異界審査官の巻き込まれ人生記

夜空のかけら

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40 効率化

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6本の円柱が円上に並び、印刷が再開されると円の中心から紙が溢れるように出て、円柱に巻き付く。
よく見れば地面には魔法陣が描かれていて、印刷のたびにあちらこちらが輝く。
印刷が終わったと思う紙は勝手に裁断され魔法陣の外にある場所に積み上がっていく。
もの凄い速度で印刷がされるのかと思いきや、印刷のスピードはよく分からないが積み上がる紙の早さは結構な早さだ。

「これを1日中やっているのですか?」

隣に仁王立ちしている親方に聞いてみる。

「連続3時間が限界だ。大事を取って1時間ごとに様子を見ている状況だな。魔力消費もバカにならないのでな、この技術は大量生産というが魔法陣も最新の技術でやってる。あのなんだあれがあった後の技術だな」

『あのなんだあれ』というのは、ともえさんの融合異世界のことじゃないかと思う。
そういえば、世界の中の人たちは、あの事件のことをどういう風に認識しているのだろうか。
そもそも、事件って分かっているのかな。

「実際、参ったよ。どうしてこんな簡単なことに気がつかなかったんだってな。だから、あれは天からの啓示だった。そうだ、天からの贈り物なんだよ」

ふむふむ。
ある意味間違いではないけれど、親方だけかこんな風に感じたのは。
もっと情報収集してみる必要があるのかも。
そういえばグリーンは何をしているのか…?

「なるほどなるほど、ここがこうなって、こういう風になっている訳ね」

印刷機器の下に展開している魔法陣を見て何かつぶやいているようだ。
見て分かるものなのか、これが。
次々と光色が変わるくらいしか分からないこれが何を意味しているのか分かっているように見える。

「あ、ダメダメ、ここが企業秘密。分かってる?」
「え、あ、でもここ間違ってる。こうすれば、効率よくなるよ」
「え?」
「だから、こうこうこういう感じで」

空中に床面に展開している魔法陣の一部を描き出して、ここをこう…と言っている。

「確かに、そう見える。やってくれ」
「はいはい。ゴシゴシ。さらーっと」

書き換えたあと周囲を舞っていた紙の一部が円柱から離れると同時に裁断されて空中に留まってる!?

「で、こう」

裁断された段階のものが冊子に変化して積み上げられていく。

「こりゃ驚いた。製本までやっちまったぞ。効率が上がるなんてもんじゃない、一手間でこうなるとは驚いた。しかも魔力消費まで効率化してやがる」
「えへん。どう?」
「いやはや、恐れ入った」

親方はグリーンの方を向いて何故か祈ってる。
よほど驚いたのだろう。
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