悪役令嬢とオッサン商人の不器用な純愛

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フェルナンド殿下の手紙

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ピチャンにあるキャシュール商会の支部に手紙が届いた。
手紙の封蝋には見覚えのある王家の印璽が。

フェルナンド殿下だろう。
私は重い気分になりながらも手紙を開いた。

親愛なるリリアベール。

先日君と会った事が遠い昔のようだ。
君と離れていると時間が永遠のように長く感じる。

君が私の隣から消えて、今までの日々がどんなに幸せだったかを思い知ったよ。

私は嘗ての慶福な日常を取り戻すべく、リタ王国に戻って来た。
驚く事に、今リタ王国では、光の乙女であるロリィが私の留守中に騎士を寝室に誘った事や下働きの者への横暴な振る舞いが暴露され、批判に晒されている。

近いうちにロリィは王宮を去り教会へ戻ることになるだろう。
君が心配していたロリィは居なくなる。

そして、リリアベールの冤罪が国民に広く知られ、事実を確認しないまま君を勘当したグリフィール公爵家にも貴族から批判の声が上がっている。
グリフィール公爵からも君の事を頼まれたよ。
グリフィール公爵は随分痩せてしまった。君の帰還を願って涙する姿には、私もつられて泣きそうになったよ。

今国民や貴族の間では、冤罪で国を出た君こそが次期王妃に相応しかったのだという意見が大半だ。君が国に戻る事を国民が切望している。

安心して私の元へ帰っておいで。

君がリタ王国に戻れば、この王宮の醜聞も落ち着くだろう。
その時には是非、母上も素晴らしい王妃だと国民や貴族に伝えて欲しい。
ああ、勿論君と母上の蟠りが解けてからで構わないよ。
母上は国を想うあまり、君に厳しく接したのだろう。
母上の本心を聞けば、君と母上は必ず和解出来る。私は確信しているよ。
国を想う者同志、これからは手を取り合って生きていこう。

愛しているよ。リリアベール。

はは、恥ずかしいな。こんなことを手紙に書くなんて。
でも伝えずにはいられなかったんだ。

王宮全体がバタバタしていて、暫くは忙しくて会いに行けない私を許して欲しい。

私は君の憂いを排除すべく、日々奮闘している。

寂しくなったら、夜空の月を見上げて欲しい。
私も必ず毎晩月を眺める。
君と同じ夜空の元にいると感じながら寝ることにしよう。
私はもう君だけのものだ。

追伸

ロリィの所業について書かれた新聞を同封するよ。


手紙にはロリィ関連の記事が書かれた箇所だけ切り取られた新聞が同封されていた。


《光の乙女の呆れた振る舞い!宝石やドレスを買い漁る!》
《侍女の証言!私は光の乙女にカップを投げつけられた!!》
《王宮侍女は見た!光の乙女の贅沢な日常!》
《光の乙女は色欲魔!?》
《騎士が証言!俺は光の乙女に寝室へと誘われた!?》


特に最後の記事が衝撃的だった。
騎士を寝室に誘うなどと…………、驚きを通り越して呆れてしまう。
大衆紙にこの記事が掲載されたのなら相当な騒ぎになっていることだろう。
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