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浅上秀

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老舗旅館に出資してみた

2話

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「失礼いたします」

戻ってきた仲居はお盆の上にお絞りとビールを載せていた。

「どうも」

俺はお絞りで手をぬぐうと早速キンキンに冷えているビールをあおる。

「お客様のお名前、頂戴してもよろしいでしょうか?」

仲居に名前を伝えがてらチケットを手渡す。

「今日からいつでも来ていいと言われまして」

チケットを見た仲居の顔色が変わった。

「か、かしこまりました。早急に確認いたしますので」



戻ってきた仲居はスーツ姿の男性を連れてきた。

「お待たせしております。お話は伺っております。本日のお部屋にご案内させていただきますので、どうぞ」

「はい」

俺は椅子から立ち上がると男性の後ろについて行く。
中庭の見える廊下を抜けて渡り廊下を抜けると先ほどの建物とは別の建物に辿り着いた。

「こちらへ」

別館の中の階段をあがると廊下には三つの扉があった。
その中でも一際大きな扉をスーツ姿の男性が恭しく開けてくれる。

「どうも」

部屋に入ると一軒家のリビング並みに広い空間が広がっていた。
ソファにベット、大きなテレビにダイニングテーブルと椅子が置かれている。
さらに部屋は洋室仕様なのにバルコニーには露天風呂が付いている。

「すげぇなここ…」

思わず荷物をボトリと床に落としてしまった。

「お気に召しましたか?」

案内してくれた男性がクスリと笑った。

「え、あ、はい」

「良かったです。部屋に一応、露天風呂はついているのですが、大浴場の用意もございます。渡り廊下を渡っていただきましたが、あちらが本館でこちらは別館となっております。本館別館それぞれ一階部分に浴場の入り口がございますので、ご希望であればお好きな方をご利用下さい」

「わかりました」

「お食事は全てこちらでご用意させていただきます。その他にアルコールなどご希望のものがございましたらなんでもお申し付けください」

「支払いってどうなりますか?」

「お客様から一切、お金を頂戴することの無いようにとおうせつかっております」

「そうなんですか…」

全額裏クラウドファンディングの運営が全額もってくれるらしいので俺は無料で泊まれるらしい。
しかもとんでもなくいい部屋に。

「なにか御用がございましたらこちらのお電話で。直接、私に繋がるようになっております。」

部屋に備え付けてある電話を指した。

「あぁ、ありがとうございます」

「あっ、申し遅れました。私、本日担当させていただきます藤原と申します。よろしくお願いいたします。」

「よ、よろしく」

「では、ごゆっくりどうぞ」

男性は一礼すると部屋から出て行く。



一人になった俺は部屋の中を探索する。
壁にあるクローゼットにはタオルやらバスローブやら浴衣が置かれていた。
一応、それに着替えてゆったりとソファに腰かける。

「はぁ」

ソファの前のローテーブルの上には旅館らしく緑茶のポットとお茶菓子が置かれている。

「風呂でも行ってみるか…」


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