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第9章 理の使命2
93 世界の終わり
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エリーさんの舵取りで到着した世界。
そこは、赤茶けた変な場所だった。
何もない。
だた、そんな風景が広がっているだけの場所。
エリーさんは、
「この風景を見て、何か思うところはある?」
と聞いてきた。
私は、
「なんだか寂しいところだなと思った。」
と答えると、エリーさんが
「ここに来て正解だったわ。」との言葉に続いて、おかしなことを言った。
「ここは、世界の終わった場所。もの凄い広さの世界がこんなにも小さくなってしまう場所。この場所の周囲も含めて、世界が凍り付いている場所。ここから何かを生み出すことは、もうないし、このままの状態がずっと続いていくところ。でもね、ある事をすれば、ここを元の世界へ復帰させることができる。ううん、元の世界そのままに復帰させることは難しくても、他の世界と融合させて、この世界を変えることができる。凍っているものを溶かして、本流に乗せることで、最初の時を迎えさせることもできる。」
なんだか、一部分からない用語が出てきたけれど、エリーさんが珍しく長い話をしていたので、黙って聞いていた。
この世界が、終わってしまった世界ということは、なんとなく受け入れられる。
何もないけれど、単に赤茶けた世界。空気があるのかどうかも分からず、私たちの空間は、それを別の場所から見ている。見下ろしているような感じ。
世界全体の大きさもそんなにない。小さいと言ったけれど、どう見たら小さいのかもわからない。ましてや、何をすれば、元の世界に復帰するのか、他の世界と融合させるのかは、分からない。
ふと、私の封印の12個を思い出した。
今はまだ、2個目の封印が解かれただけで、まだ10個も残っている。
順番からすれば、夕の魔法の最上位である明の魔法。
効果は、
光と闇の混合(複合魔法ではない)。光と闇の両方の属性を持ち、かつ両方からの干渉を受けない。逆に、両方へ干渉することはできる。また、効果を打ち消すことも可能。
この世界は、光でも闇でもない。でも、こんなところにこの魔法が有効なのかもわからない。
でも、エリーさんが苦労をして連れてきたから、この魔法がこの世界になんらかの影響をもたらすのは、間違いがない。
たぶん、これをエリーさんに聞いても答えてもらえないと思う。これは、私に課せられた宿題の1つだと思うから。
そして、エリーさんは、こう付け加えた。
「この光景を覚えていて。それがきっとあなたのこれからの糧になるだろうから。いつまでもいつまでも、覚えていて。きっと、この経験があなたを動かす原動力になる。」
そう言うと、何かを言いたそうな、それでいて何も言えないような複雑な表情をして、どこかに行ってしまった。
***
何も考えずに、赤茶けた所を見ている。
一面に赤茶けた世界が広がっている。
というか、赤茶けた色しか見えない。
ふと、その場所に覚えたばかりの光と闇の最上位の魔法を放ってみたらどうだろうかと思った。
ただし、最上位魔法を使った結果、いきなり意識不明になるのもどうかと思ったので、一番低い魔法、光と闇を使うことにした。
まずは、光の魔法。
どこを狙えば分からなかったので、適当な場所をめがけて、撃ってみた。
接触したのかどうか分からなかった。
だけど、しばらくして、接触したと思われる場所から波紋が広がっていくのが見えた。
さっきまでは、揺らぎもなかったのに。
続けて、当初の予定通りに放ったのは闇。
すると、さっきと同じ通りに波紋が広がる。
しかも、さっきと違い、波紋が途切れることなく、広がっていくのが見えた。
波紋の高いところにかすかな光が見える。
波紋の低いところにもかすかな闇が見える。
なんだか、その変化が面白くなった私は、その2つの魔法を交互に連打し始めた。
波紋は、複雑な模様を描きだし、赤茶けていた世界がだんだんと別の色に変化し始めた。
ある場所は、光っている。
別の場所は、暗くなっている。
そんな風に、さっきまでの赤茶けたところはなくなっていた。
波紋はまだ、連続して起きている。
さすがに2つの魔法を初期だと言っても連続して放った私は疲れてきたので、それを止めた。
でも、波紋はまだ続いている。
と、その時、箱船が動き始めた。
なんだか、この場所から離れるようだ。
私がこの世界をまだ見ていたかったから、離れるのは不満だった。
ふと、意地悪をしてみたらどうなんだろうと思った。
基本魔法のすべてではないものの、なんとなく夕の魔法が使えそうな気がした。
光と闇の魔法連打で、なんとなくだけどコツを掴んだ気がしたから。
疲れているし、箱船も離れていくし、たぶん影響はないか少ないかと思って、放ってみました。
そうしたら、逆襲されました。
しかも、放った魔法よりも強いレベルで。
その影響か、私は強い衝撃を受けて昏倒。
あっけなく、意識が落ちてしまった。
そこは、赤茶けた変な場所だった。
何もない。
だた、そんな風景が広がっているだけの場所。
エリーさんは、
「この風景を見て、何か思うところはある?」
と聞いてきた。
私は、
「なんだか寂しいところだなと思った。」
と答えると、エリーさんが
「ここに来て正解だったわ。」との言葉に続いて、おかしなことを言った。
「ここは、世界の終わった場所。もの凄い広さの世界がこんなにも小さくなってしまう場所。この場所の周囲も含めて、世界が凍り付いている場所。ここから何かを生み出すことは、もうないし、このままの状態がずっと続いていくところ。でもね、ある事をすれば、ここを元の世界へ復帰させることができる。ううん、元の世界そのままに復帰させることは難しくても、他の世界と融合させて、この世界を変えることができる。凍っているものを溶かして、本流に乗せることで、最初の時を迎えさせることもできる。」
なんだか、一部分からない用語が出てきたけれど、エリーさんが珍しく長い話をしていたので、黙って聞いていた。
この世界が、終わってしまった世界ということは、なんとなく受け入れられる。
何もないけれど、単に赤茶けた世界。空気があるのかどうかも分からず、私たちの空間は、それを別の場所から見ている。見下ろしているような感じ。
世界全体の大きさもそんなにない。小さいと言ったけれど、どう見たら小さいのかもわからない。ましてや、何をすれば、元の世界に復帰するのか、他の世界と融合させるのかは、分からない。
ふと、私の封印の12個を思い出した。
今はまだ、2個目の封印が解かれただけで、まだ10個も残っている。
順番からすれば、夕の魔法の最上位である明の魔法。
効果は、
光と闇の混合(複合魔法ではない)。光と闇の両方の属性を持ち、かつ両方からの干渉を受けない。逆に、両方へ干渉することはできる。また、効果を打ち消すことも可能。
この世界は、光でも闇でもない。でも、こんなところにこの魔法が有効なのかもわからない。
でも、エリーさんが苦労をして連れてきたから、この魔法がこの世界になんらかの影響をもたらすのは、間違いがない。
たぶん、これをエリーさんに聞いても答えてもらえないと思う。これは、私に課せられた宿題の1つだと思うから。
そして、エリーさんは、こう付け加えた。
「この光景を覚えていて。それがきっとあなたのこれからの糧になるだろうから。いつまでもいつまでも、覚えていて。きっと、この経験があなたを動かす原動力になる。」
そう言うと、何かを言いたそうな、それでいて何も言えないような複雑な表情をして、どこかに行ってしまった。
***
何も考えずに、赤茶けた所を見ている。
一面に赤茶けた世界が広がっている。
というか、赤茶けた色しか見えない。
ふと、その場所に覚えたばかりの光と闇の最上位の魔法を放ってみたらどうだろうかと思った。
ただし、最上位魔法を使った結果、いきなり意識不明になるのもどうかと思ったので、一番低い魔法、光と闇を使うことにした。
まずは、光の魔法。
どこを狙えば分からなかったので、適当な場所をめがけて、撃ってみた。
接触したのかどうか分からなかった。
だけど、しばらくして、接触したと思われる場所から波紋が広がっていくのが見えた。
さっきまでは、揺らぎもなかったのに。
続けて、当初の予定通りに放ったのは闇。
すると、さっきと同じ通りに波紋が広がる。
しかも、さっきと違い、波紋が途切れることなく、広がっていくのが見えた。
波紋の高いところにかすかな光が見える。
波紋の低いところにもかすかな闇が見える。
なんだか、その変化が面白くなった私は、その2つの魔法を交互に連打し始めた。
波紋は、複雑な模様を描きだし、赤茶けていた世界がだんだんと別の色に変化し始めた。
ある場所は、光っている。
別の場所は、暗くなっている。
そんな風に、さっきまでの赤茶けたところはなくなっていた。
波紋はまだ、連続して起きている。
さすがに2つの魔法を初期だと言っても連続して放った私は疲れてきたので、それを止めた。
でも、波紋はまだ続いている。
と、その時、箱船が動き始めた。
なんだか、この場所から離れるようだ。
私がこの世界をまだ見ていたかったから、離れるのは不満だった。
ふと、意地悪をしてみたらどうなんだろうと思った。
基本魔法のすべてではないものの、なんとなく夕の魔法が使えそうな気がした。
光と闇の魔法連打で、なんとなくだけどコツを掴んだ気がしたから。
疲れているし、箱船も離れていくし、たぶん影響はないか少ないかと思って、放ってみました。
そうしたら、逆襲されました。
しかも、放った魔法よりも強いレベルで。
その影響か、私は強い衝撃を受けて昏倒。
あっけなく、意識が落ちてしまった。
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