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二章 高山流水
見知らぬ オヤ
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翌々日の昼頃。どうにか再び目覚めた処に、入った電話は当然というべきか母方の、件の御家から。
聞き覚えの名乗りに首を傾げれば、相手方でも察したのか、まず、名代連の面々が一度に身罷ったと伝えられた。ついで今回の件で彼等の悪虐も明るみになり、綱紀を引き締めるべきと大規模の人事の変更があった事が伝えられ、神嫁に選ばれた事の祝辞を受けて、出来るだけ早くに御家に顔を出すようにとの苦言を受けた。
「お立場に相応しい振る舞いをなさいますよう」
慇懃に言いおき、切られた通話。
当事者の筈だが置いてきぼりだな、と冷めた頭で思った。
※※※
久方振りに外の空気を吸った。
少し酸素が薄いような息苦しさに、戸惑う。
視界には、いつもの水の流れ。美しい淡色の魚達。
(此の魚達も、神の一柱だったりするんだろうか。)
矢張り、どうにも、今迄とは少し歪んだ景色。
※※※
薄々勘づいてはいたが、どうやら母方の家は此度の大量死で、御家の中枢から放逐されたらしい。
最近の御家で見る顔、見る顔、見たことの無い顔であった。
今も目の前で、生まれてから会った事も数度しか無い_血縁上_父親と呼ばれる生き物が何か喋っている。
「ああも幼い頃より格段の寵を受けて、私も鼻が高い」
災禍を恐れて逃げた人間が、何故、今になって擦り寄るのだろう?
例えば俺が、本当にガキの頃から寵を得ていたんだとして、此の人に何か関係があるんだろうか。
此の人が今、照れた様にハニカむ様な、、何かがあると云うのだろうか?
寵を受けているのは俺であって、_此の人でありはしないのに。
「分かっているとは思うが、良くお仕えする様に。
お前は其の為に、占にて細心を払って作られ、其の上、男形と云う瑕疵の身でも皆様の慈悲によって生きるを赦されたのだから」
…兎にも角にも恩を売りたいんだなと云う事だけは判ったが、「占にて細心を払って作られ、」と「皆様の慈悲によって生きるを赦され」は多分並列しちゃ駄目な奴だ。
“因果に沿ったのだから“と“因果に背いてまで“は、結局どっちだと言いたくなる。
「お前は特別な子だと、信じていたよ」
…此の人は本気で言っているんだろうか?態となんだろうか?
まるで、初めから寄り添っていた様な顔をして。
否、まるで己自身が、言祝がれた様な顔をして_
ふと思いつく。
怖気だつ。_脳裏を横切る考えに。
_真逆。
此の男にとって、俺は己であるのか?
己が、忍従に耐えて、言祝がれたと認識しているのか。
俺の長く苦しい道も、災禍も、奪っていくつもりなのか。
「キモッ」ち悪く無いか?其の考えは?
きょとりとした顔を見る。
別にアンタが、…_別にアンタは、
_関係無いだろうに。
俺の努力に。俺の忍従に。
アンタは、何一つ、関係がない。
聞き覚えの名乗りに首を傾げれば、相手方でも察したのか、まず、名代連の面々が一度に身罷ったと伝えられた。ついで今回の件で彼等の悪虐も明るみになり、綱紀を引き締めるべきと大規模の人事の変更があった事が伝えられ、神嫁に選ばれた事の祝辞を受けて、出来るだけ早くに御家に顔を出すようにとの苦言を受けた。
「お立場に相応しい振る舞いをなさいますよう」
慇懃に言いおき、切られた通話。
当事者の筈だが置いてきぼりだな、と冷めた頭で思った。
※※※
久方振りに外の空気を吸った。
少し酸素が薄いような息苦しさに、戸惑う。
視界には、いつもの水の流れ。美しい淡色の魚達。
(此の魚達も、神の一柱だったりするんだろうか。)
矢張り、どうにも、今迄とは少し歪んだ景色。
※※※
薄々勘づいてはいたが、どうやら母方の家は此度の大量死で、御家の中枢から放逐されたらしい。
最近の御家で見る顔、見る顔、見たことの無い顔であった。
今も目の前で、生まれてから会った事も数度しか無い_血縁上_父親と呼ばれる生き物が何か喋っている。
「ああも幼い頃より格段の寵を受けて、私も鼻が高い」
災禍を恐れて逃げた人間が、何故、今になって擦り寄るのだろう?
例えば俺が、本当にガキの頃から寵を得ていたんだとして、此の人に何か関係があるんだろうか。
此の人が今、照れた様にハニカむ様な、、何かがあると云うのだろうか?
寵を受けているのは俺であって、_此の人でありはしないのに。
「分かっているとは思うが、良くお仕えする様に。
お前は其の為に、占にて細心を払って作られ、其の上、男形と云う瑕疵の身でも皆様の慈悲によって生きるを赦されたのだから」
…兎にも角にも恩を売りたいんだなと云う事だけは判ったが、「占にて細心を払って作られ、」と「皆様の慈悲によって生きるを赦され」は多分並列しちゃ駄目な奴だ。
“因果に沿ったのだから“と“因果に背いてまで“は、結局どっちだと言いたくなる。
「お前は特別な子だと、信じていたよ」
…此の人は本気で言っているんだろうか?態となんだろうか?
まるで、初めから寄り添っていた様な顔をして。
否、まるで己自身が、言祝がれた様な顔をして_
ふと思いつく。
怖気だつ。_脳裏を横切る考えに。
_真逆。
此の男にとって、俺は己であるのか?
己が、忍従に耐えて、言祝がれたと認識しているのか。
俺の長く苦しい道も、災禍も、奪っていくつもりなのか。
「キモッ」ち悪く無いか?其の考えは?
きょとりとした顔を見る。
別にアンタが、…_別にアンタは、
_関係無いだろうに。
俺の努力に。俺の忍従に。
アンタは、何一つ、関係がない。
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