拝啓、空の彼方のあなたへ -1000の手紙-

emi

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2018年

あの子の感性

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あなたへ

小さかったあの子が、
初めて写真を撮った日のことを覚えていますか。

今は、携帯電話のカメラで写真を撮ることが殆どですが、
あの頃は、どこへ行く時も、デジカメを持って出掛けていましたね。

写真を撮ることに興味を持ったあの子に、
初めてカメラを貸してあげたのは、
あの子が2才頃だったでしょうか。

あれは、あなたの実家へ遊びに行った日のことでした。

カメラを持った小さなあの子は、
嬉しそうに、
色々なところへレンズを向けては、シャッターを押したのでした。

小さなあの子目線の写真。

お花、風景、あなたの実家で飼っていた犬。

中でも、私たちの目を引いたのは、
近所のおじいちゃんの、後ろ姿の1枚。

その背中から、溢れる優しさや穏やかさ、
積み重ねてきた時間が感じ取れるような、とても素敵な写真でした。

あの子が眠った後で、
とてもいい写真だねと、
あなたとふたり、長い間、眺めながら、
あなたは、言いましたね。

あの子は、汚れていない純粋な心で、ものを見ているから、
こんなに素直な写真が撮れるんだよと。

きっと、あなたも私も、汚れているから、
こんなにいい写真を撮ることは出来ないんだね
なんて、ふたりで笑いましたっけ。

あの時、あなたは言いましたね。

この感性を持ったまま、素直に大きくなってほしいと。

大人へと近づいたあの子とは、
小さな頃のように、一緒に出掛ける機会が随分と少なくなりましたが、
家に帰って来ると、
出先での写真を見せてくれます。

あの子は、あの頃のまま、
ずっと眺めていたくなるような、とてもいい写真を撮っています。

あなたとも、私とも似ていない、
あの子だけが持って生まれた感性は、あの頃のまま、
真っ直ぐに育ってくれたようです。

先日、あの子が見せてくれた、
夜の風景の写真は、特に私のお気に入りです。

今、この瞬間を存分に楽しみながら、
しっかりと前を見て、
懸命に生きているあの子の力強さを感じ取れるような、
とても素敵な1枚。

あなたにも、見せてあげたかった。


2018.05.04
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