裏クラウドファンディングへようこそ

浅上秀

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さびれた商店街に出資してみた

12話

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そこにいたのはかつての同級生の大岩だった。
大岩は中高と同じ学校で何回かクラスも一緒になったことがある。

「び、びっくりした…」

俺が顔の隠れた半裸の男から選んだのはもやしのようなヒョロヒョロの男、ではない方の男だった。
ほどよい筋肉、肌色も白すぎず黒すぎず、後ろの穴や肉棒がどれくらい使い込まれているかはわからないが経験値は高そうに見えた。
あくまでも好みと主観だけで選んだため、大岩にしたのは偶然である。

大岩は学生時代、ずっとサッカー部に入っていた。
卒業後の進路は地元の大学進学までしか知らないが。

「会場におまえがいるの見て俺の方が驚いたよ。あ、ちなみにもう一人の方選んでたら中野に会えたんだぜ」

「中野ってあの生徒会長だった中野か!?」

中野は生徒会長という四文字熟語が大好きな男だった。
銀色のセルフレームの眼鏡が特徴的で、性格は非常に神経質で潔癖症の気質がある。
中野とはそりが合わないので選ばなくてよかったと心の底から思ってしまった。

「そうそう。あいつ実家のクリーニング店継いでだんだよ」

「へー」

俺たちはベットに腰かけて思い出話に花を咲かせた。

「それでお前はなんでここに?」

俺は大岩に尋ねた。

「あー…新卒で入った会社でいきなり工場に派遣されてさ。そこがきつすぎて一週間で辞めて実家に戻って、まぁ時々親父の店手伝ってたら気付いたらこうなってた」

大岩は何かを誤魔化すように苦笑いを浮かべる。
それから商店街の人たちや同級生たちが今、どうなっているか教えてくれるが全員、裏クラウドファンディングでいいようにされながら稼いでいるらしい。

「なんでこの町はこんなに裏クラウドファンディングに支配されてんだよ」

俺は若干頭を抱えた。

「ある日急に商店街の組合でクラウドファンディングの話が出たんだよ。結構シャッターの下りた店も多くなってさびれてきたなぁって思ってはいたんだけど、店が少なくなったせいで商店街の組合が立ち行かなったからってさ…それで担当の人が来たのは良いんだけど、気付いたらみんな裏クラウドファンディングにずっぷり」

大岩が見せてくれたページはここの町の人専用のもののようだ。
そこには一人一人のプロフィールと出資額が書かれている。
いつも見ているページとは違って、プロフィールは詳細だし写真も全身全裸でくまなく写っている。

「へぇ…」

俺は大岩のページを眺める。
彼のプロフィールには先ほど話していた工場をやめた経緯や現在の職、携帯電話の番号に経験人数まで書かれている。

「おまえ人気あるんだな」

裏クラウドファンディング歴がけっこうなものになってきた俺には大体わかるようになってきた。

「そう、なのかもな」

大岩は悲しそうに目を伏せる。

「おまえ、金貯めてどうしたいんだよ」

結構な額が集まっているように見える。

「…親孝行って言えたらいいんだけどな。とりあえず貯めてる感じ」

大岩は少し何かを諦めたような顔をしている。
俺の記憶の中にあるサッカー少年はこんなくたびれた男になってしまったのか。
謎の感情が芽生えた。

「うわっ!」

気が付くと俺は大岩を布団に押し倒していた。



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