2 / 45
第2話 異常なまでのモテ男
しおりを挟む
どこの学校にも、女の子から人気のある男子の一人や二人いると思う。それは、このライトリム学院も例外じゃない。
ただ一つ、他の学校と違うところがあるとするなら、その人気があまりにも凄まじいということだろう。
「ああ、今日もカッコいい」
「この学校に入ってよかった」
「よく見たら後光が差している」
ただ歩いているだけなのに、それを眺める女子生徒からは次々とそんな言葉が囁かれ、熱い視線が注がれる。
サラサラとした栗色の髪をなびかせながら颯爽と歩く彼は、舞台役者もかくやと言いたくなるくらいのとても整った顔立ちをしていて、掛けられた黒縁のメガネが、知的な印象を醸し出している。
エルヴィン=オウマ。私達と同じく今年からこの学校に入学した彼は、その美貌で瞬く間に学校中の女子を虜にしていた。
隣にいるパティも、そんな彼に魅了された女子の中の一人だった。
「オウマ君、今日もカッコいいな。目の保養だよ」
彼が教室に入ってきたとたん、すぐさまそっちに目を向けこの調子だ。
「パティも相変わらず、オウマ君のこと好きだね」
もしそうなら、友人としてその恋を応援してやるべきかもしれない。だけどパティは、それを聞いて微妙な笑みを浮かべた。
「そりゃ、もちろん好きだよ。でも別に付き合いたいとかじゃなくて、眺めるだけの観賞用ってとこかな。いくらなんでも、あの取り巻き達の中に割って入るほど命知らずじゃないからね」
オウマ君の近くには、いつも大抵女の子の姿があるけれど、特に近くにいるのはいつも決まって同じようなメンバーだ。そしてそのほとんどが、上流貴族の息女達で占められている。
オウマ君自身も代々続く伯爵家の一人息子だって聞いてるけれど、家柄で言えばそれより上位に位置する子だっていた。
貴族と平民の差が埋まりつつある昨今でも、やはり上流貴族と言うのは大きなステイタスで、それがそのまま学院内のヒエラルキーを決める要因にもなっている。言い方は悪いかもしれないけど、より強い家柄や立場の子ほど、オウマ君の近くにいられるというシステムが出来上がっているようだった。
その中に割って入ろうとするなら、確かに並大抵の覚悟じゃできないだろう。
それにしても。私はそんなオウマ君を見て、前々から疑問に思っていることがあった。
「いくらなんでも、ちょっとモテすぎなんじゃないかな?」
「モテすぎって、オウマ君が? いやいや、だってあんなにカッコいいじゃない」
驚くパティだけど、実際そう思うんだから仕方ない。
そりゃもちろん、彼の容姿はさっき説明した通りの麗しさだ。カッコいいかどうかと聞かれたら、間違いなくカッコいい。だけどいくら顔がよくても、それだけじゃモテるのには限度があると思う。
オウマ君自身が何人もの女の子に積極的にアプローチするような、所謂プレイボーイみたいなタイプなら、まだ分からなくもない。だけどこれだけ女の子に好かれているのとは裏腹に、誰かと付き合ったとか、特別仲がいいなんて話は、不思議なくらいに聞いたことがない。
今だって、たくさんの女の子に囲まれるという、見る人が見れば大層羨ましがられる状況にも関わらず、その態度はなんだか素っ気なくて、むしろどこか疲れているようにも見えた。
「ガツガツしながら女の子のお尻を追いかけてるより、ずっといいじゃない。それにクールなメガネ男子って、それだけでポイント高いんだよ」
「そう言うものなのかな?」
「そうだよ。私としては、シアンがそれだけ淡白なのが不思議なくらい」
うーん、確かに他の子達の反応を見ていると、私の方がおかしいのかなって思ってしまう。何しろ生まれてこの方恋なんてしたこと無いし、そんな暇があったら節約術を考えてた方が有意義だって思うくらいだから、ズレていると言われても否定はできない。
「どうせ私は、男子の良さなんて分かりませんよーだ」
「まあまあ。シアンだってそのうちきっと分かる日が来るって」
拗ねたように言う私をパティがなだめてくれるけど、実際は分からないなら分からないままでも別にいいかと思っていた。男子への憧れや恋なんてなくても、死にはしないしね。
こう思っている時点で、男の子の良さが分かる日なんて当分来ないんだろうなと、まるで他人事のように思っていた。
ただ一つ、他の学校と違うところがあるとするなら、その人気があまりにも凄まじいということだろう。
「ああ、今日もカッコいい」
「この学校に入ってよかった」
「よく見たら後光が差している」
ただ歩いているだけなのに、それを眺める女子生徒からは次々とそんな言葉が囁かれ、熱い視線が注がれる。
サラサラとした栗色の髪をなびかせながら颯爽と歩く彼は、舞台役者もかくやと言いたくなるくらいのとても整った顔立ちをしていて、掛けられた黒縁のメガネが、知的な印象を醸し出している。
エルヴィン=オウマ。私達と同じく今年からこの学校に入学した彼は、その美貌で瞬く間に学校中の女子を虜にしていた。
隣にいるパティも、そんな彼に魅了された女子の中の一人だった。
「オウマ君、今日もカッコいいな。目の保養だよ」
彼が教室に入ってきたとたん、すぐさまそっちに目を向けこの調子だ。
「パティも相変わらず、オウマ君のこと好きだね」
もしそうなら、友人としてその恋を応援してやるべきかもしれない。だけどパティは、それを聞いて微妙な笑みを浮かべた。
「そりゃ、もちろん好きだよ。でも別に付き合いたいとかじゃなくて、眺めるだけの観賞用ってとこかな。いくらなんでも、あの取り巻き達の中に割って入るほど命知らずじゃないからね」
オウマ君の近くには、いつも大抵女の子の姿があるけれど、特に近くにいるのはいつも決まって同じようなメンバーだ。そしてそのほとんどが、上流貴族の息女達で占められている。
オウマ君自身も代々続く伯爵家の一人息子だって聞いてるけれど、家柄で言えばそれより上位に位置する子だっていた。
貴族と平民の差が埋まりつつある昨今でも、やはり上流貴族と言うのは大きなステイタスで、それがそのまま学院内のヒエラルキーを決める要因にもなっている。言い方は悪いかもしれないけど、より強い家柄や立場の子ほど、オウマ君の近くにいられるというシステムが出来上がっているようだった。
その中に割って入ろうとするなら、確かに並大抵の覚悟じゃできないだろう。
それにしても。私はそんなオウマ君を見て、前々から疑問に思っていることがあった。
「いくらなんでも、ちょっとモテすぎなんじゃないかな?」
「モテすぎって、オウマ君が? いやいや、だってあんなにカッコいいじゃない」
驚くパティだけど、実際そう思うんだから仕方ない。
そりゃもちろん、彼の容姿はさっき説明した通りの麗しさだ。カッコいいかどうかと聞かれたら、間違いなくカッコいい。だけどいくら顔がよくても、それだけじゃモテるのには限度があると思う。
オウマ君自身が何人もの女の子に積極的にアプローチするような、所謂プレイボーイみたいなタイプなら、まだ分からなくもない。だけどこれだけ女の子に好かれているのとは裏腹に、誰かと付き合ったとか、特別仲がいいなんて話は、不思議なくらいに聞いたことがない。
今だって、たくさんの女の子に囲まれるという、見る人が見れば大層羨ましがられる状況にも関わらず、その態度はなんだか素っ気なくて、むしろどこか疲れているようにも見えた。
「ガツガツしながら女の子のお尻を追いかけてるより、ずっといいじゃない。それにクールなメガネ男子って、それだけでポイント高いんだよ」
「そう言うものなのかな?」
「そうだよ。私としては、シアンがそれだけ淡白なのが不思議なくらい」
うーん、確かに他の子達の反応を見ていると、私の方がおかしいのかなって思ってしまう。何しろ生まれてこの方恋なんてしたこと無いし、そんな暇があったら節約術を考えてた方が有意義だって思うくらいだから、ズレていると言われても否定はできない。
「どうせ私は、男子の良さなんて分かりませんよーだ」
「まあまあ。シアンだってそのうちきっと分かる日が来るって」
拗ねたように言う私をパティがなだめてくれるけど、実際は分からないなら分からないままでも別にいいかと思っていた。男子への憧れや恋なんてなくても、死にはしないしね。
こう思っている時点で、男の子の良さが分かる日なんて当分来ないんだろうなと、まるで他人事のように思っていた。
0
あなたにおすすめの小説
虐げられた私、ずっと一緒にいた精霊たちの王に愛される〜私が愛し子だなんて知りませんでした〜
ボタニカルseven
恋愛
「今までお世話になりました」
あぁ、これでやっとこの人たちから解放されるんだ。
「セレス様、行きましょう」
「ありがとう、リリ」
私はセレス・バートレイ。四歳の頃に母親がなくなり父がしばらく家を留守にしたかと思えば愛人とその子供を連れてきた。私はそれから今までその愛人と子供に虐げられてきた。心が折れそうになった時だってあったが、いつも隣で見守ってきてくれた精霊たちが支えてくれた。
ある日精霊たちはいった。
「あの方が迎えに来る」
カクヨム/なろう様でも連載させていただいております
私の存在
戒月冷音
恋愛
私は、一生懸命生きてきた。
何故か相手にされない親は、放置し姉に顎で使われてきた。
しかし15の時、小学生の事故現場に遭遇した結果、私の生が終わった。
しかし、別の世界で目覚め、前世の知識を元に私は生まれ変わる…
前世の記憶しかない元侯爵令嬢は、訳あり大公殿下のお気に入り。(注:期間限定)
miy
恋愛
(※長編なため、少しネタバレを含みます)
ある日目覚めたら、そこは見たことも聞いたこともない…異国でした。
ここは、どうやら転生後の人生。
私は大貴族の令嬢レティシア17歳…らしいのですが…全く記憶にございません。
有り難いことに言葉は理解できるし、読み書きも問題なし。
でも、見知らぬ世界で貴族生活?いやいや…私は平凡な日本人のようですよ?…無理です。
“前世の記憶”として目覚めた私は、現世の“レティシアの身体”で…静かな庶民生活を始める。
そんな私の前に、一人の貴族男性が現れた。
ちょっと?訳ありな彼が、私を…自分の『唯一の女性』であると誤解してしまったことから、庶民生活が一変してしまう。
高い身分の彼に関わってしまった私は、元いた国を飛び出して魔法の国で暮らすことになるのです。
大公殿下、大魔術師、聖女や神獣…等など…いろんな人との出会いを経て『レティシア』が自分らしく生きていく。
という、少々…長いお話です。
鈍感なレティシアが、大公殿下からの熱い眼差しに気付くのはいつなのでしょうか…?
※安定のご都合主義、独自の世界観です。お許し下さい。
※ストーリーの進度は遅めかと思われます。
※現在、不定期にて公開中です。よろしくお願い致します。
公開予定日を最新話に記載しておりますが、長期休載の場合はこちらでもお知らせをさせて頂きます。
※ド素人の書いた3作目です。まだまだ優しい目で見て頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。
※初公開から2年が過ぎました。少しでも良い作品に、読みやすく…と、時間があれば順次手直し(改稿)をしていく予定でおります。(現在、146話辺りまで手直し作業中)
※章の区切りを変更致しました。(9/22更新)
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
この度娘が結婚する事になりました。女手一つ、なんとか親としての務めを果たし終えたと思っていたら騎士上がりの年下侯爵様に見初められました。
毒島かすみ
恋愛
真実の愛を見つけたと、夫に離婚を突きつけられた主人公エミリアは娘と共に貧しい生活を強いられながらも、自分達の幸せの為に道を切り開き、幸せを掴んでいく物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる