約束の続き

夜空のかけら

文字の大きさ
13 / 48
第9章 理の使命2

72 国軍

しおりを挟む
あの場所へ行くために、よく分からない場所を歩いています。
なぜか、戦闘態勢を整えて…っと言っていたけれど、何をさせるつもりなんだろう。

先頭を歩く、あいつが頭に響く声で停止を言ってきた。前方に、何人か敵がいるらしい。聞けば、弓矢などの遠距離武器で、さらに前方にいる何かを狙っているらしい。
こちらも、遠距離武器である弓を静かに構える形で、待機。お姉ちゃんも同じ声を聴いていたらしく、私と同じく弓を背を低くして弓を放つ体制になっていた。
しかし、あいつは何もしようとしていない。

敵がなにかに向けて矢を放ち始めたらしく、そんな音がする。
あいつが、その敵に向けて矢を放てと言ってきた。頭の中に声がする。おかしな形で。
立ち上がって、指示のあった方に矢を放った。私は1本の木矢(鉄矢は重くて放てない)を放ったはずだったのに、矢が弓から離れたと同時に先端が赤い光の矢になって、分裂しながら複数の敵に突き刺さった。お姉ちゃんも同じだったらしく、私と同じ驚いていた。
赤い光の矢は、そこにいた敵全員に突き刺さったらしく、全員がその矢で倒れていた。まだ、死んでいないようで、のたうち回っている。人数は、10人くらいだろうか。
あいつが、そのうちの1人の頭を掴んで持ち上げた。すごい腕力。あ、強化魔法か。
周りがみんな倒れているので、危険はないかと思って、あいつの元へ行ったら、怒られた。
「周囲の安全確認をする前に出てくるな。何かあったら、まだ面倒だ。」
「その面倒ごとを片付けてくれるくらいしてくれるよね。イタズラの代で。」
「はぁ、まぁいいけどよ。じゃあ、面倒ごとを片付けたら、イタズラをしてやるよ。」
           どきっ
「そんなの許すわけないじゃない。って、聞きなさいよ。」
あいつは、持ち上げた敵に何かを言っている。その敵は、私を見て驚いていた。何を話しているんだろう。
「なぜ、生きている。さっき射殺したはずだ。即効性の毒矢、即死しているはず。」
この敵は、村を、みんなを、私たちを、壊したあいつらか!言いようもない、怒りが湧いてくる、今なら敵を討てる、そんな思いで矢を握ろうとしたら、身体がふわっとした温かさに包まれた。お姉ちゃんだ。私を抱きしめて、「そんなことしなくていいの。」って、囁いている。昔なら、これを振り払って動けたはず。でも、今はなぜか、「そう、私がやる必要はない。」って思っている私がいる。
きっと、あいつがやってくれると思ってしまう私が。
あいつが言う。
「残念だったな。お前らに殺されたから、死にきれなくてな。わざわざお前らにお礼を言うために戻ってきてやったぞ。感謝してほしいものだ。」
「何を言って…。」
「だからなぁ、お前らにお礼を言うだけじゃたりなくてな、お前のお仲間も含めてお礼を言ってやるよ。お前のお仲間はどこにいる。」
「…。」
「ありがとよ、どこにいるか分かったぜ。まさか、国軍だとは思わなかったけどよ。」
「…。」
「ああ、思考を読み取っただけだ、お前は話していないさ。ただなぁ、他の連中はとっくにこの世から出ていったぞ。お前も、もう少しで出発だ。」
「…。」
敵の身体から、力が抜けていくのが分かってしまった。私の時と同じだと。
あいつが、脱力した敵を投げ離す。
「さて、敵がだれだかわかったところで、お礼を言いに行きますか。」
その言葉に、私たちは、はっと 気が付いた感じになって、
「行くって、どこに行くのよ。だいたい、村を襲ったのが国軍ってどういうことよ。この辺は、すっごい田舎だから、ならず者と言ったら盗賊団くらいっていう話しか聞いたことない。」
お姉ちゃんも、
「確か…私たちの村は、どこの国にも所属していないと聞いたことがあります。国軍と言われても、どこの国なのか分かりません。」
あいつが、
「しまったな、国軍としか読んでいなかった。もっと、深く読むべきだったか。」
と言い、悔しがっていたようだったが、何かに気が付いたらしい。
「…いや、まさか。いくらなんでも…、しかし、それしか考えられない?」
独り言?私たちには何も分からなかったから、お姉ちゃんの腕の中から抜け出して、体当たりして言った。
「何言ってるの。私たちにも分かるように話してよ。」
いきなり体当たりしたはずなのに、その行動は分かっていますっていう感じで、抱き留められた形であいつに言う形になってしまい、なんだか身体が熱く茹ってしまった。
お姉ちゃんは、私が抜け出した瞬間に、「あっ!」ってなっていたけれど、次の瞬間に、あいつに抱き着いたように見えたらしく、”やっぱり~”という雰囲気。
違うって、違う。そんなんじゃないって、って、言い訳をしようと思ったけれど、思ったよりも声も出ないし、身体も動かせない。完全にパニックになってた。
話の続きが聞けたのは、あいつが私を開放してくれてから、しばらく経ってからになった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...