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108 違和感

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「これも慣れが必要ね。慣れが」
「これを慣れるのか、想像もつかないぞ」
「メリットが無ければそうかもね。でも、レベルを上げないと大変だから。今日は2人でスライム10匹とゴブリン2匹を狩りました。これくらいやっていればレベルも1くらいは上がっているはずよ」
「レベルが上がるのか」
「そうよ。早く宿へ行って確認してみましょう。その前にギルドへも行かないとね」
「そうだな。早く行こう」

ハジメはよほどここから離れたいらしい。
無理もないか。

森の外へ出るために歩き始めて、また違和感があった。
前をゴブリンがペアで歩いている。
おかしくない?

何か偵察しているかのようだ。
まさか…

「ちょっとストップ。おかしいわ」
「ん、何が?」
「ゴブリンがまた2匹でいる」
「それのどこが…」
「やっつけるわよ」
「お、おい」

「火炎弾」

火弾に比べて一回り大きい火弾が2匹のゴブリンのうちの1匹に突き刺さる。1発で1匹を倒すともう1匹は逃げてしまった。

「あ、しまった」

逃げ出したことに気がついたけど、深追いやここに留まるのは危険と判断した。

「今のうちにここから離れるわよ」

ハジメに言って、森から出る最短ルートを歩く。
音なんかも気にしていられない。

程なくして森を出た。
後ろを見るが追いかけてくるものはいない。
逃げ切れたか。
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