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1章 神様が作った実験場
空の穴 2
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百貨店で入手したライトもそうだったけれど、地獄に存在するものは汚れて埃にまみれても新品同様であたしが寝ている塵にに塗れたソファも横になってしまえば雲の上のようなスポンジと質のいい皮布で寝心地がよかった。
眠ってからどのぐらい時間が経ったのかしら。起きるのも怠く、呆けた頭で様々なことを巡らす。
充分なほどに休憩はとれたからそれなりに時間は経ったはず。その間にもカンダタは一睡もしていで見張っているみたいね。
あれからカンダタは何もなく、何も言わない。
狂っていないと言い張ってもカンダタの口調には自信というものがない。当然よね。記憶のない自分に信頼なんて生まれない。
時間も忘れてしまう程地獄と孤独をすごしていたのだから気が狂ってしまうものかもしれない。惨めな奴。
君は、どうなんだ。
カンダタに言われた言葉が復唱する。言葉は鏡となってあたしを映す。
自分は正常か?
うるさい。あたしはまともよ。学校でも通学でも。まともなのはあたしだけよ。
寝返りをする。もう、寝転がることに飽きてしまった。起きてしまおうか。
カンダタと顔を合わせたくないけど無意味に寝返りを繰り返しても無駄に時間を潰すだけね。
気だるげに身体を起こす。目覚めの一番、陽気でカラ元気な挨拶をしたのはハクだった。ハクには「憂鬱」なんてものは無縁なんでしょうね。顔をしかめて睨んでもまた耳障りな声でひと鳴く。
そもそも、こいつがいなければあたしが異常者扱いされることもなかった。文句の一つや二つ、三つを付け足しても言い足りない。
多くの罵詈雑言を堪えて、服についた埃を払う。あたしが眠るまえ、カンダタは縁側にいたはず。
縁側に立って庭や廊下を見渡す。どこにもいない。2階かしら。
「よく寝、れたか?」
カンダタの声は上の屋根から聞こえた。
「何してんの?」
1階の屋根に腰掛けていたカンダタは軒先から両足を垂らして、宙に振っている。
「見晴らしがいいんだ。見張るのに、いい」
また奇行かと思ったけれど、正当な理由があったみたいね。
カンダタは勢いよく屋根から跳ねて砂だらけの庭に着地する。
「どのぐらい寝てた?」
「さぁ、計りようがないから。長くは、寝ていない。もういいの、か」
「覚めたわ。寝心地が最悪だもの」
「なら、行こう。でもその前に、一つだけ」
気まずく濁ったその口調は申し訳なく謝罪する。
「これからも、協力し合わないといけない、先を考えると2人の間にしこり、があるといけない。だから、仲直りしよう。すまなかった」
彼も彼なりに悩んでいたみたいね。だからと言って前言撤回されるわけじゃない。
カンダタが放った言葉は彼が見た現実で、その現実を他者であるあたしには変えられない。それと、もう一つ。
「勘違いしているようだから言っておくわ。仲直りは仲のいい者同士でするものよ。あたしたちの間に壊れるものはないのに何を直そうって言うのよ」
「今のは、傷ついた。よく、動く舌、だ」
「あら、ごめんなさい。舌と一緒に生まれたものだから外しようがないの」
「わかった。瑠璃とはもう、言い争わない。勝ち目ないから、な」
「そう、ひとつ賢くなったら早く行きましょう。カンダタが好きな空の穴はすぐそこよ」
カンダタは適当に返事をする。そこには不自然さがあった。
永遠とも言えるような時の中で、ただそこだけを求めて、やっと間近にまで来たというのにカンダタの返事には中身がなかった。彼は戸惑っているみたいね。
だからといって、気を遣う優しさは持ち合わせていない。
眠ってからどのぐらい時間が経ったのかしら。起きるのも怠く、呆けた頭で様々なことを巡らす。
充分なほどに休憩はとれたからそれなりに時間は経ったはず。その間にもカンダタは一睡もしていで見張っているみたいね。
あれからカンダタは何もなく、何も言わない。
狂っていないと言い張ってもカンダタの口調には自信というものがない。当然よね。記憶のない自分に信頼なんて生まれない。
時間も忘れてしまう程地獄と孤独をすごしていたのだから気が狂ってしまうものかもしれない。惨めな奴。
君は、どうなんだ。
カンダタに言われた言葉が復唱する。言葉は鏡となってあたしを映す。
自分は正常か?
うるさい。あたしはまともよ。学校でも通学でも。まともなのはあたしだけよ。
寝返りをする。もう、寝転がることに飽きてしまった。起きてしまおうか。
カンダタと顔を合わせたくないけど無意味に寝返りを繰り返しても無駄に時間を潰すだけね。
気だるげに身体を起こす。目覚めの一番、陽気でカラ元気な挨拶をしたのはハクだった。ハクには「憂鬱」なんてものは無縁なんでしょうね。顔をしかめて睨んでもまた耳障りな声でひと鳴く。
そもそも、こいつがいなければあたしが異常者扱いされることもなかった。文句の一つや二つ、三つを付け足しても言い足りない。
多くの罵詈雑言を堪えて、服についた埃を払う。あたしが眠るまえ、カンダタは縁側にいたはず。
縁側に立って庭や廊下を見渡す。どこにもいない。2階かしら。
「よく寝、れたか?」
カンダタの声は上の屋根から聞こえた。
「何してんの?」
1階の屋根に腰掛けていたカンダタは軒先から両足を垂らして、宙に振っている。
「見晴らしがいいんだ。見張るのに、いい」
また奇行かと思ったけれど、正当な理由があったみたいね。
カンダタは勢いよく屋根から跳ねて砂だらけの庭に着地する。
「どのぐらい寝てた?」
「さぁ、計りようがないから。長くは、寝ていない。もういいの、か」
「覚めたわ。寝心地が最悪だもの」
「なら、行こう。でもその前に、一つだけ」
気まずく濁ったその口調は申し訳なく謝罪する。
「これからも、協力し合わないといけない、先を考えると2人の間にしこり、があるといけない。だから、仲直りしよう。すまなかった」
彼も彼なりに悩んでいたみたいね。だからと言って前言撤回されるわけじゃない。
カンダタが放った言葉は彼が見た現実で、その現実を他者であるあたしには変えられない。それと、もう一つ。
「勘違いしているようだから言っておくわ。仲直りは仲のいい者同士でするものよ。あたしたちの間に壊れるものはないのに何を直そうって言うのよ」
「今のは、傷ついた。よく、動く舌、だ」
「あら、ごめんなさい。舌と一緒に生まれたものだから外しようがないの」
「わかった。瑠璃とはもう、言い争わない。勝ち目ないから、な」
「そう、ひとつ賢くなったら早く行きましょう。カンダタが好きな空の穴はすぐそこよ」
カンダタは適当に返事をする。そこには不自然さがあった。
永遠とも言えるような時の中で、ただそこだけを求めて、やっと間近にまで来たというのにカンダタの返事には中身がなかった。彼は戸惑っているみたいね。
だからといって、気を遣う優しさは持ち合わせていない。
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