異界審査官の巻き込まれ人生記

夜空のかけら

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29 導き手

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「じゃあ、男性は?」
「町の男性は、導き手と言われていますが、全員ではなく半数くらいです」
「導き手とは」
「導き手とは、男性転生者のうち使命を持っている者に対しての先導役、師範的立場の人をいいます。町にいる者は、この導き手によって町の外の世界に対して影響力を行使しています。政治家や起業家などに対して表向きは占いなどで方向性を伝授しています」
「そういえば、町の関係者が町の外で占い専業の企業をしていると聞いたことがあるなぁ」
「町と同じような立ち位置で、ほぼ同じ企業がいくつかありますが、そのほとんどはこの導き手によるものです。世界には町以外にあと5カ所存在しています」
「俺は天使になってしまった訳だが、導き手だったのか?」
「いいえ、出生から既に昇格対象者になっており、ここに来るのは時間の問題でした。このタイミングで昇格したのは、ともえ様の融合異世界が問題になったからで本来であればもっと遅かったと思われます」

ともえさんが原因だったのか。
でも、ここに来ることは決まっていたから、ちょうど良かったのかもしれないな。

「みどりも候補なんだろう」
「巫女という身分ですので、世界樹に上がらなくても用件は足りています。ただし、融合異世界問題が無かったら、という条件ですが」
「またそれか」
「融合異世界の問題では、お二方以外にも何組かで対応を行っています。町の関係者は…全部で5人くらいでしょうか」
「その融合異世界は、どこまでやれば問題でなくなるのかい」
「現時点では不完全混合状態で、存在自体が揺らいでいます。これを完全混合状態の存在固定が一つの目標となります」
「一応の目標はある訳だ」
「そのため、世界に災いを起す必要があります」
「災い」
「天災が多く、得体の知れない何かを降ろすなどです。世界の一部分では既に星はもちろん宇宙が崩壊してしまった場所などが存在しています」
「宇宙?」
「いわゆる銀河団と言われる宇宙であり、宇宙全体を指している訳ではありません。朝日さんが見ている場所は、特別なフィールドで守られており、現時点では消滅危険はありません。最も、ともえ様が何かをすると危険性が上がってしまう可能性はありますが」

ともえさんは、凄い方らしい。
悪い意味で。

「それで、俺はどう動けば良い」

色々聞いて、自分なりに動こうと思った。
今はまだ、みどりに色々聞いたりしているけれど、1人になった時、何でも出来るようにならなくては。

「深刻に思い悩む必要はありません。世界に馴染んで頂ければ問題のいくつかは解消します。」
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