59 / 175
第58話 謁見のはず
しおりを挟む
門兵の詰め所に設置されていた転送装置を使って、城内へ入ったが。
「大門が降りて、そこから入ると思っていたが」
「ああ、あれ。あれは幻で、実際は大門はそのまま。元々、あれは観光用なの」
まさかの回答。
観光用というのにも驚いたが。
「観光?観光客なんているのか」
「ここはね。現実の身体持ちと仮想体を持つ人が混ざっている場所なの。もちろん、人の括りに入らない者も多いのよ。私たちみたいな神族系や魔族系も多いわね」
「魔族!魔族というと人間を根絶やしにするのだろう」
「ファンタジーじゃないんだから魔族も私たちと同じよ」
「同じ」
転送装置のあった部屋は、石造りで出来た部屋だった。
扉はなく、高さ2m、幅2m、奥行き2m。
2m四方の部屋。
2人でいるのはちょっと狭い。
「扉がない」
「ああ、これ。資格のない人が侵入できないようになっているから。でも、そろそろ床底が抜けるから待ってて」
床底が抜けるという不穏な言葉。
「はい。抜けました」
そういうとなぜかゆっくりと落ち始める。
「こっちに寄って」
そう言われるがままにトーコの方へ。
「手を繋いでっと。『転移・謁見の間』」
すると周りの石壁は消え、いかにもという感じの部屋に来た。
王が座る豪華な椅子の前は、一段下がっており、そこに跪いて王の許可が降りるまで頭を下げたままになるのだろう…が
「こっち」
その謁見の間と言った場所の豪華な椅子の後ろに歩いて行き、そこにあった扉を開けて出て行ってしまう。
「あれ、謁見の間で謁見するんじゃないか」
「あれも観光用。まあ雰囲気はばっちりだから、謁見ごっこにもってこいよね」
ことごとく観光用に使われている。
どんなところなんだ。
ここは。
扉から出たトーコはそのまま円筒形の周囲を回っているらせん階段に入ってしまう。
「世界樹というか、軌道エレベーターというか、ここは特殊な場所で資格がない人が入ると最初の場所に戻ってしまうの。もちろん、資格があれば、特定の場所からこの中へ入ることができるわ」
「入るとどうなる」
「ここから上の層へ行くことができたり、異なる界へ行くことが出来る。ただし、ここから行けるのは全部で2つ…3つとも言えるか」
「異なる界というのは」
「異なる界というのは、世界の上位にあたる世界を指す、神々がいない世界のことを言っているわ。私たちも、その異なる界に所属しているの。神族と言ってもいろいろあるからね」
だんだん複雑な内容になると、それ以上は聞きたくないと思ってしまうのはなぜだろうか。
「こっちよ」
案内されて入った場所は、ごく普通な家の居間。
テーブルには並んで2つの椅子と向かい側に1つの椅子。
テーブルは、壁側にくっつけて置かれており、その場所には、はめ込み式のモニター。
モニターには、何かが写っていて、絶えず何かを映し出している。
1つの椅子には…
ともえ様が座っていた。
「連れてきました」
トーコが、そんなことを言う。
ここはどこなんだ。
「大門が降りて、そこから入ると思っていたが」
「ああ、あれ。あれは幻で、実際は大門はそのまま。元々、あれは観光用なの」
まさかの回答。
観光用というのにも驚いたが。
「観光?観光客なんているのか」
「ここはね。現実の身体持ちと仮想体を持つ人が混ざっている場所なの。もちろん、人の括りに入らない者も多いのよ。私たちみたいな神族系や魔族系も多いわね」
「魔族!魔族というと人間を根絶やしにするのだろう」
「ファンタジーじゃないんだから魔族も私たちと同じよ」
「同じ」
転送装置のあった部屋は、石造りで出来た部屋だった。
扉はなく、高さ2m、幅2m、奥行き2m。
2m四方の部屋。
2人でいるのはちょっと狭い。
「扉がない」
「ああ、これ。資格のない人が侵入できないようになっているから。でも、そろそろ床底が抜けるから待ってて」
床底が抜けるという不穏な言葉。
「はい。抜けました」
そういうとなぜかゆっくりと落ち始める。
「こっちに寄って」
そう言われるがままにトーコの方へ。
「手を繋いでっと。『転移・謁見の間』」
すると周りの石壁は消え、いかにもという感じの部屋に来た。
王が座る豪華な椅子の前は、一段下がっており、そこに跪いて王の許可が降りるまで頭を下げたままになるのだろう…が
「こっち」
その謁見の間と言った場所の豪華な椅子の後ろに歩いて行き、そこにあった扉を開けて出て行ってしまう。
「あれ、謁見の間で謁見するんじゃないか」
「あれも観光用。まあ雰囲気はばっちりだから、謁見ごっこにもってこいよね」
ことごとく観光用に使われている。
どんなところなんだ。
ここは。
扉から出たトーコはそのまま円筒形の周囲を回っているらせん階段に入ってしまう。
「世界樹というか、軌道エレベーターというか、ここは特殊な場所で資格がない人が入ると最初の場所に戻ってしまうの。もちろん、資格があれば、特定の場所からこの中へ入ることができるわ」
「入るとどうなる」
「ここから上の層へ行くことができたり、異なる界へ行くことが出来る。ただし、ここから行けるのは全部で2つ…3つとも言えるか」
「異なる界というのは」
「異なる界というのは、世界の上位にあたる世界を指す、神々がいない世界のことを言っているわ。私たちも、その異なる界に所属しているの。神族と言ってもいろいろあるからね」
だんだん複雑な内容になると、それ以上は聞きたくないと思ってしまうのはなぜだろうか。
「こっちよ」
案内されて入った場所は、ごく普通な家の居間。
テーブルには並んで2つの椅子と向かい側に1つの椅子。
テーブルは、壁側にくっつけて置かれており、その場所には、はめ込み式のモニター。
モニターには、何かが写っていて、絶えず何かを映し出している。
1つの椅子には…
ともえ様が座っていた。
「連れてきました」
トーコが、そんなことを言う。
ここはどこなんだ。
0
あなたにおすすめの小説
異世界でぼっち生活をしてたら幼女×2を拾ったので養うことにした【改稿版】
きたーの(旧名:せんせい)
ファンタジー
自身のクラスが勇者召喚として呼ばれたのに乗り遅れてお亡くなりになってしまった主人公。
その瞬間を偶然にも神が見ていたことでほぼ不老不死に近い能力を貰い異世界へ!
約2万年の時を、ぼっちで過ごしていたある日、いつも通り森を闊歩していると2人の子供(幼女)に遭遇し、そこから主人公の物語が始まって行く……。
―――
当作品は過去作品の改稿版です。情景描写等を厚くしております。
なお、投稿規約に基づき既存作品に関しては非公開としておりますためご理解のほどよろしくお願いいたします。
神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由
瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。
神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~
於田縫紀
ファンタジー
図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。
その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。
元構造解析研究者の異世界冒険譚
犬社護
ファンタジー
主人公は持水薫、女30歳、独身。趣味はあらゆる物質の立体構造を調べ眺めること、構造解析研究者であったが、地震で後輩を庇い命を落とす。魂となった彼女は女神と出会い、話をした結果、後輩を助けたこともあってスキル2つを持ってすぐに転生することになった。転生先は、地球からはるか遠く離れた惑星ガーランド、エルディア王国のある貴族の娘であった。前世の記憶を持ったまま、持水薫改めシャーロット・エルバランは誕生した。転生の際に選んだスキルは『構造解析』と『構造編集』。2つのスキルと持ち前の知能の高さを生かし、順調な異世界生活を送っていたが、とある女の子と出会った事で、人生が激変することになる。
果たして、シャーロットは新たな人生を生き抜くことが出来るのだろうか?
…………………
7歳序盤まではほのぼのとした話が続きますが、7歳中盤から未開の地へ転移されます。転移以降、物語はスローペースで進んでいきます。読者によっては、早くこの先を知りたいのに、話が進まないよと思う方もおられるかもしれません。のんびりした気持ちで読んで頂けると嬉しいです。
…………………
主人公シャーロットは、チートスキルを持っていますが、最弱スタートです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる