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47 治癒ポッド

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「それでは帰還します」
「あれ?3カ所ではなかったのか?」
「ええそうでした。でも、これ以上世界を見ることがあなたの精神に与えてしまう影響を考えれば、今回はここまでとします。明日は、お休みにして重い重い審査は明後日の予定です。なお、審査開始直後に再転生を言ってもいいのですよ。内容を全く聞かないでそうする方もいます。全部聞くのも良いですが、次回の審査は並みの精神力だとあとに影響しそうな人ですからね」
「入って来て直ぐに言うのか」

確かに殺人者の精神状態など分からないと思う。
殺人常習者とはどんな人物なのか興味はある。

「ちなみに、審査を開始してからならいつでも審査結果を言っていいのですが、開始前に言うのはダメですからね。それはルール違反です」

今日だけでも重い内容だったから、審査は軽く考えてもいいと思った。
重い内容な転生者だったからだが…。

「帰還しました。キャラクターから本体に意識を移します」

その言葉と共に、リクライニングシートに横になった自分の身体に戻っていた。
ここ何回か、このパターンで身体に戻ったりしているせいか、身体の不調に気がつくようになっていた。
今日は、身体が重い。
何となく熱っぽい感じもある。
精神的な負担が、肉体に影響を与えたのか。

「うーん、風邪症候群ですね。悪化しないうちに対処しますので、寝室へ」

寝室へ移動すると、ベッドの横に縦型円筒形で中が液体で満たされた何かがあった。

「これは?」
「身体の不調を身体の中から解消させるための治癒ポッドと言うものです」

要は、これに入れということだろう。

「円筒のどこでもいいですので、手を付いてください」

言われるままに円筒形の真ん中あたりに手を触れると、まるで何も無かったかのように手がずぶずぶと円筒の中に入ってしまう。
そしてバランスを崩した身体全体は、円筒形の中に入ってしまった。
でも苦しくない。
普通に呼吸ができる。
液体も体内に入ってくることなく、それでいて身体の外側全部が接しているのが分かる。
なんだか、触れている場所が暖かくなってきた。
癒やされているとも感じる。

いつしか、円筒形の中央付近に浮かんでいたのだが、無重力状態はこういうものなのかという感じがする。

「この状態で眠ってしまっても大丈夫です。明日になれば身体の不調も治っているはずです」

コア・ブレインの声が聞える。
言っている通りになるだろうと、半分寝てしまった頭で感じている。
そのうち、完全に寝てしまっていた。
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