいおいどいつだよ…」
俺は慌ててスマホで連絡ボードを開く。
最近、パソコンから連絡するときだけページが開けるようなシステムができたのだ。
「広場につきました。どこで歌っていますか?っと」
返信を待ちながら、何人かの歌唱を聞いたもののどれも俺には同じに聞こえる。
「あ、返信来てる」
「真ん中でジージャンを着て歌ってますって…歌ってるやつらだいたいみんなジージャン着てんだよ」
俺は一瞬、馬鹿にされてるのかと思った。
が、冷静になってメッセージを返す。
「何か特徴はありませんか?っと、さすがにこれでわかるだろ」
ベンチに座って歌ってる人たちを見渡す。
しかしどうして見た目も歌っている歌も似た人ばかりなのだろうか。
「ベタがいいって言ってもほどがあるよな…あ?赤いバンダナに羽根がついてます、どういうことだ…」
俺の頭の中にはインディアンの絵が浮かんでいる。
「とりあえずインディアンでも探すか」
冗談交じりにそう言いながら広場の一段と人が多い中心を通りがかった時だった。
「はい!皆さんご一緒に!」
観客を煽るミュージシャンの声につられてそちらを見ると、本当にインディアンみたいに頭に羽根を付けた男性がいた。
「おまえかー!!」
俺は心の中でだが思わず叫んでしまった。
立ち止まって観客に交じって歌を聞くが、外見に似合わず意外と普通のJPOPだ。
「ありがとうございました!」
満足げに歌い終えてお辞儀をすると拍手が沸き上がる。
ファンなのか何人かの女性が駆け寄って話しかけたりプレゼントを渡している。
「出資、いらねぇんじゃねーの?」
出資で募られていたのは女の子たち騙せば稼げそうな額だった。
しかし詐欺を教唆するいわれもないので俺は黙って人がいなくなるのを待った。
裏クラウドファンディングのページに飛んで最新情報を漁った。
「やっぱりベタなのもありだな」
ミュージシャンになりたくて自主製作でCDを出したいのでお金が欲しい、という青年のページがいくつもある。
「でもこいつら全員、なれるわけでもないのに…」
俺はビール片手に明日の夜の相手を選んだ。
…
休日ということもあり、日中は惰眠を貪り、食べたいものを食べて、たまに部屋の掃除をしてのんびりと過ごしているうちにあっという間に夜になった。
「よし、行くか…」
今日の相手との待ち合わせはちょっと変わっていた。
「自分の歌を聴いてほしい、ねぇ」
指定された駅で電車を降りて、西口の広場にむかう。
そこの大きなモニュメントの前で歌っている、とのことだった。
「ここか」
広場にたどり着いたのはいいが、そこは路上ミュージシャンの聖地なのか、はたまた今日が休日だからなのか歌っている人がたくさんいた。
「おいおいどいつだよ…」
俺は慌ててスマホで連絡ボードを開く。
最近、パソコンから連絡するときだけページが開けるようなシステムができたのだ。
「広場につきました。どこで歌っていますか?っと」
返信を待ちながら、何人かの歌唱を聞いたもののどれも俺には同じに聞こえる。
「あ、返信来てる」
「真ん中でジージャンを着て歌ってますって…歌ってるやつらだいたいみんなジージャン着てんだよ」
俺は一瞬、馬鹿にされてるのかと思った。
が、冷静になってメッセージを返す。
「何か特徴はありませんか?っと、さすがにこれでわかるだろ」
ベンチに座って歌ってる人たちを見渡す。
しかしどうして見た目も歌っている歌も似た人ばかりなのだろうか。
「ベタがいいって言ってもほどがあるよな…あ?赤いバンダナに羽根がついてます、どういうことだ…」
俺の頭の中にはインディアンの絵が浮かんでいる。
「とりあえずインディアンでも探すか」
冗談交じりにそう言いながら広場の一段と人が多い中心を通りがかった時だった。
「はい!皆さんご一緒に!」
観客を煽るミュージシャンの声につられてそちらを見ると、本当にインディアンみたいに頭に羽根を付けた男性がいた。
「おまえかー!!」
俺は心の中でだが思わず叫んでしまった。
立ち止まって観客に交じって歌を聞くが、外見に似合わず意外と普通のJPOPだ。
「ありがとうございました!」
満足げに歌い終えてお辞儀をすると拍手が沸き上がる。
ファンなのか何人かの女性が駆け寄って話しかけたりプレゼントを渡している。
「出資、いらねぇんじゃねーの?」
出資で募られていたのは女の子たち騙せば稼げそうな額だった。
しかし詐欺を教唆するいわれもないので俺は黙って人がいなくなるのを待った。
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