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診療所で目を覚ましました
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「……ん。」
気が付くと真っ白な部屋のベッドに寝かされていた。
「いっ!」
起きようとしたら頭がズキンと痛くて思わず顔を顰める。
「気が付いた?」
私の眠っていたベッドの横には小さな椅子が置いてあって、年配の白衣を着た女性が心配そうな表情で私を見ていた。
「ここは?」
「村の外れの診療所よ。貴方のご主人が女性の医者が良いってここに連れてきたのよ。」
あー、この人女医さんなのか……。
確かにそんな雰囲気かも。
「わたし……びょうき?」
「違うわ、ホルメー茸って知ってる?」
「いいえ。知らないです。」
「そう、貴女ホルメー茸の胞子を吸い込んで毒に侵されてたの。ホルメー茸は幻覚・催淫作用があって栽培は禁止されているわ。野生のホルメー茸はとても珍しい上にこんな寒い国では無い筈なんだけど……。」
「私、もしかして……。」
「そう、貴女知らない男性と絡み合っていたらしいわ。覚えてる。」
「……少し……。」
そうか………。
あれは知らない人だったんだ………。
「事故だと思って早く忘れることね。貴女がホルメー茸の被害にあったことは誰も知らないはずよ。この診療所も森からは離れてるし、ね。ご主人がまず貴女を助け出してここへ運んだあと、ホルメー茸の発見をギルドに報告したそうよ。今頃駆除されてるわ。」
私……セーロス以外の男の人としたんだ……
何だか気持ち悪い……
両腕をクロスさせ自分を抱きしめるように腕をぎゅっと掴んだ。
「貴女……冒険者ならホルメー茸の危険性は知っていないと…。直ぐにその場から立ち去っていたなら、こんな事にはならなかった筈よ。これからは気を付けてね。膣内の洗浄は終わってるわ。今日から緊急避妊薬を飲んで。」
「はい。」
洗浄?
緊急避妊薬?
あー、ナカに出されてたんだ。
何度も何度も出された記憶がある。
お腹の中に生温かい感覚が残っているよう……。
気持ち悪い……。
「他に具合が悪いところある?」
「頭がガンガンします。」
「そう。じゃあ痛み止め処方するわね。」
「お願いします。」
女医さんは薬を取りにパタパタと部屋を出ていった。
セーロス怒ってるかなぁ……。
そんな現場を見られちゃったんだ。
ぼーっとする頭でそんな事を考えていたら、セーロスが部屋に入って来た。
「ヴァニラ、起きた?」
「うん。」
「身体はどう?どこも辛くない?」
「頭がガンガンするの。今お薬を出してくれるって。」
「そっか」
セーロスはいたって普通。
女医さんが座っていた椅子に腰かけて、優しく微笑んでくれた。
どうしてこんなに私みたいな普通の女に尽くしてくれるんだろう?
「セーロス、ごめんなさい。」
優しくしてくれているのにセーロスを裏切っちゃった。
あんな場面を見せてしまってごめんなさい。
「……うん。どうして森に?」
「……セーロスが朝 咳してたから……。薬草採りに……。」
一人で森に入るなって言われてたのに。
近くの森だし、危険な動物も居ないから大丈夫だって、
いつもセーロスと採ってる薬草ぐらい簡単に採ってこれるって、思ってた。
「そっか。分かったよ。どうして一人で森に行ったのか不思議だったんだ。」
セーロスは優しくて、私は一度も怒った顔を見たことが無い……。
どうして私と結婚してくれたのかなあ?
彼はイケメンだし、強いし、モテモテだったのに……。
「本当にごめんなさい。裏切るようなことをして……。」
「ヴァニラは僕だと思っていたんだろう?そう思ったままでいるといいよ。あれは僕だったんだ。」
セーロスが私を気遣うように優しく頭を撫でてくれる。
その優しく滑るような感触が気持ち良くてもう一度目を閉じた。
目を閉じた私の頬をするりと指で撫でたり、耳を擽ったり、優しく愛情溢れる仕草で私に触れてくれる。
いつも私の顔や身体を遠慮なく触って悪戯をするので、私は敢えて眠った振りをする。
彼が傍にいてくれると安心して空気が心地いい。
ーーーごめんなさい。
そして、そのまま私は再び眠ってしまった。
気が付くと真っ白な部屋のベッドに寝かされていた。
「いっ!」
起きようとしたら頭がズキンと痛くて思わず顔を顰める。
「気が付いた?」
私の眠っていたベッドの横には小さな椅子が置いてあって、年配の白衣を着た女性が心配そうな表情で私を見ていた。
「ここは?」
「村の外れの診療所よ。貴方のご主人が女性の医者が良いってここに連れてきたのよ。」
あー、この人女医さんなのか……。
確かにそんな雰囲気かも。
「わたし……びょうき?」
「違うわ、ホルメー茸って知ってる?」
「いいえ。知らないです。」
「そう、貴女ホルメー茸の胞子を吸い込んで毒に侵されてたの。ホルメー茸は幻覚・催淫作用があって栽培は禁止されているわ。野生のホルメー茸はとても珍しい上にこんな寒い国では無い筈なんだけど……。」
「私、もしかして……。」
「そう、貴女知らない男性と絡み合っていたらしいわ。覚えてる。」
「……少し……。」
そうか………。
あれは知らない人だったんだ………。
「事故だと思って早く忘れることね。貴女がホルメー茸の被害にあったことは誰も知らないはずよ。この診療所も森からは離れてるし、ね。ご主人がまず貴女を助け出してここへ運んだあと、ホルメー茸の発見をギルドに報告したそうよ。今頃駆除されてるわ。」
私……セーロス以外の男の人としたんだ……
何だか気持ち悪い……
両腕をクロスさせ自分を抱きしめるように腕をぎゅっと掴んだ。
「貴女……冒険者ならホルメー茸の危険性は知っていないと…。直ぐにその場から立ち去っていたなら、こんな事にはならなかった筈よ。これからは気を付けてね。膣内の洗浄は終わってるわ。今日から緊急避妊薬を飲んで。」
「はい。」
洗浄?
緊急避妊薬?
あー、ナカに出されてたんだ。
何度も何度も出された記憶がある。
お腹の中に生温かい感覚が残っているよう……。
気持ち悪い……。
「他に具合が悪いところある?」
「頭がガンガンします。」
「そう。じゃあ痛み止め処方するわね。」
「お願いします。」
女医さんは薬を取りにパタパタと部屋を出ていった。
セーロス怒ってるかなぁ……。
そんな現場を見られちゃったんだ。
ぼーっとする頭でそんな事を考えていたら、セーロスが部屋に入って来た。
「ヴァニラ、起きた?」
「うん。」
「身体はどう?どこも辛くない?」
「頭がガンガンするの。今お薬を出してくれるって。」
「そっか」
セーロスはいたって普通。
女医さんが座っていた椅子に腰かけて、優しく微笑んでくれた。
どうしてこんなに私みたいな普通の女に尽くしてくれるんだろう?
「セーロス、ごめんなさい。」
優しくしてくれているのにセーロスを裏切っちゃった。
あんな場面を見せてしまってごめんなさい。
「……うん。どうして森に?」
「……セーロスが朝 咳してたから……。薬草採りに……。」
一人で森に入るなって言われてたのに。
近くの森だし、危険な動物も居ないから大丈夫だって、
いつもセーロスと採ってる薬草ぐらい簡単に採ってこれるって、思ってた。
「そっか。分かったよ。どうして一人で森に行ったのか不思議だったんだ。」
セーロスは優しくて、私は一度も怒った顔を見たことが無い……。
どうして私と結婚してくれたのかなあ?
彼はイケメンだし、強いし、モテモテだったのに……。
「本当にごめんなさい。裏切るようなことをして……。」
「ヴァニラは僕だと思っていたんだろう?そう思ったままでいるといいよ。あれは僕だったんだ。」
セーロスが私を気遣うように優しく頭を撫でてくれる。
その優しく滑るような感触が気持ち良くてもう一度目を閉じた。
目を閉じた私の頬をするりと指で撫でたり、耳を擽ったり、優しく愛情溢れる仕草で私に触れてくれる。
いつも私の顔や身体を遠慮なく触って悪戯をするので、私は敢えて眠った振りをする。
彼が傍にいてくれると安心して空気が心地いい。
ーーーごめんなさい。
そして、そのまま私は再び眠ってしまった。
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