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浅上秀

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番外編 体験型ストア

2話

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部屋を出ると先ほどは選ばなかった螺旋階段をみやる。
二階には二つの部屋があるはずだ。
階段をのぼりながらどちらの部屋に入るか考える。

「先にオークションかな」

一体何のオークションがあるのだろうか。
部屋に入ると室内は映画館のように薄暗かった。

「いらっしゃいませ。こちらへどうぞ」

扉の脇にいた運営の人が俺を席に案内してくれた。
劇場型になっていて客席とステージに別れている。
煌々と輝くスポットライトがステージ上の商品と司会者を照らしている。
今まさに誰かが落札したようでハンマーが鳴り響いた。

「500万、500万での落札です。ありがとうございます。それでは次に参りましょう」

タブレットを開くと画面には現在出品されている商品とその横に落札金額を入れるようになっている。

「すげぇな」

部屋に入っただけで画面が変わるとはなんとハイテクな仕様だ。

「次はこちらの三角木馬!名前は言えないあの大御所俳優ご愛用だったとかでプレミア価格がついております」

写真をスワイプすると目元にモザイクがかかっているものの、なんとなく誰かわかる写真が載っていた。
その人物を見て会場が騒めいていた。
よくこんな写真まで入手できるものだと俺は感心してしまった。

「出品者のご希望で700万からのスタートです」

画面の右側に表示された金額がどんどんと吊り上がっていく。

「おっと、1000万、1000万がでました」

桁が上がるとさすがに会場がざわめいている。
こんな中古のおもちゃによくそんな大金が出せるものだ。
写真がまだあったのでスワイプしてみるとなんと三角木馬以外に人がついてくるようだ。

「息子を一緒に出品するとかどんな神経してるんだよ」

たしかこの出品者、先日麻薬で逮捕されてCMとかの違約金が莫大だとか聞いたな。
息子も息子でロクでもないやつだとか週刊誌で騒がれていた気もする。
あまり芸能関係に興味がないので流し読みした程度だが。

「さらに値段は上がっていきます。2000万、2300万、おおっと3000万まで一気に上がりました」

しかもこの息子を一晩買えるのではなく木馬ごと永遠に所有権を持てるようなので3000万でも安いほうだろう。
というか初めから息子を出品した方が良かったのではないかとも思うが、このオークションはあくまでも人身売買目的ではなくモノのオークションだから仕方ないのか。
いやおまけで人がついてくるのもアウトな気もする。
色々と画面を見ながら考えているとついにハンマーの音が鳴り響いた。

「7650万、他にいらっしゃいませんか?それでは7650万で落札です」

ステージ上に置かれた木馬とその陰にいた男性が絶望した表情で引きずられていく様子がスクリーンに映し出される。
その鬼畜ともいえる光景に聴衆は大盛り上がりだ。

「さて、次は今回の目玉の商品でございます」

画面に映し出されたのはHDDだ。

「こちらは当運営のこれまでのイベントの秘蔵映像が記録されたHDDでございます。頑丈なコピーガードが掛けられており、このHDD以外からの閲覧もできなければDVDなど他の記憶媒体への移行もできません。テレビ画面等でご自身でお楽しみいただけますが、画面を撮影しようとしてもそこには何も映りません。まさに運営の技術力の賜物ながらこれまでのイベントをご自宅でいつでもお楽しみいただけます。さぁ500万からスタートです」

俺は興味がなかったのでとりあえずカタログ一覧を眺める。
いわくつきのおもちゃや芸能人のハメ撮り、オマケ付きの美術品や骨とう品など色んな意味でアウトなものばかりが出品されている。
もうすでに落札されたものの金額だけでどこか小さい国の国家予算くらいはあると思う。

「俺には関係ない世界だな」

俺はもう少し低価格で楽しませてもらおう。
興味のあるものもないので部屋を出ることにした。



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