『IF』異世界からの侵略者

平川班長

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2章 市街戦

外話 零の剣聖

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時間は傑達が戦い始めて少したったころ。


「んー♪んんー♪んー」

とある広場のベンチに腰かける男がいた。
彼の名はネロ=マーテル。
ナンバーズの4、恐るべき力を持つ異界の魔術師だ。

彼は遮絶の外で中の様子を式神でうかがいながら、戦況を見つめていた。

(んー、状況は私達の計画通りに進んでますねー。後は、『無垢なる戦姫』を倒せれば……)

彼が考え事をしていると

「こんばんは、いい夜だね」

1人の男が声をかけてきた。
身長は高い。髪を立てて、サングラスをしている。顔も整っていて美男子ではあるのだが、どこかナヨナヨした雰囲気のせいでそうは見えない。

「そうですねぇ、月が綺麗です………さて、貴方はどちら様ですかな?」

男の腰には刀。
どう考えても、守護者の一員であるのは間違いないだろうが、男の発する気が正直低すぎて、敵なのかどうかもわからない。

男は表情を変えずに

「ここが遮絶の基点だな。それを壊しにきた」

質問には答えずに用件を言った。

「答えになっていませんよー?それとも正体
を知られるのがマズイですかー?」

ネロは話しながら思考する。
この男は何者だ?

(…!!……あの刀は………)

男が腰に提げている刀を見て、ネロは驚愕。しかし、それを笑みに変えて

「いえ、失礼しました。貴方がかの有名な『零の剣聖』ですか。その刀が何よりの証拠」

刀の鞘は黒いのだが……発するオーラが抑えられないのか漏れだしてきている。色は紅。

「名刀『紅(くれない)』。私達の世界でも指折りの刀です。そしてそれを使いこなした剣士は歴史上ただ1人、貴方です零の剣聖」

男はその言葉を聞き
フッと笑う。

「なるほど、頭も回るなネロ=マーテル。魔術師としても脅威だが、その観察力と情報処理能力は厄介だ……ここで消えてもらうよ」

しかし、ネロはさらに笑みを深めて

「んんーー!しかし、貴方はこちらの世界に渡り魂を定着させる際に「力のほとんどを使っている」と聞いてますよー?まあ、そのおかげで貴方は死んでいることになっていたのですが……」

「……ああ、その通りだ。当時の力などほとんど残っていないよ」

ネロはその真っ直ぐな返答に少し……

「……そんな貴方で、ナンバーズ4である私に勝てるとでも?」

いや、かなりイラついていた。

ゴウ!!
とオーラが膨れ上がる。
そのオーラは、傑と仁が遭遇した偽者よりも格段に強い!

一方の男……ジュンのオーラは最初のまま。
むしろ「全く無いようにさえ感じる」


「あんまり、無理はしたくないが……あんたは強い。たとえ「偽者でもな」」

ピク
とネロの顔が歪む。

(見抜かれた?戦ってもいないこの数瞬で?)

この男は危険!!

ネロは全力でこの男を排除することを決めた。


「いいでしょう…!!貴方をここで八つ裂きにして、守護者を……」

皆殺しにしてやりましょう!!と続く言葉は途中で途絶えた。

「は?」

「………」

ネロの視界が「上下逆さまになる」
前にいたはずのジュンがいつの間にか後ろに!

ネロの首が落ちていた。


「今度は本物できな」


ジュンの言葉を最後に

ボッ!!とネロの身体が燃える!
燃え尽きる寸前、止まっていた思考を取り戻したネロは

「これが……これが剣聖!!恐るべきかな……ジュン………!……いや、「元、ナンバーズ隊長カミシロ・ジュン」」

恨み言を遺し、消えていった。





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