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2章 ヒーロー活劇を望む復讐者
糸 14
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金銭目当ての盗みなんかじゃない。何を探しているの?白鋏?
それならあたしの制服ポケットにある。
あたしは右手を動かす。束縛する蔦に逆らってポケットに手を入れる。それだけの動作なのに随分とのろまな動きになってしまう。ポケットの縁に手を入れようとしてもそれすらままならない。
痙攣しているように右手が震える。指先が白い柄に触れる。白鋏ね。あと少し。
指で引っ掛けてみようと試みるも爪と柄が接触するだけで右手が進まない。もう少しなのに。
蔦はピンと張り、あたしの体を元の位置に戻そうとする。
諦めきれなくて蔦に抵抗するも筋力が限界を越えて右手は床に手をついた。
「何しているの?」
いつの間にか私の前にすみれが立っていて無駄に抗う様を揶揄した顔で見おろす。彼女の手には黒光りする最悪な武器。あたしの鞄から盗んだのは拳銃だった。
「私あなたが嫌いなの。自分は関係ないですってすました顔してさ。だから、直接殺してやろうと決めていたの」
すみれの話を聞いていなかったそれよりも拳銃よ。
なんで彼女は知っているの?
「これで2人目」
あたしは1度も口に出していない。そのことを知っているのは1人しかいない。
「何が普通の女子高生よ。聞いたんだから6年前のこと」
あたしの思考は止まって、すみれの話に意識を戻す。
「誘拐事件?だっけ?」
心臓の脈が速くなる。少量の空気しか心臓に送られていないとかそんな理屈じゃない。心の底からくる動揺だ。
拳銃だけじゃなく私の過去までも知っている。
「お母さんに会えるといいね」
一言付け加えて銃口がこちらを向く。
ろくに呼吸もできないのに血流は熱く、あたしの怒りは沸点に達する。
こいつに、今日会ったばかりの人に、そんなこと言われたくない。何も知らないくせに、笑われたくない。特に母のことは。
すみれの指が引き金に触れる。火花が散る。
怒りで目頭が熱くなる。涙は出ない。校内を支配する影に赤が混ざる。
「あああああ!腕が!私の腕が!痛い痛い痛い!聞いてない!聞いてない!どうなってんのよ!」
そこに響いたのはすみれの声だった。引き金を引いた右手は縦に割かれて肉と肉の間から骨が垣間見える。
飛び散った外装の破片が顔や肩に刺さってもすみれの意識は右腕にしか向けられない。
この短時間で理解が追いつかない事象が連続で起きた。1つだけ説明できるとするなら、光弥が渡した拳銃が暴発したこと。
光弥はわざと暴発する拳銃を渡したんだわ。なら、暴発するとわかっていてすみれに情報を渡したのは?
そんな疑問が浮かぶ中、ハクがあたしのポケットに爪を入れてくる。白鋏を出そうとする。
「やるなら銃口を向けられる前にしてよ」
目の前では痛みで狂乱するすみれ。身動きができない状況でこれはまずい。彼女の悲鳴が怒りになる前に逃げ出さないと。
ハクがポケットから白鋏を落とす。大きな鉤爪では握り鋏は掴めない。爪の先で弾くようにして私の右手まで持っていく。
手の平に馴染んだ白が収まって、左手の蔦を切る。左手に持ち替えると首、胴の蔦を切っていく。肺に十分な酸素が入り、心臓が歓喜して心音が激しく打つ。
あたしは白鋏で空間を裂く。白い刀とケイを拾い、裂け目の中へと逃げる。
清音も同じように逃げようとをする。
「清音!」
痛みと理解できない現状にすみれは助けを求めて叫ぶ。清音はすみれを一瞥するもすぐに目線は逸らされ、裂け目に飛び込んだ。
それならあたしの制服ポケットにある。
あたしは右手を動かす。束縛する蔦に逆らってポケットに手を入れる。それだけの動作なのに随分とのろまな動きになってしまう。ポケットの縁に手を入れようとしてもそれすらままならない。
痙攣しているように右手が震える。指先が白い柄に触れる。白鋏ね。あと少し。
指で引っ掛けてみようと試みるも爪と柄が接触するだけで右手が進まない。もう少しなのに。
蔦はピンと張り、あたしの体を元の位置に戻そうとする。
諦めきれなくて蔦に抵抗するも筋力が限界を越えて右手は床に手をついた。
「何しているの?」
いつの間にか私の前にすみれが立っていて無駄に抗う様を揶揄した顔で見おろす。彼女の手には黒光りする最悪な武器。あたしの鞄から盗んだのは拳銃だった。
「私あなたが嫌いなの。自分は関係ないですってすました顔してさ。だから、直接殺してやろうと決めていたの」
すみれの話を聞いていなかったそれよりも拳銃よ。
なんで彼女は知っているの?
「これで2人目」
あたしは1度も口に出していない。そのことを知っているのは1人しかいない。
「何が普通の女子高生よ。聞いたんだから6年前のこと」
あたしの思考は止まって、すみれの話に意識を戻す。
「誘拐事件?だっけ?」
心臓の脈が速くなる。少量の空気しか心臓に送られていないとかそんな理屈じゃない。心の底からくる動揺だ。
拳銃だけじゃなく私の過去までも知っている。
「お母さんに会えるといいね」
一言付け加えて銃口がこちらを向く。
ろくに呼吸もできないのに血流は熱く、あたしの怒りは沸点に達する。
こいつに、今日会ったばかりの人に、そんなこと言われたくない。何も知らないくせに、笑われたくない。特に母のことは。
すみれの指が引き金に触れる。火花が散る。
怒りで目頭が熱くなる。涙は出ない。校内を支配する影に赤が混ざる。
「あああああ!腕が!私の腕が!痛い痛い痛い!聞いてない!聞いてない!どうなってんのよ!」
そこに響いたのはすみれの声だった。引き金を引いた右手は縦に割かれて肉と肉の間から骨が垣間見える。
飛び散った外装の破片が顔や肩に刺さってもすみれの意識は右腕にしか向けられない。
この短時間で理解が追いつかない事象が連続で起きた。1つだけ説明できるとするなら、光弥が渡した拳銃が暴発したこと。
光弥はわざと暴発する拳銃を渡したんだわ。なら、暴発するとわかっていてすみれに情報を渡したのは?
そんな疑問が浮かぶ中、ハクがあたしのポケットに爪を入れてくる。白鋏を出そうとする。
「やるなら銃口を向けられる前にしてよ」
目の前では痛みで狂乱するすみれ。身動きができない状況でこれはまずい。彼女の悲鳴が怒りになる前に逃げ出さないと。
ハクがポケットから白鋏を落とす。大きな鉤爪では握り鋏は掴めない。爪の先で弾くようにして私の右手まで持っていく。
手の平に馴染んだ白が収まって、左手の蔦を切る。左手に持ち替えると首、胴の蔦を切っていく。肺に十分な酸素が入り、心臓が歓喜して心音が激しく打つ。
あたしは白鋏で空間を裂く。白い刀とケイを拾い、裂け目の中へと逃げる。
清音も同じように逃げようとをする。
「清音!」
痛みと理解できない現状にすみれは助けを求めて叫ぶ。清音はすみれを一瞥するもすぐに目線は逸らされ、裂け目に飛び込んだ。
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