彼と彼女の暴走日記

夜空のかけら

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第20話 ??日 支配者

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 お姫様からの言葉で、自らの使命に目覚めたと感じている勇者に対し、勇者についていた2人は、大魔術士と大盗賊のスキルを持っていたものの、何も変わらないことに気がついていた。
 大魔術士なのに、魔法と呼べる呪文も魔方陣も何も分からない。召喚された場所から出る時も、床や天井、壁に刻まれていた魔方陣みたいなものの文字も分からなかった。
 大盗賊も同じく、察知系や罠、細工などの技術や記憶もない。ましてや、自分自身が不器用であることを知っているほど、似合わないスキルだった。

「リナちゃん。おかしくない?何も知らないのに、大魔術士だって。こういうとき、魔法とかって、分かるようになるよね」
「うん。私、不器用だけど、盗賊っていうことは、罠とか外すよね?」
「外すわね。細かい作業、苦手?」
「苦手」

 勇者は、お姫様にべったり状態なので、嫉妬からの不満があったものの、自分たちの今の状況を考えると不安に襲われていた。

 “このままだと、大変なのではないか?”

 しかし、次の瞬間、不安は消えて、スキルの使い方を学べば大丈夫という、“どこから得たのか不思議な確信”が両名を包んでいた。

*

『乙女 美好及び佐平 理菜に対し、我々の支配を受けよ。』

 この世界で名前を知られると、どんなことが起きるか、それを2人は知らなかった。
 知らなかった故に、2人は、我々と言われる者たちの操り人形となってしまった。

 お姫様にべったり勇者にも、同じ支配を受けるようにと呪文が施されたのは、その直後だった。
 しかし、支配を受ける前と受けた後でも態度は変わらず、本人も何があったか、分かっていない。

「あれ?あの2人はどこへ行った?」
「いいじゃありませんか。他の者たちが、案内して、しばらくすれば来ますよ」
「そうか。それでは、先に行っていよう」

 2人の支配は、思考だけではなく行動や記憶、身体機能にも及ぶ。精神と肉体の両方を操られ、作り替えられた2人に支配者から逃れるすべはない。
 ただ、2人の本来の精神は、自分の身体がどうなっているのかを窓越しに見ているしかなかった。
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