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師匠と手合わせしました

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シルクと一緒に街に買い物に出る。王都とは違って露店商等の呼び込みの声も響き、街は活気に満ちている。
店先に並んだホタテの串焼きを見つける。
「あー。美味しそうっ。」
小走りで店へ行くと、先程貰った報酬で串焼きを2本購入する。
「シルクは食べれる?」串焼きを一本差し出して聞いてみると、シルクは笑顔で受け取った。
「僕もホタテは好きですよ。」
ホタテもそのままの名前か。この世界は前世にあるような食べ物は全てそのままの名前だが、時々聞いたことがない食材があったりもする。
「うん。塩の塩梅がちょうど良くて美味しい!」
こういう食べ歩きは公爵令嬢の時は出来なかった。楽しくて、ニコニコして街を見回していると、
「嬉しそうですね。そんなに美味しかったですか?」と、シルクが聞いてくる。
「ふふふ。ずっとこういうの我慢してたんです。あー。楽しい。」
シルクは眩しそうに目を細めると笑みを深める。
「お供出来て光栄ですね。僕も何だか楽しい気持ちになってきました。」
シルクは目的の店の方向を指し
「あの角を曲がって直ぐの店です。」と教えてくれた。
案内されないと分からないような所にその店はあった。
看板さえ出ていない。その店に入ると短い髪に隻眼の40~50ぐらいの男性がシルクを見て笑顔になり気安い調子で声を掛ける。
「おっ。シルク、どうした?」
直ぐに私に気付いて視線を移すと
「珍しいな。女連れか?」と驚いた表情を浮かべた。
「弟子ですよ。一応。」
シルクは面倒臭そうに答える。シルクのぶっきらぼうな様子に驚きつつも、私は二人が旧知の仲であろう事を感じていた。
「このなんちゃって冒険者装備を不自由ないように整えて貰えませんか?」
シルクは店の奥に向かって声を掛ける。すると、店の奥から体格の良いショートカットの女性が出てきた。
「分かったわ。任せて。」
店の女性は私に近づくと
「アドよ。宜しく。一緒に奥に行くわよ。」
自己紹介すると直ぐに私の手を取り店の奥へと連れていった。
私はそこで戦闘の時に良く使う魔法や得意な武器をアドさんに聞かれ、お勧めされた装備を身に付ける。
アドさんに勧められた装備にシルクは満足したようだ。店を出ると「ルマがどれだけ戦えるか知りたいのでちょっと戦ってみませんか?」と言われ、町外れの開けた場所に連れてこられた。
「おもいっきり攻撃してください。」
遠慮しない方がいいと判断した私はシルクが言い終わると同時に、地面を蹴りシルクとの距離を詰めると、足元を狙い剣を振って連続攻撃を仕掛ける。勿論、足元を取られるよう土魔法を使うが、シルクも何か魔法を使っているのか足取りは軽やかだ。常に火球とかまいたちで顔に向かって攻撃しているが、それも避けている。シルクの後ろに土壁を作って逃げ道を塞ぐと同時に前に出る。シルクの姿が消える。私は自分の背後にも土壁を作りつつ、上空へ跳ぼうと構えるがその瞬間、一気に風が上空から下に叩きつけるように吹くと地面の土が巻き上がり視界を奪われる。風圧で身体に重力がかかったようになり跳べない。砂が目に入りそうで目を開けられず、動けなくなった。
「そこまでです。」すぐ近くでシルクの声が聞こえる。
私は、目を閉じたまま両手を軽く上げ
「参りました。師匠。」と降参する。
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