121 / 130
番外編 アイドル引退宣言
4話
しおりを挟む
この社長、そんなこと言っていいのだろうか。
タツヤのことは最後の切り札にするべきだと俺は思うけど。
「人質ですか。穏やかじゃないですね」
「はは、わかったいるだろう。うちの商品に手を出しやがって」
「商品ね」
散々な言いようだ。
「うっ、なんだ、急に、眩暈が」
ようやく薬が効いてきたようで社長は頭を抑えている。
「はぁ、これ効き目悪いんじゃないか」
店員のふりをしてドリンクを持ってきてくれた山城に伝えると彼は笑っていた。
「おかしいなぁ、即効性のはずなんだけどな。わかったこいつが太ってるからだよ」
非常に蔑んだ目で山城は男のことを見ている。
「山城、お前さりげなくひどいな」
「さりげなくじゃなくてわざとだからね」
「たちが悪いぞ」
完全に意識がなくなったことを確認して俺たちは彼の身体を運び出した。
…
重量のある成人男性を男二人で運ぶのは非常に大変な作業だった。
二人で脇の下から肩を回してさも酔っ払いを介抱していますよ、という雰囲気でバーを出る。
「こいつの秘書とか付いてきてないのかよ」
「一応、密談だからじゃないかな」
山城が合図するとどこからともなく運営の仲間が現れた。
意識のない男性を運ぶことに手慣れている彼らは受け取ると何事もなかったかのように男の身体を運んでいく。
「さぁ、俺たちも移動しようか」
「あぁ」
男が黒塗りのいかにもなワゴン車に乗せられたのを見届けて山城の車に乗り込む。
連れていかれた場所は非常に懐かしい場所だった。
「おまえ、本当に趣味が悪いな」
「ふふふ、お気に召すかと思って」
そこは俺が初めてタツヤと出会った場所だった。
しかも部屋まで同じとは、本当にこの男は趣味が悪い。
「縛り方も一緒にしておいてあげたよ」
「そこまで再現しなくていいって」
あまりにあの日の再現度が高すぎて驚く。
ビール腹のおっさんが全裸で縛られている光景にはさすがの俺でも興奮しないが。
「で、こいつはあとどれくらいで目が覚めるんだよ」
「明日の朝までぐっすりな量だからこれから強制的に起きていただこうかと思って」
「マジかよ」
山城はポケットからアンプルのようなものを取り出した。
そして男の鼻の目の前で空けて匂いを嗅がせている。
数秒後、むせながら男は目を開けた。
「おはようございます、社長。その節はどうも」
「お、おまえたち、私にこんなことをして許されるとでも思っているのか」
思った通り、開口一番お怒りの声が飛んでくる。
「社長、約束を先に破ったのはあなたの方ではありませんか。まさかあんなパチモンのサイトを作ってお遊びになられて喜ぶとは」
「パチモンとはなんだ。現にあんたのところの顧客はみんなうちのサイトに流れてきているんだよ。さては負け惜しみか?」
全裸でベットに縛られながら山城に啖呵を切れるこいつの豪胆さにはあっぱれだ。
しかし相手が悪いぞ。
「ははは、それは全部うちから送ったサクラ。こっちの社長がもうあんたには愛想が尽きたってさ。残念だったな」
「なにを出鱈目なことを」
見事なまでの売り言葉に買い言葉。
俺は若干、暇すぎてあくびが出てきた。
「おいおまえ、こんなことをしていいと思っているのか。タツヤがどうなっても知らないぞ。おまえだってあのビデオをこいつに見られたらまずいだろう」
おっと、こっちにまで飛び火してきたぞ。
「俺は山城に知られて困ることなんてないんでね。てか知ってほしくないことまで全部知ってるし今更だろ。タツヤに関しては山城がどうにかしてくれるって補償してくれたから俺はこの話にのってるんだ、残念だったなぁおっさん」
「こ、この野郎!!」
男はベットの上で激しく暴れるが拘束が緩むことはない。
タツヤのことは最後の切り札にするべきだと俺は思うけど。
「人質ですか。穏やかじゃないですね」
「はは、わかったいるだろう。うちの商品に手を出しやがって」
「商品ね」
散々な言いようだ。
「うっ、なんだ、急に、眩暈が」
ようやく薬が効いてきたようで社長は頭を抑えている。
「はぁ、これ効き目悪いんじゃないか」
店員のふりをしてドリンクを持ってきてくれた山城に伝えると彼は笑っていた。
「おかしいなぁ、即効性のはずなんだけどな。わかったこいつが太ってるからだよ」
非常に蔑んだ目で山城は男のことを見ている。
「山城、お前さりげなくひどいな」
「さりげなくじゃなくてわざとだからね」
「たちが悪いぞ」
完全に意識がなくなったことを確認して俺たちは彼の身体を運び出した。
…
重量のある成人男性を男二人で運ぶのは非常に大変な作業だった。
二人で脇の下から肩を回してさも酔っ払いを介抱していますよ、という雰囲気でバーを出る。
「こいつの秘書とか付いてきてないのかよ」
「一応、密談だからじゃないかな」
山城が合図するとどこからともなく運営の仲間が現れた。
意識のない男性を運ぶことに手慣れている彼らは受け取ると何事もなかったかのように男の身体を運んでいく。
「さぁ、俺たちも移動しようか」
「あぁ」
男が黒塗りのいかにもなワゴン車に乗せられたのを見届けて山城の車に乗り込む。
連れていかれた場所は非常に懐かしい場所だった。
「おまえ、本当に趣味が悪いな」
「ふふふ、お気に召すかと思って」
そこは俺が初めてタツヤと出会った場所だった。
しかも部屋まで同じとは、本当にこの男は趣味が悪い。
「縛り方も一緒にしておいてあげたよ」
「そこまで再現しなくていいって」
あまりにあの日の再現度が高すぎて驚く。
ビール腹のおっさんが全裸で縛られている光景にはさすがの俺でも興奮しないが。
「で、こいつはあとどれくらいで目が覚めるんだよ」
「明日の朝までぐっすりな量だからこれから強制的に起きていただこうかと思って」
「マジかよ」
山城はポケットからアンプルのようなものを取り出した。
そして男の鼻の目の前で空けて匂いを嗅がせている。
数秒後、むせながら男は目を開けた。
「おはようございます、社長。その節はどうも」
「お、おまえたち、私にこんなことをして許されるとでも思っているのか」
思った通り、開口一番お怒りの声が飛んでくる。
「社長、約束を先に破ったのはあなたの方ではありませんか。まさかあんなパチモンのサイトを作ってお遊びになられて喜ぶとは」
「パチモンとはなんだ。現にあんたのところの顧客はみんなうちのサイトに流れてきているんだよ。さては負け惜しみか?」
全裸でベットに縛られながら山城に啖呵を切れるこいつの豪胆さにはあっぱれだ。
しかし相手が悪いぞ。
「ははは、それは全部うちから送ったサクラ。こっちの社長がもうあんたには愛想が尽きたってさ。残念だったな」
「なにを出鱈目なことを」
見事なまでの売り言葉に買い言葉。
俺は若干、暇すぎてあくびが出てきた。
「おいおまえ、こんなことをしていいと思っているのか。タツヤがどうなっても知らないぞ。おまえだってあのビデオをこいつに見られたらまずいだろう」
おっと、こっちにまで飛び火してきたぞ。
「俺は山城に知られて困ることなんてないんでね。てか知ってほしくないことまで全部知ってるし今更だろ。タツヤに関しては山城がどうにかしてくれるって補償してくれたから俺はこの話にのってるんだ、残念だったなぁおっさん」
「こ、この野郎!!」
男はベットの上で激しく暴れるが拘束が緩むことはない。
0
あなたにおすすめの小説
男子寮のベットの軋む音
なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。
そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。
ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。
女子禁制の禁断の場所。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
淫愛家族
箕田 はる
BL
婿養子として篠山家で生活している睦紀は、結婚一年目にして妻との不仲を悩んでいた。
事あるごとに身の丈に合わない結婚かもしれないと考える睦紀だったが、以前から親交があった義父の俊政と義兄の春馬とは良好な関係を築いていた。
二人から向けられる優しさは心地よく、迷惑をかけたくないという思いから、睦紀は妻と向き合うことを決意する。
だが、同僚から渡された風俗店のカードを返し忘れてしまったことで、正しい三人の関係性が次第に壊れていく――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる