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完結後番外編
【書籍刊行記念SS第四弾】 ※ 20才三間×14才柿谷
しおりを挟む書籍刊行記念SS第四弾は大学生の三間(20才)と中学生の夏希(14才)が出会っていたら……なif話です。
何で書いたのかと言われたら、書きたかったからとしか……(;´∀`)
こちらも、Xで既出の小話になります。
こちらの有料版のほうも、「いいね♡」を送ってくださっている方がいて、本当にありがとうございます。
明日の夜はちょっとしたお知らせがあるので、ご興味の方はXか近況ボードを見ていただけたら嬉しいです。
以下、SS本文。
* * * *
その日は朝目覚めたときから、なんだか熱っぽかった。
靄がかかったような頭で日曜日だったことを思い出し、もうしばらく惰眠を貪ろうかと思ったが、続けてもう一つ大事なことを思い出した。
(そうだ……。お母さんのプレゼント、買いに行くんだった……)
明後日は母の誕生日だ。
平日は遅くまで出歩けないから、間に合わせるには今日しかない。
そう思い、重い体を引きずるようにしてベッドから這い出した。
美容師をしている母は、基本的に土日は仕事だ。身支度を整え、襖一枚で仕切られたダイニングに向かうと、すでに姿がなかった。
季節の変わり目で朝晩冷え込んできたのに、昨夜は毛布一枚で寝てしまっていた。
体の火照りは風邪の引き始めかと思い、それ以上気に留めなかった。ぼんやりしていて、理由を気にするだけの思考力がなかったとも言える。
普段なら朝は自分でトーストを焼き、適当にマーガリンやジャムを塗って食べるが、今日は食欲もなかった。解熱剤を飲むついでにコップ1杯の水で胃袋を満たし、歯磨きをしたのち、念のためマスクをつけて家を出た。
駅まで歩いて15分。そこから電車で数駅行けば、ショッピングモールの入った大きな駅がある。
そこかしこに金木犀が植えられているのだろうか。道を歩いている間、マスク越しにかすかに甘い香りを感じていた。
風邪が悪化したら明日は学校を休むことになる。あまり体が辛いようなら途中で引き返そうと思っていたが、歩いているうちに眠気が覚め、熱っぽさも少しやわらいでいたので、駅に着くとそのまま改札を抜けてホームへと向かった。
すし詰めというほどではないが、車内はそれなりに混雑していた。空席はなく、ドアの近くのポールを掴める場所に立つ。
ドアが閉まり電車が動き始めると、すぐに違和感が訪れた。
乗り込む前から薄っすらと感じていた甘い香りが、閉じられた空間の中で、急に濃くなり始めたのだ。
意識してみれば、それは金木犀のような爽やかさはなく、息が詰まりそうなほど甘ったるい匂いだった。覚えのあるその甘さに一つの予感が頭をかすめ、急に胸が騒がしくなる。
最初の停車駅ではドアが開き一瞬匂いが薄くなったため、誰かの香水の匂いだと思い込みたい気持ちが働き、降りるタイミングを失った。けれど、ホッとしたのも束の間、電車が動き出せば、すぐにまた、他人の体臭や整髪剤の匂いが甘い香りに塗りつぶされていく。
匂いだけではない。自身の体の異変に気付くのにも、さほど時間はかからなかった。
熱っぽく気怠いのは起きたときからだが、その熱が徐々に下腹部へと沈んでいくのがわかる。身じろぎするだけで、服で擦れた肌に感電したような痺れが走った。
熱くなった下腹部が切なく疼くのは、ただの腹痛とは明らかに違う。前だけでなく背中の奥までもがじんじんと熱を持ちはじめる。やたらと唾液が湧いてくるのに、喉奥は焼けつくように乾いていた。
ふらつきそうになる体を、両手でポールを握りしめて立っているのがやっとだった。
「なんかすごいいい匂いしない?」
「これってあれじゃね? ヤバっ」
周囲の乗客の話し声で、匂いに気づいているのが自分だけでないとわかる。
ざわめきに煽られ、胸騒ぎがどんどん膨れ上がっていく。
「オメガだ」
「ヒートだ」
喧騒から拾い出した言葉で自分の状況をはっきりと理解した。
(やっぱり……この匂いはオメガのヒートフェロモン……)
ここまで香りが濃くなれば、さすがにわかる。母もオメガで、周期的にくるヒートの間は似たような甘い香りを漂わせているから。
検査でオメガと判定されて以降、いつかは自身にも起こりうることだと覚悟していた。
発情抑制剤の量は人によって違い、普通は病院を受診しなければ処方してもらえない。緊急用のペン型の抑制剤だけは体重や年齢に関係なく急なヒートの際に使うことができ、母からも外出時には携帯するように言われていた。
オメガが人のいる場所でヒートを起こし、理性を失ったアルファやベータに襲われたという事例は、性教育の授業でも教わった。普段なら、外出時に緊急用の抑制剤を携帯する用心深さは持ち合わせている。忘れてしまったのは、おそらく目覚めたときにはすでにヒートが始まっていて、そのせいで注意力が散漫になっていたせいだ。
幸いにも適度に混みあっているおかげで、僕が匂いの原因だと気づいている人はいなさそうだった。
車内に次の停車駅を知らせるアナウンスが流れ、体に減速の圧がかかる。
電車が止まって扉が開き、掃き出されるように人々が降りていく。
「僕も降りないと」と頭ではわかっているのに、両手をポールから離すことができなかった。
手を離せば、自力で立つことすら叶わなくなり、無様にその場に崩れ落ちてしまいそうな気がする。そうなればオメガだと気づかれ、一斉に注目を浴びてしまう。もしかしたら力のある男たちに襲われてしまうかもしれない。
そんな想像に身を竦ませている間に、扉近くの乗客が降り、ホームで列を作っていた人たちが雪崩れ込んできた。
「降ります」と声を出すこともできず、混乱と荒れ狂う情欲への恐怖で、視界が涙で滲んだ。
そんな中、目の前で「あら」という女性の声がした。
香水だろうか。すごく甘くいい匂いがする。
俯かせていた顔をそろそろと上げると、色白のほっそりとした首に巻かれた黒いチョーカーが目に入った。
オメガの女性――それだけで、安心感からポールを掴む手の力が少しだけ緩む。
「あなた、とりあえず一旦電車を降りたほうがいいんじゃない? ハル――」
女性が振り返った瞬間、頭上から影が差したように急に視界が暗くなった。
「ドアを頼む」
そう言ったのは低い男性の声だった。
女性の背後から乗り込んできた男性が女性と入れ替わり僕の前に立つ。
顔を上げることはできなかったが、すごく背が高いことは、ウエストの高さからわかる。
直感で、アルファだと思った。
「支えるから自分で歩けるか? 歩けないなら抱える」
物心ついた頃には父親がおらず母一人子一人の生活だったから、大人の男――特に大柄な人は昔から苦手だった。
苦手なタイプの典型のような人なのに、気づけば素直にポールから手を離し、倒れ込むように体を預けていた。
一応、自分でも足を動かしていたが、ほとんど引きずられるようにして電車を降りた。ドアを押さえていた女性も、僕たちに続きホームへと降りてくる。
「私がついてるから、ハルは駅員さんを呼んできて」
「お前がついてたって、襲われたときにどうすることもできないだろ。このまま医務室に連れて行く」
「大丈夫なの? あなた一応アルファでしょ」
「一応ってなんだ。普通にアルファだ。ただ、フェロモンにはそれなりに耐性がある」
二人が話している間も、僕は男性の体に両腕を回ししがみついていた。
情欲は変わらず下腹部で荒れ狂っていて、何かにしがみついているほうが気を紛らせられる。それに、アルファの匂いだろうか。自身の甘いフェロモンに混じる男性の匂いには、離れがたい吸引力があった。
アルファの男性とオメガの女性。二人はきっと恋人同士なのだろう。それなのに、恋人の目の前で男性に抱きついているという現状をなけなしの理性で理解し、ようやく絡めていた腕を緩める。
「僕……医務室には一人で行けるので……大丈夫です……」
なんとかそう絞り出し、離れようとしたものの、背中に回されていた腕で力強く引き寄せられ、再び身動きが取れなくなった。
「医務室に行けば緊急用の抑制剤もあるだろ。ユウミは次の電車で先に行ってくれ。俺はこいつを医務室に連れて行く。もし、俺が開演に間に合わなかったときは、忠さんに代役よろしくって伝えてくれ」
「でも……、私がいたほうが、その子も安心できるんじゃない?」
「主役が遅刻するわけにいかないだろ」
男性の名前が「ハル」さんで女性が「ユウミ」さん。会話の内容からして、二人ともこれから演劇の舞台に出る予定でもあるのだろうか……。
そんなことをぼんやりと考えていると、ふいに男性が腰をかがめ、膝裏に手を入れて軽々と僕を抱え上げた。いわゆるお姫様抱っこってやつだ。
「うわっ! えっ……⁉」
艶やかな睫毛の一本一本までもが見て取れるほどの近さで顔を覗き込まれ、僕は慌てて目を逸らした。下腹部に降りていた熱が今度は一気にせり上がり、顔や耳を熱くする。
「落ちたくなかったら俺の首に腕を回して」
「あ、はい……すみません」
ここで頑なに拒絶するほうが、逆に迷惑をかけることくらいわかる。僕は彼の言葉に素直に従い、そろそろと両腕を伸ばした。
ホームにはいつのまにか遠巻きに人だかりができていて、騒ぎに気付いたのか駅員も駆けて来る。
「オメガのヒートですか? 緊急抑制剤は打ちました?」
駅員の問いに、僕に代わって答えたのはハルさんだった。
「まだです。未成年者だから、薬を使うのは保護者に連絡してからがいいでしょう。ひとまず医務室に運んでもいいですか?」
「あ、そ、そうですね。こちらへどうぞ」
「じゃ、そういうことでよろしく」
ユウミさんに声をかけ、ハルさんが歩き出す。
「あ、あの……ありがとうございました」
彼の肩越しに、僕たちを見送るユウミさんに礼を言うと、彼女は心配そうな表情を崩さず、小さく片手を振った。
「その人、顔は怖いけど、悪い人じゃないから。心配しないで」
「ひと言余計だ」
ぼそりと呟く声が耳元で聞こえる。
彼が歩くのに合わせてわずかに体が上下し、そのたびに硬質な髪が頬や首筋をチクチクと刺す。その刺激すらも気持ちよかった。
トクトクと高鳴る鼓動が触れ合う胸から伝わってしまいそうで恥ずかしい。今日初めて会った人なのに、ずっとこの腕の中にいたいと思ってしまうのは、やっぱり僕がオメガだからだろうか。
駅員がドアを開けておいてくれたエレベーターに乗り込む。年配の駅員の男性はうなじに傷があり、小柄な体格からして彼もオメガのようだった。
1階に降りると、駅事務室の裏手にある小部屋へと案内された。僕を抱えたハルさんと駅員が入れば、それだけで窮屈に感じられるような狭い部屋だった。
そこにある簡易ベッドへとそっと下ろされる。
ハルさんがすぐに毛布を引き上げてくれたのは、僕の‟前”が、それとわかるほどに膨らんでいたからだろう。
「すみません……」
「謝る必要はない」
返されたのは、迷いのないきっぱりとした言葉だった。
「オメガのヒートは、初めてなら予測しようがないし、抑制剤が効かない人だっている。本人にはどうすることもできないんだから、赤ん坊の泣き声と一緒だろ」
「赤ん坊……ですか?」
ハルさんは小さく頷いた。
「人のいるところで赤ん坊が急に泣いたとしても、誰かに迷惑をかけたくて泣いてるわけじゃないだろ。オメガのフェロモンも同じだ。オメガであることも、ヒートがくることも、生き物の理で、本人に非はない」
ただ事実を述べているだけのようなそっけない口調が、かえって気持ちを軽くしてくれた。
「緊急用の発情抑制剤はありますか?」
ハルさんは背後に立つ駅員を振り仰いだ。
「あ、はい。こちらに」
駅員は部屋に入ってすぐに部屋の隅にあったカートから薬を取り出していて、それを掲げてみせた。
「私が打ちましょうか。何度か自分にも使ったことがあります」
「お願いします」とハルさんは駅員に答え、再びこちらに顔を向ける。
「親御さんに電話して、電話は繋がるか? できれば親御さんの許可をもらってから薬を使うほうがいい」
言われるがままに母の職場に電話をかけたところ、母はちょうど仕事の合間だったようで、すぐに電話に出てくれた。抑制剤を使う許可をもらい、仕事を抜けて迎えに来てくれることになった。
換気扇の音はするが、密閉された狭い部屋にいる分、フェロモンの匂いはかなり濃くなっている。
電話をする間、僕を見下ろすハルさんの顔は、キツく眉根を寄せ、何かを懸命に堪えているように見えた。
電話を終え、彼に会話の内容を伝える。
「あの……、あとはもう大丈夫です。ここまでしてくださり、ありがとうございました」
「抑制剤を使ったあと、副作用が出ることもあるからな。乗り掛かった舟だし、親御さんが迎えに来るまでここにいる」
「でも……、これから演劇か何かに出る予定なんですよね?」
ハルさんは照れ隠しのように、むすっと口元を引き締めた。
「大した役じゃないから、気にしなくていい」
申し訳ないと思いつつ、正直、その言葉にホッとした。
今日で切れてしまう縁だと思えば、できることならもう少しだけ一緒にいてもらいたかった。
駅員さんがペン型の注射器である抑制剤を僕の太股に打つ間、ハルさんは飲み物を買いに行ってくれた。
駅員はハルさんと僕のことを知人同士だと思っていたようで、彼が戻ってくると、彼に僕のことを任せて入れ替わりにいなくなった。
薬を使用してすぐに体の熱は引いていったが、薬の副作用なのか、代わりに眠気が襲ってきた。
僕が寝入ってしまうまでの間、ハルさんはベッドサイドにしゃがみこんでとりとめもない話をし、子供をあやすように毛布越しに背中をさすってくれていた。
彼が「フェロモンに耐性がある」と言っていたのは、一緒にいた彼女の影響かと思っていたが、彼の母親がオメガだったからだそうだ。子供の頃は、ヒートの間だけ人が変わったようになる母親にどう接してよいかわからず、優しくできなかったのだという。
ヒートのオメガをほっとけないのは、そのときの後悔があるからかもしれない。
オメガだとわかって以来、自分の性を恥じる気持ちしかなかったけれど、彼といると少しだけ、オメガの自分を好きになれる気がした。
いつか僕も、こんなアルファと恋をすることができるのなら、オメガであることも悪いことばかりではないのかもしれない。そんなことを思いながら、僕は眠りに落ちた。
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