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駒鳥は何処へ行く?
もう一人の
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随分長く打ち合っていた。
先ほどから、助太刀しようとして果たせぬ気配がある。
如何やら此の男、此の連中の纏め役と見えた。踏みしめる足が、滑って隙が出来る。
掲げた剣を振り抜いた。
_振り下ろした剣を、飛び込んできたもう一つが受ける。
「久しぶり。相も変わらず愚かなお前」
飛び込んで来た、影は少女。
10を幾つか越えたばかりの娘が、凄絶な笑みを浮かべる。
飛びずさり、体勢を整える。
嫌な予感に、まさかそんな筈はと狼狽える。
くるりと回す剣をパシリと受けて、
笑う。
「あの日約した手合わせをしようよ、胎違い」
唄う様に告げる、彼女は笑顔。
とても怒った時の顔。
最早疑う余地も無く、“胎違いの姉”が其処に居た。
一方的な防戦を強いられる。
此方を追い詰める切っ先は鋭く、如何にか隙を見つけても、手や足が男を打つ。
少女の手足に怯むのかと、云う奴は一度受けてみるがよい。
地母神に祝福された夏は、息をするが如くに術を使った。
正に此れこそ夏の傲慢。
懐かしく忌々しいあの里で、一番強かったのは此の女!
細い棒のような足が、男の急所に叩きつけられる。巨石に打たれたような衝撃が襲う。吹き飛んで背中から叩きつけられたのは、扉。
何時の間にか、追い詰められていた。
「傲慢な夏め」
忌々しく吐き捨てた。
「一体何を云っている?」小首を傾げる。
私とお前の、打ち合う条件は同じ。
「此の魔素の薄い所で、常時発動なんか出来るものか。直ぐに干からびる。必要な時に必要な量だけ、周りから魔素を集めて固めているだけだ」
「どうやら、お前気付いて居ないようだから此れも云っておくが、_」
『次、生まれ変わっても君を愛す』
「なあ、如何だった? 漸くあの子を、お前の剣で貫いた気分は!」
まさか。
まさか、まさか_あの老女。
昔、赤心で約した女。
「嘘だ!」
「…云うに、事欠いて其れか」
本当にお前は愚かな冬だ。
「本当に私の対は見る目がある。私の今生の祖父は普通の人間だった」
だが、
「私の春を、一時預けるに足る人だった!」
先ほどから、助太刀しようとして果たせぬ気配がある。
如何やら此の男、此の連中の纏め役と見えた。踏みしめる足が、滑って隙が出来る。
掲げた剣を振り抜いた。
_振り下ろした剣を、飛び込んできたもう一つが受ける。
「久しぶり。相も変わらず愚かなお前」
飛び込んで来た、影は少女。
10を幾つか越えたばかりの娘が、凄絶な笑みを浮かべる。
飛びずさり、体勢を整える。
嫌な予感に、まさかそんな筈はと狼狽える。
くるりと回す剣をパシリと受けて、
笑う。
「あの日約した手合わせをしようよ、胎違い」
唄う様に告げる、彼女は笑顔。
とても怒った時の顔。
最早疑う余地も無く、“胎違いの姉”が其処に居た。
一方的な防戦を強いられる。
此方を追い詰める切っ先は鋭く、如何にか隙を見つけても、手や足が男を打つ。
少女の手足に怯むのかと、云う奴は一度受けてみるがよい。
地母神に祝福された夏は、息をするが如くに術を使った。
正に此れこそ夏の傲慢。
懐かしく忌々しいあの里で、一番強かったのは此の女!
細い棒のような足が、男の急所に叩きつけられる。巨石に打たれたような衝撃が襲う。吹き飛んで背中から叩きつけられたのは、扉。
何時の間にか、追い詰められていた。
「傲慢な夏め」
忌々しく吐き捨てた。
「一体何を云っている?」小首を傾げる。
私とお前の、打ち合う条件は同じ。
「此の魔素の薄い所で、常時発動なんか出来るものか。直ぐに干からびる。必要な時に必要な量だけ、周りから魔素を集めて固めているだけだ」
「どうやら、お前気付いて居ないようだから此れも云っておくが、_」
『次、生まれ変わっても君を愛す』
「なあ、如何だった? 漸くあの子を、お前の剣で貫いた気分は!」
まさか。
まさか、まさか_あの老女。
昔、赤心で約した女。
「嘘だ!」
「…云うに、事欠いて其れか」
本当にお前は愚かな冬だ。
「本当に私の対は見る目がある。私の今生の祖父は普通の人間だった」
だが、
「私の春を、一時預けるに足る人だった!」
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