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EPISODE 23「向かったのは」
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シリウスと話をしてから、数ヶ月が経った。
護衛の依頼を受けられるのはD級以上じゃないと駄目だと知ったので、急ピッチで級昇格する。
時々、私が級を上げていくのに嫉妬してきた冒険者がいちゃもんつけてきたが、問題なく対処していった。
そして、今は小鬼族退治の依頼を進行中だ。
「よし、これで依頼の小鬼族は倒したな」
依頼内容に書かれた数の小鬼族を倒して、帰路につこうとした時小鬼族の声が聞こえた。
声のした方を見ると、そこには数匹の小鬼族が何か話し合っているようで、私の方を見ていた。
「(嫌な予感がする……。“探知”) !」
近くにいる数匹の他に崖に大きな穴が開いていて、そこに何十匹もの小鬼族がわんさか居た。
その中に、人のような気配を三つ感じた。
小鬼族は女性を捕まえて、苗床にする習性があった筈だ。
このまま放っておくのは気分が悪い。
助けておいた方が良さそうだ。その後、彼女らがどうするかは知らないが……。
ヒソヒソと話し合ってたらしい小鬼族達は魔法で対処して、探知した所に行くと洞窟そのものが小鬼族の巣になっていた。
「(念の為、巣の周りに結界を張っておこう。逃げられて街に被害をもたらされたら嫌だしな)」
結界を張ってから、私は小鬼族の群れに飛び込んだ。
ダガーで小鬼族達の首を掻っ切っていく。
そこまで大きくなかったから、ものの数十分で全滅出来た。
少し探索すると奥の方に扉を見つけた。
そこを開けると、三人の女性がボロボロの服を着て横たわっていた。
気を失っているみたいだ。
「……? …誰?」
一人の女性が目を覚ます。
「E級冒険者兼騎士団寮寮父のアメと申します」
「!? お願い!私を殺して!」
「!」
「あんな小鬼族の子供なんて産みたくないの!どうせ産むくらいなら、今ここで!私を殺して!お願いよ!」
「っ……申し訳ありませんが、一般女性を殺すのは私の信条に違反します」
「じゃあ、自害するわ!このダガーを貸して!早く!」
「“眠術” “浮遊”」
魔法で女性を眠らせて、三人を浮かせる。
流石に女性三人を一人で運ぶのは無理がある。
念の為、毛布で三人を包む。
服はボロボロだったし、あのままじゃ風邪ひきそうだからね。
さっさと街に戻る。門番の人にどうしたのかと問いただされたが、小鬼族の巣を殲滅してきたとだけ伝え、彼女らを押し付けた。
今日は少し精神がやられたようだ。
早めに切り上げて、もう休もう。
《……灯万里、あんまり無理しちゃいけないよ?》
「……いや、大丈夫さ。冒険者と寮父をやっていればそのうち慣れるだろうし」
《だからって、自分の事そっちのけで届けてほしいなんてお願いしてないさ。少しは自分の事を______》
「アーサー」
《!》
「私は大丈夫だよ。貴方が心配することじゃない。大丈夫だから」
そう言って、私は歩を進めた。
大丈夫……うん、大丈夫だ。
「______」
人に弱さを見せてはいけない。
大丈夫だと心の中で、自分に言い聞かせる。
「______!」
あまり人と関わらないように……。
あんな事が起きたのは、私のせいなんだから。
「おい!アメ!」
「!?」
ハッとなって、声のした方に振り返る。
そこに居たのは買い物帰りなのか、買い物袋を持ったアベルさんだった。
「あ…アベル、さん?どうしたんです?こんな所で」
「シリウスから買い物頼まれてな。その帰りにお前を見かけたんだ。何回も呼んだのに、無反応なのは流石に酷い」
「あ……ごめんなさい。ちょっと考え事してて……」
「そうか……それなら仕方ない。この後暇か?良い店知ってんだ。一緒に行こうぜ」
少し嬉しそうに私を誘うアベルさん。
初めて会った時より表情が緩くなったなと思いながら、二つ返事で承諾する。
「じゃあ、先にその荷物を寮に置きに行きましょう。持ったままじゃ楽しめないでしょ?」
「ん」
また嬉しそうに返事して、数十分かけて寮に戻る。
シリウスに一言伝えて買い物袋を置いてから、また出かける。
「アメ、ん」
「!」
アベルさんが手を差し出す。
その行動に驚きつつも、差し出された手を握る。
嬉しそうに彼は頬を緩ませた。
また数十分かけて、街へと下りる。
あれ?そういえば、何でアベルさんは私と手を繋いでいるんだろう?
チラリとアベルさんを見ると、口角が少しだけ上がっていた。
何だか嬉しそうだ。
先に自由組合で依頼達成の報告してから、また歩き出す。
「ここだ」
暫く歩いて着いたのは、路地裏にひっそりとある小さな雑貨屋さんだった。
「あの、アベルさん。ここは?」
「俺が気に入ってる雑貨屋だ。部屋に飾ったり普段使いできる奴もある。店主の“イザベル”は依頼さえあれば色んな国の情報を売り買いしてるから、時々ここに来るんだ」
そうなんだ。
色んな国の情報を売り買いしてるなら、あの国の情報もあったりするのかな?
正直気になってた。
私はインテグリン王国の王妃から国外追放を言い渡された身だけど、あまり内情を知らない。
何か知れれば良いんだけど……。
「邪魔するぞ、イザベル」
「おや、騎士団副団長のアベル様じゃないか。珍しいねぇ、彼女を連れてくるなんて」
「え?彼女?」
護衛の依頼を受けられるのはD級以上じゃないと駄目だと知ったので、急ピッチで級昇格する。
時々、私が級を上げていくのに嫉妬してきた冒険者がいちゃもんつけてきたが、問題なく対処していった。
そして、今は小鬼族退治の依頼を進行中だ。
「よし、これで依頼の小鬼族は倒したな」
依頼内容に書かれた数の小鬼族を倒して、帰路につこうとした時小鬼族の声が聞こえた。
声のした方を見ると、そこには数匹の小鬼族が何か話し合っているようで、私の方を見ていた。
「(嫌な予感がする……。“探知”) !」
近くにいる数匹の他に崖に大きな穴が開いていて、そこに何十匹もの小鬼族がわんさか居た。
その中に、人のような気配を三つ感じた。
小鬼族は女性を捕まえて、苗床にする習性があった筈だ。
このまま放っておくのは気分が悪い。
助けておいた方が良さそうだ。その後、彼女らがどうするかは知らないが……。
ヒソヒソと話し合ってたらしい小鬼族達は魔法で対処して、探知した所に行くと洞窟そのものが小鬼族の巣になっていた。
「(念の為、巣の周りに結界を張っておこう。逃げられて街に被害をもたらされたら嫌だしな)」
結界を張ってから、私は小鬼族の群れに飛び込んだ。
ダガーで小鬼族達の首を掻っ切っていく。
そこまで大きくなかったから、ものの数十分で全滅出来た。
少し探索すると奥の方に扉を見つけた。
そこを開けると、三人の女性がボロボロの服を着て横たわっていた。
気を失っているみたいだ。
「……? …誰?」
一人の女性が目を覚ます。
「E級冒険者兼騎士団寮寮父のアメと申します」
「!? お願い!私を殺して!」
「!」
「あんな小鬼族の子供なんて産みたくないの!どうせ産むくらいなら、今ここで!私を殺して!お願いよ!」
「っ……申し訳ありませんが、一般女性を殺すのは私の信条に違反します」
「じゃあ、自害するわ!このダガーを貸して!早く!」
「“眠術” “浮遊”」
魔法で女性を眠らせて、三人を浮かせる。
流石に女性三人を一人で運ぶのは無理がある。
念の為、毛布で三人を包む。
服はボロボロだったし、あのままじゃ風邪ひきそうだからね。
さっさと街に戻る。門番の人にどうしたのかと問いただされたが、小鬼族の巣を殲滅してきたとだけ伝え、彼女らを押し付けた。
今日は少し精神がやられたようだ。
早めに切り上げて、もう休もう。
《……灯万里、あんまり無理しちゃいけないよ?》
「……いや、大丈夫さ。冒険者と寮父をやっていればそのうち慣れるだろうし」
《だからって、自分の事そっちのけで届けてほしいなんてお願いしてないさ。少しは自分の事を______》
「アーサー」
《!》
「私は大丈夫だよ。貴方が心配することじゃない。大丈夫だから」
そう言って、私は歩を進めた。
大丈夫……うん、大丈夫だ。
「______」
人に弱さを見せてはいけない。
大丈夫だと心の中で、自分に言い聞かせる。
「______!」
あまり人と関わらないように……。
あんな事が起きたのは、私のせいなんだから。
「おい!アメ!」
「!?」
ハッとなって、声のした方に振り返る。
そこに居たのは買い物帰りなのか、買い物袋を持ったアベルさんだった。
「あ…アベル、さん?どうしたんです?こんな所で」
「シリウスから買い物頼まれてな。その帰りにお前を見かけたんだ。何回も呼んだのに、無反応なのは流石に酷い」
「あ……ごめんなさい。ちょっと考え事してて……」
「そうか……それなら仕方ない。この後暇か?良い店知ってんだ。一緒に行こうぜ」
少し嬉しそうに私を誘うアベルさん。
初めて会った時より表情が緩くなったなと思いながら、二つ返事で承諾する。
「じゃあ、先にその荷物を寮に置きに行きましょう。持ったままじゃ楽しめないでしょ?」
「ん」
また嬉しそうに返事して、数十分かけて寮に戻る。
シリウスに一言伝えて買い物袋を置いてから、また出かける。
「アメ、ん」
「!」
アベルさんが手を差し出す。
その行動に驚きつつも、差し出された手を握る。
嬉しそうに彼は頬を緩ませた。
また数十分かけて、街へと下りる。
あれ?そういえば、何でアベルさんは私と手を繋いでいるんだろう?
チラリとアベルさんを見ると、口角が少しだけ上がっていた。
何だか嬉しそうだ。
先に自由組合で依頼達成の報告してから、また歩き出す。
「ここだ」
暫く歩いて着いたのは、路地裏にひっそりとある小さな雑貨屋さんだった。
「あの、アベルさん。ここは?」
「俺が気に入ってる雑貨屋だ。部屋に飾ったり普段使いできる奴もある。店主の“イザベル”は依頼さえあれば色んな国の情報を売り買いしてるから、時々ここに来るんだ」
そうなんだ。
色んな国の情報を売り買いしてるなら、あの国の情報もあったりするのかな?
正直気になってた。
私はインテグリン王国の王妃から国外追放を言い渡された身だけど、あまり内情を知らない。
何か知れれば良いんだけど……。
「邪魔するぞ、イザベル」
「おや、騎士団副団長のアベル様じゃないか。珍しいねぇ、彼女を連れてくるなんて」
「え?彼女?」
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