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浅上秀

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CDを出したい路上ミュージシャンに出資してみた

3話

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ようやく彼の周りから人がいなくなったとき、俺は彼と目が合った。

「あの…」

ギターを片付けていた手を止めて俺に声をかけてくる。
俺は無言で連絡ボードの画面を彼に見せる。

「あんたであってる?」

俺は自分でもなぜかわからないが、若干不機嫌になっていた。

「あ、はい、俺です…」

歌っていた時やファンと接していた時とは違ってなんだかおどおどしている。

「片付け終わった?もう行ける?」

「はい、もう終わります」

片付けている彼を眺めていると彼が口を開いた。

「あの、俺の歌どうでしたか?」

「え?あぁ…悪いけど俺、あんまり音楽詳しくないから何も言えない」

「や、普通に、思ったこと言ってもらえれば…」

「そう言われてもな…あー、でも周りのお客さんたち喜んでたし、誰よりも観客集まってたから良いんじゃないのか?」

俺は適当にそう答えた。
歌は最後の方に来たのでほぼ聞いてないし、聞いていたとしても月並み以下の答えしか言えないだろう。

「そうですか」

彼はギターケースを含めて荷物を背負うと俺の方を向く。

「じゃ、行こうか」

「…はい」



ホテルに向かう道すがら、俺は彼の身の上話を聞いていた。

「ありきたりな話ですよ。高校でギターに目覚めて、バンドを組んだのはいいものの仲間たちは普通に就職して。俺だけ今でも取り残されたまま音楽にすがってるって感じです」

「でもすがってCDデビューしたいとか思ったからあのサイトに載せたんだろ?」

「まぁそうなんですけどね」

彼はそこで言葉に詰まった。

「違うのかよ?」

「違わなくはないんですけど、親にちゃんとしろってせっつかれたりとかもあって、100%俺の意思じゃないっていうか」

なんか思ったよりもうだうだとした感じの男だ。

「ふーん」

俺はこれ以上聞くのを面倒に思ってしまった。



ベタなことがしたい欲望にかられた俺は今日はラブホテルを選んだ。
場末のレトロなTHEラブホテル、という雰囲気ムンムンの場所。

「今時、こんなホテルあるんですね」

インディアンの頭みたいな装飾を外した男は非常に男前の顔をしていた。

「なぁ、その頭の飾りないほうがモテるんじゃねぇの?」

俺はついそういってしまった。

「え、あ、そうですかね…?」

彼は首を傾げている。
その仕草を含めて、変な装飾や荷物のない男は幼く見えた。

「まぁなんでもいいけど」

俺は後ろの真っ白なフカフカのベットに彼を押し倒した。

「うわっ」

唇を近づけると彼は思いっきり目をつぶる。

「あれ?もしかして初めてだったりする?」

頬に手を滑らせながら尋ねる。

「べ、別にそういうわけじゃ…」

男はゆっくり目を開けて俺の顔に手を伸ばしてくる。
ぐいっと顔が引き寄せられると急に乱雑に唇が当たる。

「は?下手すぎるぞ」

唇を離した俺は主導権を取り戻して彼の唇を奪った。
舌を割り入れるとおずおずと伸ばしたので口内全部をなめとりながら舌を巻き取ってやる。

「はっふ…んん、ぷはっ」

胸をたたかれて唇を離すと、彼は肩で息をしながら涙ぐんでいた。

「鼻で息しとけって」

俺はあきれながらそう言ったが、こいつ初めてだなというのをひしひしと感じ取っていた。



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