約束の続き

夜空のかけら

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第9章 理の使命2

94 眠りと覚醒

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私は、今まで眠っていたようだ。
少し前まで、段々と、私を認識してくれる存在が消えていくか、ここから離れていくのが分かる。
そういう存在が消えてしまい、世界が閉塞状態。何も生み出せない状態になって始めて、これが世界の終末。世界が死ぬということだと分かった。
もう、この世界には、何かを生み出すためのちからは残っていない。
時間すらも、影響から外れつつある。
それが、完全に離れてしまえば、私はここで永遠に眠ってしまうことになる。
起こす方法があったとしても、力がなければ意味はない。
また眠ってしまうだけ。
私は、そんなことを思いながら、世界の底辺。力が失せていくのを感じながら、意識が消えていくのを感じていた。
また、どこかで違う形で生まれ変わることを望みつつ、それはあり得ないという絶望の中で。

時間すら凍ってしまい、今がどうなっているのか分からない中で、小さな力を感じた。
小さな力は、凍った世界の一部を溶かしたけれど、圧倒的に多い凍っている場所はそのまま。
私は、その小さな力を受けて一部が覚醒した状態。
覚醒したとしても、この小さい力では、私が覚醒しているだけでの消耗で、また元の状態に戻るだけ。

そんな事を、うっすら感じていた時もありました。
何かが、この世界の外側からどんどん力を入れている。
この力は、世界全体を震わすようになり、かつ、その力によって凍っていた場所を溶かすかのように波紋が広がっていく。
私もその力を受けて、どんどん覚醒していく。
そんなときに、離れていた時間流に接続した。
時間流自体は、底辺に位置するエネルギー体だったけれど、時間による影響もなかったこの世界に取っては、ショック療法的な状態。
膨大なエネルギーが入り、世界全体が覚醒に向かっていくのを知覚した。
私を覚醒させてくれた存在を探すと、この上の世界に位置している小さな、それでいて膨大なエネルギーを持つ空間を見つけた。
時間流のエネルギーが充填されるまで、時間がかかる。
せめて、この世界を再覚醒してもらったお礼を言いたかったけれど、あの空間が離れていく。
きっと、そのうちに分からなくなって、見失ってしまうだろう。
でも、今のこの世界には、それを止める手段がない。
歯がゆく感じながら、その空間は見えなくなってしまった。
何もできなかったと思ったが、次の瞬間、世界全体に小さな、物凄く小さな何かが当たった。
これまでの力とは違う力。
もらった力を消そうとする力だった。
せっかく覚醒したのに、さっきの力とは別の力で、反射的に敵だと思ってしまい、昔と違い、時間流からもらったエネルギーの一部がその敵に向かって放出された。
受け取った小さな小さな相対するエネルギーの数十倍に達するもの。
しかし、もらった相対するエネルギーは、その効果が少し変化していた。
私を消すのではなく、その世界全体にゆらぎを与えてくれた。
密度が濃いところと薄いところ、何にもないところに。

反射的に攻撃したことで、相手との間にパス。特別な繋がりができた。
相手は、この世界を目覚めさせてもらった存在だった。
ただし、反射的に放ったエネルギーを受けて、意識が無くなっていたようだったけど。
お礼も込めて、反射した力だけではなく、エネルギー全体をパッケージにして、贈ってあげた。
パスは、しばらくそのまま繋がっていると、箱船の王様から言われた。
王様は、その箱船の主だそうで、私たちの世界と比べようもないくらいの力に満ち溢れていた。

あれからどれくらいの時間が経っただろう。
私たちは、時間流の中を上昇し続けている。
上昇しきった先は、全ての根源と言われる場所。
世界は、そこで新しく作り替えられ、私がこの世界から離れるとき。
世界全体の意志となってから、かなりの時間が経った。
世界が凍る前に飛び出していった存在とも再開できた。
私の事を直接覚えている者はいなくなっていたけれど、その存在と同等のエネルギー保持によって、同調発生。私の事を思い出してくれた。
世界全体に意思があることに驚いていたけれど。

あと少しで、世界が終わる。
凍っていた時とは違い、エネルギーが保持できない程の力がある。
ここから、また始めればいいのだろうけれど、そろそろここから解放されたいと思う私を責めることができる存在は、そんなにいないだろうと思う。
ただ、心残りは、私を凍り付いた世界から救ってくれた存在。
パスは、私が時間流を上り始めた時に消えてしまい、その後は箱船とも邂逅しなかった。
でも、きっと最後の時を見守ってくれていると信じたい。
あの王様は、「また会おう」と言ってくれたのだから。

とうとう、世界の再生場所についてしまった。
世界の意志から解放されるのを感じる。
長きにわたって、世界と共にいた私が何のしがらみもなく、根源に向かって流れていくのを感じる。

感じていたのは、ほんの少しだった。
どこかの広い場所に、人型の実体を伴ってベットに寝ていたのは。
近くに、遠い遠い場所で出会った王様が座っていた。
なんだか、涙が出そうな感動の中、王様が

「また、会えたな。私たちは、この箱船に来たことを歓迎するぞ。」

こうして、私は世界の意志から、箱船の一員として、受け入れられることになったのだ。
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