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2017年

一粒の涙

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あなたへ

あなたが流した、一粒の涙を忘れられません。

それは、あなたの容態が急変し、間も無くの事でした。
あの時のあなたは、話をする事も、その瞳に私達が映る事もなかったけれど、
あの日、あなたは、一粒の涙をこぼしました。

生きたい

その涙は、あなたの声となり、私のところまで、届きました。

体調を崩し、時々、後ろ向きなあなただったけれど、
あの一粒の涙に、あなたの本当の気持ちが見えました。

あなたの手を握りながら、
あなたの為に、何もできない事が、もどかしかった。

私の寿命を、あなたに半分、分けてあげる事ができたのなら、
喜んで、そうしたでしょう。

健康で、毎日を過ごす事。
それは、当たり前の事なんかじゃなくて、毎日が奇跡なのかも知れませんね。

日々の忙しさに、時々、疲れてしまうけれど、
そんな時、精一杯、生きた、あなたの姿を思い出します。

あの時のあなたの為に、今の私は、何が出来るでしょうか。
一粒の涙を思い出しては、時々、そんな事を考えます。

 
2017.01.15
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