魚憑き

湯月@重陽

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二章 高山流水

花嫁御寮

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 肩の凝る仕事を終えて、に帰る。
 点灯する照明。暖色光。

 …眩しい。

 いつの間にやら鏡があった。
 用意した覚えは断じて無い。
 一応、モノトーンで揃えたつもりの部屋に、
  赤漆。なよやかな面影の_……花嫁道具?

「……」顔を覆う。

 身を擦り寄せる様に泳ぐ、黒い魚。
「……」
 身を絡める様に泳ぐ、黒い魚。
 _分かる。
 分かるが、待って呉れ。

「…花嫁道具って実家が揃えて持ち込むんじゃ。…あれ?…違ったか?」

------
 
 プレゼント下賜品らしい。

 そして、其れが始まりだった。
 何の?…贈り物プレゼントの。


 …ついでに見ないふりを決め込んでいたが、玉やら珠やら金銀が、引き出しの隙間から見えた。_見えてしまった。赤、青、緑に紫。
 どれもこれも、丸みのカボションカット。
 川の流れに_急流に_洗われた石は、角を落として丸くなる。模した宝石は、ちょっとばかりの威容だった。

(勘弁して呉れ。)

 女への贈り物か、、…新妻だった、可笑しい事では無い。
 ジャラリと音がする。
 _そっと、引き出しを閉めた。


 
※※※



 今まで中枢に無かった者たちが家事いえごとを回す。きっと其れなりの苦労がある。しかし、「何故にお前には教養が無いのだ」と云う事の理由は、俺ではなくアンタらが放逐した元中枢に聞いて欲しい。
 俺を養育した頃の教育方針など、
 
(其れは、俺が、聞きたい話)



※※※



 蓮咲く池の周りには、皆、滅多に遣っては来ない。
 屋敷からはホンの端だけ見えて、ホントの処は可成りデカい。
 日の翳る此の場所は、少しばかり陰気に見える。少しばかり不気味に見える。

 濁った水から伸びて咲く。花々は濃いピンクの色彩で、グレーに濁った池の面。映った影さえ美しい。
 ボンヤリと時を過ごす。以前は好きに取れた此の時間が、今ではそうはいかなくなった。

「此方で見ると、普通の大きさだな…」

 _蜜香の中で見る此の花々は、倍々程の大きさで、咲き誇る。咲き歌う。

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