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最愛の人と番を不幸にした私②(完)
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悲恋
自分勝手なヒロイン
モヤモヤする
誰も幸せにならない
ー・ー・ー・ー・ー
町へと帰った後、私はシーファスと婚約した。
それからの日々は夢のように甘い……。
シーファスは優しくて、穏やかに私を愛してくれた。
何の不満も無い平和な日々。
そんな中、私は番に出逢ってしまった。
その人は街中で私を見つけると、一目散に駆け寄って身体を擦り付けてきた。
「ちょ、ちょっと!!」
私の制止も聞かない。興奮してるのかな?
嬉しさのためか、飛び出たしっぽをブンブン振っている。
私はシーファス一筋なんだからね!!
「わ、私は婚約者が居るし、そんなことされると困るの!!」
彼は衝撃を受けたようで固まってしまった。
いつの間にか耳も出ていて、しゅんと垂れている。
おそらく犬の獣人で、年下だと思う。
「こ、婚約者がいるの?」
「そ、そうよ。婚約者がいるの。」
「僕の番なのに……?」
「私は……好きな人が出来たから……。番が見つからないように、番の匂いを分からなくする魔法を掛けて貰ったの……。」
「そ、そんな……。僕の事……番ってわからない??」
「ええ、残念ながら何の匂いもしないわ。私、浮気とかは絶対嫌なの。だから……もう…近づかないで……。」
彼は泣きそうなほど悲壮な表情で私を見つめる。
うっ……。
何だか可哀想……。
でも、私はシーファスを裏切れない。
「ぼ、僕……君の婚約者が君を幸せにしてくれそうなら、おとなしく身を引くよ……。僕の名前はリチャード。ごめんね。直ぐには諦めきれない……。」
そう言い残し、リチャードはとぼとぼと去っていった。
★★★
「今日ね、買い物中に番だという男の子に会ったの。」
隠し事なんてしたくない私は、シーファスに番に会った事を正直に話した。
「に、匂いは?」
「私は番の匂いなんて感じなかった。けどね、向こうは一目散に駆け寄ってきたわ。」
「大丈夫だったの?」
「…うん。婚約者がいるってハッキリと言ったもの。ただね、暫く私の周りを彷徨くと思うわ。私が幸せになれるかどうな見極めたいらしいの。」
ごめんね。
浮気じゃないのよ、なんて思いを籠めて彼を見る。
「そっか……。獣人は愛情深いから……。うん、いいよ。俺も君の番に認められるよう頑張るよ。」
「シーファス、ありがとう。」
シーファスの胸に顔を埋める。匂いが分からなくたって、この人が私の最愛っっ!!
それからリチャードはシーファスとわたしを暫く見ていたようだった。
二人で出掛けると必ず彼を見かけた。
何も言わず、悲痛な表情で私達を眺めるリチャードに胸が苦しくなる。
「俺達さ、リチャードの人生変えちゃったんだな。」
「うん。私も……。辛いよ…。あの時はシーファスが好きなだけだったの……。番を捨てることがこんなに辛いと思わなかった……。でも、きっとリチャードは私の何倍も苦しい思いをしてるのね……。」
私は、リチャードに魔女の家を教えた。
リチャードが新しい幸せを見つけられるように……。
「魔女の魔法で番の匂いは分からなくなるから……。新しい恋、みつけてね……。」
リチャードは私のメモ紙を受け取ると、寂しそうに微笑んだ。
「うん。さよなら。幸せになってね。」
その時が、私が彼を見た最後だった。
結婚式を後1ヶ月に控えたある日、私は魔女の魔法についての真実を知った。
カフェで話をしている人の声が耳に入ってきた。
『魔女の魔法が効くのは番に出逢う前だけらしいな。』
『ああそうだ、一度番に会うと、その匂いの記憶は脳にこびりついて離れないからな。魔女の魔法では効かないよ。あの匂いは強烈だ……。』
じゃあ、リチャードは?
私は反対されると思って、魔女に魔法を掛けて貰ったことも番に会ったことも両親には内緒にしていた。
私は怒られるのを覚悟して両親に真実を話した。
母親は私を叱らなかった。自分がきちんと真実を伝えて無かったのが悪いって思ってるみたい。
「そのリチャードって子は収容所に入ったんだろうね。」
そんな……。
彼は他の人との幸せを望めると思っていた……。
父親は私の肩に手をおいて励ますように語り掛けた。
「獣人はね、自分よりも番の幸せを望むのさ。リチャード君も、お前の幸せを願ったんだろう。」
「魔女の魔法は悲しい魔法よ……。」
私は涙が止まらなかった。
だって……。
彼は何も言わなかった……。
「ごめんなさい……ごめんなさい……。」
私は自分のした事の愚かさを漸く知った。
いくら謝っても彼には届かない。
私は結局シーファスとの結婚を取り止めた。
罪悪感でいっぱいの私が彼を幸せに出来るとは思えなかったから……。
私は収容所に向かったが、魔女の魔法の掛かった私は中へは入れなかった。
そして、リチャードも収容所からは出れないそうだ。
一旦入った獣人は狂っていることもあり、二度と出れない決まりになっているらしい。
ー・ー・ー・ー・ー
そして、私は今収容所の近くで一人で生活していた。
収容所には大きな壁が聳え立つ。
その壁を眺めると、最後に見たリチャードの寂しそうな笑顔を思い出す。
シーファスも幸せに出来なかった……。
愚かな自分を後悔しながら……。
自分勝手なヒロイン
モヤモヤする
誰も幸せにならない
ー・ー・ー・ー・ー
町へと帰った後、私はシーファスと婚約した。
それからの日々は夢のように甘い……。
シーファスは優しくて、穏やかに私を愛してくれた。
何の不満も無い平和な日々。
そんな中、私は番に出逢ってしまった。
その人は街中で私を見つけると、一目散に駆け寄って身体を擦り付けてきた。
「ちょ、ちょっと!!」
私の制止も聞かない。興奮してるのかな?
嬉しさのためか、飛び出たしっぽをブンブン振っている。
私はシーファス一筋なんだからね!!
「わ、私は婚約者が居るし、そんなことされると困るの!!」
彼は衝撃を受けたようで固まってしまった。
いつの間にか耳も出ていて、しゅんと垂れている。
おそらく犬の獣人で、年下だと思う。
「こ、婚約者がいるの?」
「そ、そうよ。婚約者がいるの。」
「僕の番なのに……?」
「私は……好きな人が出来たから……。番が見つからないように、番の匂いを分からなくする魔法を掛けて貰ったの……。」
「そ、そんな……。僕の事……番ってわからない??」
「ええ、残念ながら何の匂いもしないわ。私、浮気とかは絶対嫌なの。だから……もう…近づかないで……。」
彼は泣きそうなほど悲壮な表情で私を見つめる。
うっ……。
何だか可哀想……。
でも、私はシーファスを裏切れない。
「ぼ、僕……君の婚約者が君を幸せにしてくれそうなら、おとなしく身を引くよ……。僕の名前はリチャード。ごめんね。直ぐには諦めきれない……。」
そう言い残し、リチャードはとぼとぼと去っていった。
★★★
「今日ね、買い物中に番だという男の子に会ったの。」
隠し事なんてしたくない私は、シーファスに番に会った事を正直に話した。
「に、匂いは?」
「私は番の匂いなんて感じなかった。けどね、向こうは一目散に駆け寄ってきたわ。」
「大丈夫だったの?」
「…うん。婚約者がいるってハッキリと言ったもの。ただね、暫く私の周りを彷徨くと思うわ。私が幸せになれるかどうな見極めたいらしいの。」
ごめんね。
浮気じゃないのよ、なんて思いを籠めて彼を見る。
「そっか……。獣人は愛情深いから……。うん、いいよ。俺も君の番に認められるよう頑張るよ。」
「シーファス、ありがとう。」
シーファスの胸に顔を埋める。匂いが分からなくたって、この人が私の最愛っっ!!
それからリチャードはシーファスとわたしを暫く見ていたようだった。
二人で出掛けると必ず彼を見かけた。
何も言わず、悲痛な表情で私達を眺めるリチャードに胸が苦しくなる。
「俺達さ、リチャードの人生変えちゃったんだな。」
「うん。私も……。辛いよ…。あの時はシーファスが好きなだけだったの……。番を捨てることがこんなに辛いと思わなかった……。でも、きっとリチャードは私の何倍も苦しい思いをしてるのね……。」
私は、リチャードに魔女の家を教えた。
リチャードが新しい幸せを見つけられるように……。
「魔女の魔法で番の匂いは分からなくなるから……。新しい恋、みつけてね……。」
リチャードは私のメモ紙を受け取ると、寂しそうに微笑んだ。
「うん。さよなら。幸せになってね。」
その時が、私が彼を見た最後だった。
結婚式を後1ヶ月に控えたある日、私は魔女の魔法についての真実を知った。
カフェで話をしている人の声が耳に入ってきた。
『魔女の魔法が効くのは番に出逢う前だけらしいな。』
『ああそうだ、一度番に会うと、その匂いの記憶は脳にこびりついて離れないからな。魔女の魔法では効かないよ。あの匂いは強烈だ……。』
じゃあ、リチャードは?
私は反対されると思って、魔女に魔法を掛けて貰ったことも番に会ったことも両親には内緒にしていた。
私は怒られるのを覚悟して両親に真実を話した。
母親は私を叱らなかった。自分がきちんと真実を伝えて無かったのが悪いって思ってるみたい。
「そのリチャードって子は収容所に入ったんだろうね。」
そんな……。
彼は他の人との幸せを望めると思っていた……。
父親は私の肩に手をおいて励ますように語り掛けた。
「獣人はね、自分よりも番の幸せを望むのさ。リチャード君も、お前の幸せを願ったんだろう。」
「魔女の魔法は悲しい魔法よ……。」
私は涙が止まらなかった。
だって……。
彼は何も言わなかった……。
「ごめんなさい……ごめんなさい……。」
私は自分のした事の愚かさを漸く知った。
いくら謝っても彼には届かない。
私は結局シーファスとの結婚を取り止めた。
罪悪感でいっぱいの私が彼を幸せに出来るとは思えなかったから……。
私は収容所に向かったが、魔女の魔法の掛かった私は中へは入れなかった。
そして、リチャードも収容所からは出れないそうだ。
一旦入った獣人は狂っていることもあり、二度と出れない決まりになっているらしい。
ー・ー・ー・ー・ー
そして、私は今収容所の近くで一人で生活していた。
収容所には大きな壁が聳え立つ。
その壁を眺めると、最後に見たリチャードの寂しそうな笑顔を思い出す。
シーファスも幸せに出来なかった……。
愚かな自分を後悔しながら……。
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柚木ゆず様~💕
感想ありがとうございます🎵
昔書いてた話暗いなぁなんて思ってました😅
お立ち寄りくださりありがとうございました💐💐💐
本日は、最愛の人と番を不幸にした私の1と2を拝読しました。
改めて読ませていただいても、なお、色々な思いが浮かんできますね。
こうして定期的に読み返したくなって、そのたびに考えてしまいたくなる。
鍋様、さすがです……!
柚木ゆず様
こんな救いの無いお話を何度も読んでいただいてありがとうございます💗
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お気に入りは増えなさそうなお話を集めた物なのですが、書くのは楽しい‼️