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危機は突然に…
2話
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「お待ちしてましたよ、社長」
山城は戸が開くと立ち上がった。
「社長…?」
振り向くと俺の会社の社長がいた。
「いやいやすまない、待たせたかな」
「ずいぶんと遅かったですね」
「来客が長引いたんだよ」
山城は社長と軽快に会話を続けていく。
俺はただただ唖然としていた。
「飲み物はもう頼んだかな?」
「まだ頼んでませんよ。ビールでいいかい?」
「あ、あぁ」
店の人を呼ぶと3人分のビールを注文する。
注文してすぐにビールのグラスが3人の手元に届く。
「それじゃあ乾杯」
「乾杯」
「…乾杯」
俺は何が起きているかわからないままビールを一口飲み込んだ。
いつもよりも苦味を感じる。
「食事も遠慮しないで食べてくれたまえ」
「は、はぁ」
「社長、話をしながらではないと食べるものも食べられませんよ」
山城は苦笑している。
「そうかね」
「山城…どういうことだよ」
「おや、何も話していなかったのか」
「えぇ、社長が来てからと思ってましたから」
山城は刺身を食べながらしれっと言った。
「すまないね、我が息子が迷惑をかけて」
「息子…?でも苗字が」
「離婚してるんだよ、小学生くらいの時かな。僕の就職先の名前知ってる?」
「まさかあの会社って…」
「そ、おたくの会社の子会社ね。役員してるんだ」
「学生の頃から君のことは息子から聞いていてね。ぜひとも弊社に来て欲しいと思っていたんだよ。君は見事に期待に応えてくれただけでなく成果も出してくれた」
「それなのにクビなんですか」
言っていることと矛盾しているのではないだろうか。
「クビって、あぁそういうことか」
山城だけが何かを納得している。
「はは、裏クラウドファンディングといえばわかるかな」
俺の背中を変な汗が流れる。
「うちの会社が運営の大元だよ」
山城がニヤついている。
「まさか…山城お前!」
俺はあまりの恥ずかしさに顔を手で覆う。
こいつには学生時代の付き合いで性格も性癖もバレている。
「お気に召したかな」
山城が盛大に笑うが社長にまで性格と西壁を知られているのはもう穴があったら入りたいレベルだ。
「はぁ…」
疲れたらお腹が空いた。
俺はもう二人を無視して目の前の食べ物を食いつくす勢いで食べ始める。
「しかし息子が君を上級会員にしてくれと言った時は驚いたがね」
「想像以上、だった?」
「あぁ」
何がだ。
「待てよ、じゃああの借用書は」
「うん、もちろん嘘」
「はぁ!?なんでそんなこと」
「君を試させてもらったんだよ。借金のために君は果たして自分の身体を売れるか売れないのか」
「僕は売らないに賭けたんだけどね」
「このクソ親子め…」
俺は絶対に自分の身体は売りたくない。
何より入れられたくないのだ。
「それでこれから俺はどうしたら?」
「あぁ今の会社に籍はそのままだし給与も今の会社から出る。けど実情としてはこれから裏クラウドファンディングの方で働いてもらう」
「具体的には何をさせるつもりで」
「色んなことかな。万年人手不足でやることが山積みなんだよ」
「俺の他には?」
「君のところの部長も運営の人間だ」
「は?部長も!?」
あの食えない顔を思い浮かべる。
「運営になると会社の経費で出資できるようになるしやりたいイベントもできるようになるぞ~」
「それは魅力的な誘いだなっ」
勢いに任せてビールを一気に飲み干す。
「まぁまぁ、積もる話は明日にでもしよう。今はたんと食べてたんと飲むがいい」
「この飲食代があとで請求されたりは?」
「随分と疑心暗鬼だなぁ。そんな無粋なことしないよ」
こうして狸のような親子二人に囲まれて俺は腹一杯に飲んで食った。
山城は戸が開くと立ち上がった。
「社長…?」
振り向くと俺の会社の社長がいた。
「いやいやすまない、待たせたかな」
「ずいぶんと遅かったですね」
「来客が長引いたんだよ」
山城は社長と軽快に会話を続けていく。
俺はただただ唖然としていた。
「飲み物はもう頼んだかな?」
「まだ頼んでませんよ。ビールでいいかい?」
「あ、あぁ」
店の人を呼ぶと3人分のビールを注文する。
注文してすぐにビールのグラスが3人の手元に届く。
「それじゃあ乾杯」
「乾杯」
「…乾杯」
俺は何が起きているかわからないままビールを一口飲み込んだ。
いつもよりも苦味を感じる。
「食事も遠慮しないで食べてくれたまえ」
「は、はぁ」
「社長、話をしながらではないと食べるものも食べられませんよ」
山城は苦笑している。
「そうかね」
「山城…どういうことだよ」
「おや、何も話していなかったのか」
「えぇ、社長が来てからと思ってましたから」
山城は刺身を食べながらしれっと言った。
「すまないね、我が息子が迷惑をかけて」
「息子…?でも苗字が」
「離婚してるんだよ、小学生くらいの時かな。僕の就職先の名前知ってる?」
「まさかあの会社って…」
「そ、おたくの会社の子会社ね。役員してるんだ」
「学生の頃から君のことは息子から聞いていてね。ぜひとも弊社に来て欲しいと思っていたんだよ。君は見事に期待に応えてくれただけでなく成果も出してくれた」
「それなのにクビなんですか」
言っていることと矛盾しているのではないだろうか。
「クビって、あぁそういうことか」
山城だけが何かを納得している。
「はは、裏クラウドファンディングといえばわかるかな」
俺の背中を変な汗が流れる。
「うちの会社が運営の大元だよ」
山城がニヤついている。
「まさか…山城お前!」
俺はあまりの恥ずかしさに顔を手で覆う。
こいつには学生時代の付き合いで性格も性癖もバレている。
「お気に召したかな」
山城が盛大に笑うが社長にまで性格と西壁を知られているのはもう穴があったら入りたいレベルだ。
「はぁ…」
疲れたらお腹が空いた。
俺はもう二人を無視して目の前の食べ物を食いつくす勢いで食べ始める。
「しかし息子が君を上級会員にしてくれと言った時は驚いたがね」
「想像以上、だった?」
「あぁ」
何がだ。
「待てよ、じゃああの借用書は」
「うん、もちろん嘘」
「はぁ!?なんでそんなこと」
「君を試させてもらったんだよ。借金のために君は果たして自分の身体を売れるか売れないのか」
「僕は売らないに賭けたんだけどね」
「このクソ親子め…」
俺は絶対に自分の身体は売りたくない。
何より入れられたくないのだ。
「それでこれから俺はどうしたら?」
「あぁ今の会社に籍はそのままだし給与も今の会社から出る。けど実情としてはこれから裏クラウドファンディングの方で働いてもらう」
「具体的には何をさせるつもりで」
「色んなことかな。万年人手不足でやることが山積みなんだよ」
「俺の他には?」
「君のところの部長も運営の人間だ」
「は?部長も!?」
あの食えない顔を思い浮かべる。
「運営になると会社の経費で出資できるようになるしやりたいイベントもできるようになるぞ~」
「それは魅力的な誘いだなっ」
勢いに任せてビールを一気に飲み干す。
「まぁまぁ、積もる話は明日にでもしよう。今はたんと食べてたんと飲むがいい」
「この飲食代があとで請求されたりは?」
「随分と疑心暗鬼だなぁ。そんな無粋なことしないよ」
こうして狸のような親子二人に囲まれて俺は腹一杯に飲んで食った。
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