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危機は突然に…
4話
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「もらえるものはもらっておけ」
社長のありがたいお言葉に甘えてすごすごと俺は和菓子の箱を受け取った。
しかし不本意なので自分でもかなり仏頂面になっている自覚はある。
「悪いとは思っているからこの席に呼んだんだよ。それに君も運営側に回ったんだ。わかるだろう?」
マネージャーはビールの瓶をどんどんと空にしながら言う。
わかりたくもない大人の事情というやつだろう。
とりあえず帰りは絶対にタクシーに乗って帰ろう。
「社長が気にいるのもわかるよ」
なぜかマネージャーは俺の方を見ながら何やらニヤニヤしている。
「まだなにか?」
「実はもう一つ君にプレゼントがあるんだけど」
「もう要らないですよ」
勘弁してくれ。
「隣の部屋に呼んでるから、君、彼をここに」
「かしこまりました」
秘書の女性が座敷の外に出ていった。
やけ酒を飲んでいると数分後、戸が開く。
「お連れいたしました」
「失礼致します」
入ってきたのはタツヤだった。
「は?」
俺は思わず食べかけの刺身を皿に落としてしまった。
「覚えていてくれたようだよ、よかったなタツヤ」
「はい」
「君が最近忙しくしていたからね。サイトも利用してないみたいだし、私たち2人からのボーナスだよ」
弊社の社長までどうやらグルのようだ。
全くなんてことをしてくれたんだ。
「はぁ…」
「明日は休みにしておいてあげるから存分に身体を労わりなさい。今日はもう帰っていいよ」
社長が俺を追い出そうとしているのがありありとわかる。
「いやでも」
料理は食べかけだし酒も飲み足りない。
「君の残りは私の秘書にでも食べさせるから気にしないで」
いや気にするぞ。
「…かしこまりました」
それでも上の人間に逆らえないのが悲しき社会人のサガだ。
俺は大人しく荷物と和菓子の箱を持ってタツヤと座敷をあとにしたのだった。
…
店の外に出て、店員が頼んでくれたタクシーに乗り込んでもタツヤも俺も無言だった。
俺はこのまま自宅に戻るつもりなのだがタツヤはどこまでついてくるのだろうか。
「タツヤ、お前この後どうするんだ」
先に無言に耐えられなくなったのは俺の方だった。
「どうすればいいですか?」
「どうすればいいかっておまえ…俺は知らねーよ」
「じゃあ家に着いて行ってもいいですか」
「何もないぞ、うちに来たって」
「いいんです。それでも」
再びの沈黙が流れる。
「お客さん、着きましたよ」
2人の沈黙をタクシーの運転手が破った。
無言で金を払って自宅に降りる。
有言実行なのかタツヤは黙ってオートロックを解除してエレベーターに乗り込む俺の後ろをついてくる。
暗い部屋の中に入るなり後ろから抱きついてきた。
「なにすんだ!」
背中にしがみついたまま離れない。
もしや俺は前にコイツにしたことで恨まれて犯されるのだろうか。
冗談じゃない。
とんだとばっちりだ。
「おい!タツヤ!」
タツヤの手を振り解いてタツヤと向かい合う。
睨みつけるとタツヤは目を見開いて固まっていた。
「どういうつもりだ」
タツヤの両手首を掴みドアに背中と後頭部を押しつける。
「…好きです」
「は?」
こいつは何を言っているんだろうか。
「あの日から忘れられないんです。仕事をしてても家にいてもあなたのことを考えてしまうんです」
「なんだそりゃ、新しいドラマの練習か?それともあのマネージャーに俺に色仕掛けをして新しくビデオでも撮ってこいと言われたのか?」
社長のありがたいお言葉に甘えてすごすごと俺は和菓子の箱を受け取った。
しかし不本意なので自分でもかなり仏頂面になっている自覚はある。
「悪いとは思っているからこの席に呼んだんだよ。それに君も運営側に回ったんだ。わかるだろう?」
マネージャーはビールの瓶をどんどんと空にしながら言う。
わかりたくもない大人の事情というやつだろう。
とりあえず帰りは絶対にタクシーに乗って帰ろう。
「社長が気にいるのもわかるよ」
なぜかマネージャーは俺の方を見ながら何やらニヤニヤしている。
「まだなにか?」
「実はもう一つ君にプレゼントがあるんだけど」
「もう要らないですよ」
勘弁してくれ。
「隣の部屋に呼んでるから、君、彼をここに」
「かしこまりました」
秘書の女性が座敷の外に出ていった。
やけ酒を飲んでいると数分後、戸が開く。
「お連れいたしました」
「失礼致します」
入ってきたのはタツヤだった。
「は?」
俺は思わず食べかけの刺身を皿に落としてしまった。
「覚えていてくれたようだよ、よかったなタツヤ」
「はい」
「君が最近忙しくしていたからね。サイトも利用してないみたいだし、私たち2人からのボーナスだよ」
弊社の社長までどうやらグルのようだ。
全くなんてことをしてくれたんだ。
「はぁ…」
「明日は休みにしておいてあげるから存分に身体を労わりなさい。今日はもう帰っていいよ」
社長が俺を追い出そうとしているのがありありとわかる。
「いやでも」
料理は食べかけだし酒も飲み足りない。
「君の残りは私の秘書にでも食べさせるから気にしないで」
いや気にするぞ。
「…かしこまりました」
それでも上の人間に逆らえないのが悲しき社会人のサガだ。
俺は大人しく荷物と和菓子の箱を持ってタツヤと座敷をあとにしたのだった。
…
店の外に出て、店員が頼んでくれたタクシーに乗り込んでもタツヤも俺も無言だった。
俺はこのまま自宅に戻るつもりなのだがタツヤはどこまでついてくるのだろうか。
「タツヤ、お前この後どうするんだ」
先に無言に耐えられなくなったのは俺の方だった。
「どうすればいいですか?」
「どうすればいいかっておまえ…俺は知らねーよ」
「じゃあ家に着いて行ってもいいですか」
「何もないぞ、うちに来たって」
「いいんです。それでも」
再びの沈黙が流れる。
「お客さん、着きましたよ」
2人の沈黙をタクシーの運転手が破った。
無言で金を払って自宅に降りる。
有言実行なのかタツヤは黙ってオートロックを解除してエレベーターに乗り込む俺の後ろをついてくる。
暗い部屋の中に入るなり後ろから抱きついてきた。
「なにすんだ!」
背中にしがみついたまま離れない。
もしや俺は前にコイツにしたことで恨まれて犯されるのだろうか。
冗談じゃない。
とんだとばっちりだ。
「おい!タツヤ!」
タツヤの手を振り解いてタツヤと向かい合う。
睨みつけるとタツヤは目を見開いて固まっていた。
「どういうつもりだ」
タツヤの両手首を掴みドアに背中と後頭部を押しつける。
「…好きです」
「は?」
こいつは何を言っているんだろうか。
「あの日から忘れられないんです。仕事をしてても家にいてもあなたのことを考えてしまうんです」
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