お金のために氷の貴公子と婚約したけど、彼の幼なじみがマウントとってきます

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2.え?貴女がそれをするの?

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 招待客への挨拶を済ませると、私たち二人は離れて友人たちとの談笑に加わった。

 この国の婚約披露のパーティーでは婚約した二人の御披露目をしてから、一旦自分たちの友人に囲まれて惚気話をする流れがある。

「まあ、マウントトール様は男性陣の会話の中にお一人で……?」

 決まりがある訳ではないが、同性の友人たちが集まって語り合うのが一般的だ。
 なのに、エヴァリン様は男性陣のグループの会話の方に女性一人で参加していた。

「先ほどもローザンナ卿とは幼なじみでお互いに知らないことは無いほどの仲だとおっしゃってましたわ」

 え?何考えてるの、あの人?
 婚約披露パーティーでその当事者である男性と仲が良いって触れ回るなんて……。

 ふとアルフォンソ様の方を見ると、エヴァリン様に話し掛けられていて、エヴァリン様はアルフォンソ様の肩を叩いたり腕を触ったり……。

 アルフォンソ様の表情は見えない。

 まあ、こんな人目のある中で、エヴァリン様の手を振り払う訳にもいかないとは思うけど、さすがにちょっと触られ過ぎじゃない?


 男性陣と女性陣のグループはお互いの話し声が聞こえないように結構距離が離れているから、会話の内容が気になってしまう。

「ローザンナ卿って美丈夫ですが、無表情であまりお話にならない印象がありますわ。キャロライン様の前ではどんな風にお話なさるのです? 」

 そばに居た令嬢に話し掛けられて我に返った。
 今はこちらの話に集中しなくちゃ。

 アルフォンソ様は夜会に出ると無表情で無口。令嬢たちの間では氷の貴公子と言われるぐらいだった。きっと彼がどんな風に私を口説いたのか、みんな気になっているのだろう。

「私には初めから優しくて……。無表情だと感じたことは無いですね」

「まあ!そんな姿想像できませんわ。」

 みんな驚いている。そりゃあそうよね。
 私も、有名な『氷の貴公子』があんな人だったなんて知らなかった。私にはいつでも優しいし、どちらかというと捨てられたワンコみたいに見える……。

 まあ、さすがに侯爵令息の事を『捨てられたワンコ』みたいですなんて言えないけど……。

「わたくし、先ほど二人でお話する姿を見ましたら、ローザンナ卿が蕩けるような優しい目をしていましたわ!あんな風に見つめられるなんて羨ましいです」

「私は以前、話し掛けたことがございましたが会話が続かなくて……。マウントトール様相手だとお話なさるようで、彼女がいつもお側にいらっしゃいましたの。わたしてっきりお二人が婚約するものかと……」

「うふふ。この縁談は実はローザンナ侯爵家からお話をいただいたんですの。アルフォンソ様がそれはそれは熱心に、毎日手紙をくださって」

「まあ!あのローザンナ卿が?」

 皆様、無表情で冷たそうな印象のアルフォンソ様が恋文を書いたと聞いて驚いている。
 私も内容に驚いた。その恋文を読んでから、彼のクールなイメージがガラガラと崩れさった。

「ええ、アルフォンソ様の名誉のために内容は伏せますね。けれどとても熱心なご様子でしたので直ぐに求婚をお受けしましたわ」

 若い令嬢はキャーキャーと興奮しながら話を聞いている。やっぱり女の子はみんな恋バナ好きだものね。

 普段は惚気話なんてなかなか出来ないけれど、婚約発表のパーティーでは思いっきり惚気るのが慣習みたいになっている。実はまだ、婚約の打診を受けてから2ヶ月経たないから、惚気話のエピソードは少ない。会ったのは僅か三回だった。

 私が惚気話を披露している間、アルフォンソ様のいる方で『おーーっ!』というどよめきが起こった。

 そちらに視線を移すと、エヴァリン様がフォークに刺したフルーツをアルフォンソ様に『あ~ん』で食べさせようとしていた!

 いやいや、その行為は婚約発表の終盤で友人達に囃し立てながら行う恒例イベントでしょ?

 アルフォンソ様は困ったように必死に私に視線を送ってくるけど、それくらいは自分で対処してください。

 注目を浴びているだけに断るとエヴァリン様に恥をかかせてしまう。
 すると彼の友人の一人がその場の空気を察したのか、横から入って、その果物をパクりと食べてくれた。

「あーーっ!!ひどい!ジャレットったらっ!!」

 エヴァリン様の甲高い声が此方の方まで聞こえてきた。

 ひどいのはどっちだよ……。

 他の令嬢たちも呆れている。
 誰の婚約披露だと思ってんの?


 
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