ヴァンパイアの誘惑

山波斬破

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ボアレア魔法学園

ボアレア魔法学園の学園長

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 私はそっと触れた絵画に、意識を向けて、描かれた時代や文化に画家の投影を見る。この絵画は魔女の裁判の処刑が行われたその場を描いている。

 画家はナボア=クレシタイアと呼ばれ、魔女が栄枯盛衰していく時代に生きた人物で、自己の生き方を疑問に感じ、それを描いた哲学的な人物である。魔女がなぜ裁かれたか? 人にまじないを施し、恋を成就させたり。魂を霊界に送り出し現世にいる魂を導く役目を担っていたのに、と。魔女の顔が優しい表情にも見えるようにも描いたが、評価は血にまみれ死んで絶望をしている。というものになったのだ。ナボアは正しく評価はされなくても後世の魔女に理解してもらえたら良いと、この絵画を残した。


「モリガン先生いましたか」

 白髪を短く切り揃えた初老の男は柔和な笑顔を浮かべながら私に会釈した。学園長のタビアだ。

「学園長、いつのまにいらしていたのですか? 用件はなんですか」

 この学園長は不思議なのだが、私を魔女と見破りました。しかし、今は魔女狩りはないですからね。別段、かくすものでもないけど。

「いえ、何か心配事があるご様子でしたからな。相談があれば聞きましょうと、老婆心から呼び出させていただきました。老婆ではなく老翁ですがね」

 ホッホッと、痩せぎすのタビアは笑って見せた。こちらは、腹を探る意思はないよ? と、言いたげであるが油断はならない。彼は帝国の犬だ。魔女の私を嗅ぎ付けて帝国から何か探るように言われたのかもしれない。ま、猜疑心で見ていても話は進まない。

「いえ、優秀な生徒が入学しましたから、心配事はありませんよ。あるとしたら、少し優秀過ぎやしないかと。人当たりも良いですが、何もなければ良いですが?」

 私を魔女と見破るなら、ヴァンパイアの彼もわかるでしょうに? ということを言いたい。


「これは、失礼。いやはや、やんちゃですな。彼は」

「どういう意味ですか?」

 貴女ならわかりますよね? なんて、目を向けないでいただきたい。

「いえ、少しおいたが過ぎると叱ってあげてくださいね? 先生」

 まったく白々しいやり取りだ。私は踵を返して美術庫を出る。

「学園長から、よろしくお願いいたしますよ」
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