9 / 20
ご婦人達のアドバイス
しおりを挟む
今日も母とレーモント公爵婦人のお茶会に参加していた。
ベレッグ侯爵夫人は情報通でいつも私達母子にアドバイスをしてくれている。
特に社交界でのセレナの動きに注視しているようだ。
「セレナ様が随分と継母と義妹に虐められていると、噂になっていますわ。」
「え?」
「メルリア様、失礼ですがドレスはセレナ様に買っていらっしゃいます?」
「え、ええ、今シーズンも何着かは購入している筈ですが………。」
「着ているものをチェックした方が宜しくてよ。流行遅れの物や同じドレスばかりを着ていましてよ。」
「え?」
「そうやって同情を集めているのです。殿下の婚約者が虐げられていれば、貴族の皆様の良い話の種ですわ。」
「まぁ、知りませんでしたわ。ご忠告ありがとうございます。」
「いえ、セレナ様はハイント侯爵家と益々お近づきになっているようですし、かなり計画的かと……。」
母は神妙な顔で聞いていた。姉にそこまでされる事がショックなのだろう。
「あとミア様に関しても。メルリア様とミア様が共謀してセレナ様を虐待なさっているとか、元々セレナ様の婚約者だったレーモント公子に横恋慕したミア様が我が儘を言って婚約者を奪ったとか言われております。」
「まあっ!!」
母は初めて知ったようで驚いていた。益々顔が青ざめ考え込んでしまった。
私にまで悪評が及んでいることを深刻に受け止めたようだ。
母の様子を見て頷くと、ベレッグ侯爵夫人は今度は私に話し掛けてきた。
「ねぇ、ミア様、わたくしにお手紙書いていただけない?」
「え?」
「セレナ様を中傷する手紙。犯人はミア様でないかとの噂が真しやかに囁かれています。」
「そうなんですね。」
この事は既に予想していた。
逆行前の裁判で自分の書いたとされる手紙が次々証拠として提出されていたのだ。
私が手紙で姉を呼び出して誘拐し、彼女を人質にしてサーフィス様がアーヴァイン殿下の暗殺を狙った事になっていた。
姉を中傷する手紙や姉を呼び出した手紙、それらの筆跡は本当にそっくりで……。
「カーリン女史に出した課題は全て利き手とは逆の手で書きました。」
私は予めカーリン女史に私の書いた物を渡さないようにミレーゼ様に指示されていた。
利き手とは逆の手で文字を書くのは難しくて、随分時間が掛かった。けれど、カーリン女史は他の家庭教師に比べて異常に課題の量が多くて、最近は左手で書くのにも慣れてしまっていた。
「ふふふ、アーヴァイン殿下とセレナ様が何か企んでるようですわ。こちらで対処するので、ミア様は安心してくださいませ。」
社交界デビューがまだの私には反論の機会はない。
ミレーゼ様やベレッグ侯爵夫人のような味方がいることは心強かった。
ベレッグ侯爵夫人の真っ赤な唇が弧を描く。妖艶なその微笑みは宛ら魔女のようだった。
ベレッグ侯爵夫人は情報通でいつも私達母子にアドバイスをしてくれている。
特に社交界でのセレナの動きに注視しているようだ。
「セレナ様が随分と継母と義妹に虐められていると、噂になっていますわ。」
「え?」
「メルリア様、失礼ですがドレスはセレナ様に買っていらっしゃいます?」
「え、ええ、今シーズンも何着かは購入している筈ですが………。」
「着ているものをチェックした方が宜しくてよ。流行遅れの物や同じドレスばかりを着ていましてよ。」
「え?」
「そうやって同情を集めているのです。殿下の婚約者が虐げられていれば、貴族の皆様の良い話の種ですわ。」
「まぁ、知りませんでしたわ。ご忠告ありがとうございます。」
「いえ、セレナ様はハイント侯爵家と益々お近づきになっているようですし、かなり計画的かと……。」
母は神妙な顔で聞いていた。姉にそこまでされる事がショックなのだろう。
「あとミア様に関しても。メルリア様とミア様が共謀してセレナ様を虐待なさっているとか、元々セレナ様の婚約者だったレーモント公子に横恋慕したミア様が我が儘を言って婚約者を奪ったとか言われております。」
「まあっ!!」
母は初めて知ったようで驚いていた。益々顔が青ざめ考え込んでしまった。
私にまで悪評が及んでいることを深刻に受け止めたようだ。
母の様子を見て頷くと、ベレッグ侯爵夫人は今度は私に話し掛けてきた。
「ねぇ、ミア様、わたくしにお手紙書いていただけない?」
「え?」
「セレナ様を中傷する手紙。犯人はミア様でないかとの噂が真しやかに囁かれています。」
「そうなんですね。」
この事は既に予想していた。
逆行前の裁判で自分の書いたとされる手紙が次々証拠として提出されていたのだ。
私が手紙で姉を呼び出して誘拐し、彼女を人質にしてサーフィス様がアーヴァイン殿下の暗殺を狙った事になっていた。
姉を中傷する手紙や姉を呼び出した手紙、それらの筆跡は本当にそっくりで……。
「カーリン女史に出した課題は全て利き手とは逆の手で書きました。」
私は予めカーリン女史に私の書いた物を渡さないようにミレーゼ様に指示されていた。
利き手とは逆の手で文字を書くのは難しくて、随分時間が掛かった。けれど、カーリン女史は他の家庭教師に比べて異常に課題の量が多くて、最近は左手で書くのにも慣れてしまっていた。
「ふふふ、アーヴァイン殿下とセレナ様が何か企んでるようですわ。こちらで対処するので、ミア様は安心してくださいませ。」
社交界デビューがまだの私には反論の機会はない。
ミレーゼ様やベレッグ侯爵夫人のような味方がいることは心強かった。
ベレッグ侯爵夫人の真っ赤な唇が弧を描く。妖艶なその微笑みは宛ら魔女のようだった。
27
あなたにおすすめの小説
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました
鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」
そう言ったのは、王太子アレス。
そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。
外交も財政も軍備も――
すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。
けれど功績はすべて王太子のもの。
感謝も敬意も、ただの一度もない。
そして迎えた舞踏会の夜。
「便利だったが、飾りには向かん」
公開婚約破棄。
それならば、とレイナは微笑む。
「では業務も終了でよろしいですね?」
王太子が望んだ通り、
彼女は“確認”をやめた。
保証を外し、責任を返し、
そして最後に――
「ご確認を」と差し出した書類に、
彼は何も読まずに署名した。
国は契約で成り立っている。
確認しない者に、王の資格はない。
働きたくない公爵令嬢と、
責任を理解しなかった王太子。
静かな契約ざまぁ劇、開幕。
---
“ざまぁ” をします……。だけど、思っていたのと何だか違う
棚から現ナマ
恋愛
いままで虐げられてきたから “ざまぁ” をします……。だけど、思っていたのと何だか違う? 侯爵令嬢のアイリス=ハーナンは、成人を祝うパーティー会場の中央で、私から全てを奪ってきた両親と妹を相手に “ざまぁ” を行っていた。私の幼馴染である王子様に協力してもらってね! アーネスト王子、私の恋人のフリをよろしくね! 恋人のフリよ、フリ。フリって言っているでしょう! ちょっと近すぎるわよ。肩を抱かないでいいし、腰を抱き寄せないでいいから。抱きしめないでいいってば。だからフリって言っているじゃない。何で皆の前でプロポーズなんかするのよっ!! 頑張って “ざまぁ” しようとしているのに、何故か違う方向に話が行ってしまう、ハッピーエンドなお話。
他サイトにも投稿しています。
家出を決行した結果
棗
恋愛
フィービーの婚約者ミゲルには大切な幼馴染がいる。病弱な幼馴染をいつも優先するミゲルや母が亡くなって以降溝が出来てしまった父と兄との関係にフィービーは疲れていた。
デートの約束をしてもいつも直前になって幼馴染を理由にキャンセルされ、幼馴染にしか感情を見せないミゲルを、フィービーを見ようとしない父や兄を捨てる決心をしたフィービーは侍女や執事の手を借りて家出を決行した。
自分を誰も知らない遠い場所へ行ったフィービーは、新しい人生の幕開けに期待に胸を躍らせた。
※なろうさんにも公開しています。
ヒロインが私の婚約者を攻略しようと狙ってきますが、彼は私を溺愛しているためフラグをことごとく叩き破ります
奏音 美都
恋愛
ナルノニア公爵の爵士であるライアン様は、幼い頃に契りを交わした私のご婚約者です。整った容姿で、利発で、勇ましくありながらもお優しいライアン様を、私はご婚約者として紹介されたその日から好きになり、ずっとお慕いし、彼の妻として恥ずかしくないよう精進してまいりました。
そんなライアン様に大切にされ、お隣を歩き、会話を交わす幸せに満ちた日々。
それが、転入生の登場により、嵐の予感がしたのでした。
結婚記念日をスルーされたので、離婚しても良いですか?
秋月一花
恋愛
本日、結婚記念日を迎えた。三周年のお祝いに、料理長が腕を振るってくれた。私は夫であるマハロを待っていた。……いつまで経っても帰ってこない、彼を。
……結婚記念日を過ぎてから帰って来た彼は、私との結婚記念日を覚えていないようだった。身体が弱いという幼馴染の見舞いに行って、そのまま食事をして戻って来たみたいだ。
彼と結婚してからずっとそう。私がデートをしてみたい、と言えば了承してくれるものの、当日幼馴染の女性が体調を崩して「後で埋め合わせするから」と彼女の元へ向かってしまう。埋め合わせなんて、この三年一度もされたことがありませんが?
もう我慢の限界というものです。
「離婚してください」
「一体何を言っているんだ、君は……そんなこと、出来るはずないだろう?」
白い結婚のため、可能ですよ? 知らないのですか?
あなたと離婚して、私は第二の人生を歩みます。
※カクヨム様にも投稿しています。
特殊能力を持つ妹に婚約者を取られた姉、義兄になるはずだった第一王子と新たに婚約する
下菊みこと
恋愛
妹のために尽くしてきた姉、妹の裏切りで幸せになる。
ナタリアはルリアに婚約者を取られる。しかしそのおかげで力を遺憾なく発揮できるようになる。周りはルリアから手のひらを返してナタリアを歓迎するようになる。
小説家になろう様でも投稿しています。
婚約破棄イベントが壊れた!
秋月一花
恋愛
学園の卒業パーティー。たった一人で姿を現した私、カリスタ。会場内はざわつき、私へと一斉に視線が集まる。
――卒業パーティーで、私は婚約破棄を宣言される。長かった。とっても長かった。ヒロイン、頑張って王子様と一緒に国を持ち上げてね!
……って思ったら、これ私の知っている婚約破棄イベントじゃない!
「カリスタ、どうして先に行ってしまったんだい?」
おかしい、おかしい。絶対におかしい!
国外追放されて平民として生きるつもりだったのに! このままだと私が王妃になってしまう! どうしてそうなった、ヒロイン王太子狙いだったじゃん!
2021/07/04 カクヨム様にも投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる