転生悪役令嬢は無事婚約解消されました。戻ってきて欲しい?駄目です。(絶倫?)騎士様に恋してますので。

文字の大きさ
9 / 17

既成事実

しおりを挟む


※ヒロインが犯罪を犯します。何でもOKの方だけお願いします。






 暗闇の中、息を殺して彼の帰りを待っていた。








 私は今、下着姿でパーシヴァル様のベッドに潜り込んでいる。
 え?
 どうして不法侵入してるのかって?

 もちろん、どうしても既成事実を作りたいから。

 私は騎士宿舎にあるパーシヴァル様の部屋にこっそり忍び込むために、スターリー公爵家の黒い権力を使った。
 おほほっ。スターリー公爵家は名門。実はその気になれば、こんなことだって出来るんだから!

 本当は下着姿にまでなるつもりは無かったけど、パーシヴァル様に追い出されないように服を脱いだ。

 服を着たままだと、私を見て直ぐに『男の部屋に入っては危険です!』なんて言って追い出されちゃう可能性があるから。
 下着姿なら直ぐには追い出されない。
 着てきた服は洗面所にある畳まれたバスタオルの下に隠しておいた。
 直ぐには見つからないと思う。

 室内は片付いているっていうか、ガランとしている。帰って寝るためだけの場所みたい。
 もっと汚いベッドだったら入らなかったかもしれないけど、きちんと伸ばされたシーツは彼の几帳面さを物語っていて清潔そう。濃い男性の匂いにクラっとするけど、これはこれで興奮する。

 はあー、騎士様の匂い……クンクン。

 
 
 もうそろそろパーシヴァル様が帰ってくる予定。
 私を見たらどんな顔をするのだろう。
 本当にパーシヴァル様の部屋だよね。お兄ちゃん、間違えてないだろうな?
(公爵家の黒い権力というのは嘘で、本当は3番目の兄に協力してもらってますーー)

 ガチャガチャーー
 鍵を開ける音。そしてーー

「……」

 扉を開けて入った途端、パーシヴァル様は何かの気配に気がついたのか、警戒し構えるような姿勢をとった。
 慎重に視線を動かし、侵入者を探している。

 ヤバい!
 ヤられちゃう!
 いや、ヤられるために来たんだけど、別の意味で!
 こっちじゃない!

 私はおずおずとコンフォーターから顔を出した。

「わ、私です……」

 パーシヴァル様と目が合う。彼は驚き過ぎて声も出ない。完全に固まってしまった!

「パーシヴァル様……突然ごめんなさい」

 まずは、顔だけ出した状態で潔く謝った。
 だって不法侵入だもの。衛兵に突き出されてもおかしくない。

「ア、アイティラ様、どうしてここに?」

 ベッドに向かって歩いてきた彼は、布団の下の私の格好に気がついた!

「え?ど、どうして?……ま、まずは、ふ、服を……」

 パーシヴァル様は真っ赤になって顔を背けた。

「服は着ません。既成事実を作りに来ました!」
「き、既成事実??」
「私、殿下との結婚は嫌です。だけど万が一、王命が出たら逆らえないから……」

 デーヴィット殿下や王妃様と違って、陛下は理不尽な事はしない人。だからそんな事態にはならないと思うけど……。

「でも、自分も健康な男です。こんな……危険ですよ」

「今、私は誰の婚約者でもありません。だから今夜パーシヴァル様が私の純潔を奪ってもお咎めは無いでしょう?私が純潔でなくなれば、デーヴィット殿下だって、流石に私を正妃にするのを諦めます。だから……どうか、お願いします」

 私は勢いよく、ベッドから下りてパーシヴァル様に抱きついた。
 もちろん下着姿。

 前世とは違う、この身体は悪役令嬢だからスタイルも抜群。普通の男性なら理性がプツン、だ!

「アイティラ様、貴女の事は自分が必ず護ります。だからどうか自暴自棄にならないで、服を着てください」

    パーシヴァル様は私の肩に手を置いて、視線を私の身体から外したままそう言ってくれた。

 真面目!
 真面目だわ!
 異世界騎士様は強い理性も持っているらしい。

「どうか、お願いです。必ず貴女と正式に結婚してから、そ、その……貴女の全てをもらうと約束しますから……」

 はうっ。胸を撃ち抜かれた!
 顔を真っ赤にした、強面の騎士様にそう言われたら私は頷くしかない。

 私が身悶えているうちに、パーシヴァル様は自分のシャツを出してきてくれた。渡されたシャツを黙って羽織る。

 えへへ。パーシヴァル様の白いシャツ。大きくて私にはガバガバ。憧れの彼シャツみたいでちょっと嬉しい。
 あっ、ちょっと匂いも嗅いでおこう。
 クンクン、ベッドの匂いとはまた違う。
 洗濯された清潔な香り。
 これはこれでーー。クンクンーー。

 こんな変態な私にもパーシヴァル様は優しい。
 訓練で疲れているはずなのに、私の服を探して着せてくれて、おまけに家まで送ってくれた。

「パーシヴァル様、ご迷惑かけてごめんなさい」
「いえ。そ、その……嬉しかったです。アイティラ様の気持ちが……」
「必ず、私をもらってくださいね」
「約束します」
「……」
「…」

 家に入る前、もう一度その大きな身体に抱きついた。
 本当に、本当は、裸で抱き合いたかったけど!

 あーあ、これで強硬策は失敗。
 でも満足。パーシヴァル様の熱い気持ちも聞けたし!





 だけど、とうとう恐れていた日が来た!
 王宮からの伝令があり、私は両親とともに登城することになった。
しおりを挟む
感想 39

あなたにおすすめの小説

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

図書館でうたた寝してたらいつの間にか王子と結婚することになりました

鳥花風星
恋愛
限られた人間しか入ることのできない王立図書館中枢部で司書として働く公爵令嬢ベル・シュパルツがお気に入りの場所で昼寝をしていると、目の前に見知らぬ男性がいた。 素性のわからないその男性は、たびたびベルの元を訪れてベルとたわいもない話をしていく。本を貸したりお茶を飲んだり、ありきたりな日々を何度か共に過ごしていたとある日、その男性から期間限定の婚約者になってほしいと懇願される。 とりあえず婚約を受けてはみたものの、その相手は実はこの国の第二王子、アーロンだった。 「俺は欲しいと思ったら何としてでも絶対に手に入れる人間なんだ」

「君を愛するつもりはない」と言ったら、泣いて喜ばれた

菱田もな
恋愛
完璧令嬢と名高い公爵家の一人娘シャーロットとの婚約が決まった第二皇子オズワルド。しかし、これは政略結婚で、婚約にもシャーロット自身にも全く興味がない。初めての顔合わせの場で「悪いが、君を愛するつもりはない」とはっきり告げたオズワルドに対して、シャーロットはなぜか歓喜の涙を浮かべて…? ※他サイトでも掲載しております。

【完結】旦那様!単身赴任だけは勘弁して下さい!

たまこ
恋愛
 エミリーの大好きな夫、アランは王宮騎士団の副団長。ある日、栄転の為に辺境へ異動することになり、エミリーはてっきり夫婦で引っ越すものだと思い込み、いそいそと荷造りを始める。  だが、アランの部下に「副団長は単身赴任すると言っていた」と聞き、エミリーは呆然としてしまう。アランが大好きで離れたくないエミリーが取った行動とは。

身代わり令嬢、恋した公爵に真実を伝えて去ろうとしたら、絡めとられる(ごめんなさぁぁぁぁい!あなたの本当の婚約者は、私の姉です)

柳葉うら
恋愛
(ごめんなさぁぁぁぁい!) 辺境伯令嬢のウィルマは心の中で土下座した。 結婚が嫌で家出した姉の身代わりをして、誰もが羨むような素敵な公爵様の婚約者として会ったのだが、公爵あまりにも良い人すぎて、申し訳なくて仕方がないのだ。 正直者で面食いな身代わり令嬢と、そんな令嬢のことが実は昔から好きだった策士なヒーローがドタバタとするお話です。 さくっと読んでいただけるかと思います。

【完結】『推しの騎士団長様が婚約破棄されたそうなので、私が拾ってみた。』

ぽんぽこ@3/28新作発売!!
恋愛
【完結まで執筆済み】筋肉が語る男、冷徹と噂される騎士団長レオン・バルクハルト。 ――そんな彼が、ある日突然、婚約破棄されたという噂が城下に広まった。 「……えっ、それってめっちゃ美味しい展開じゃない!?」 破天荒で豪快な令嬢、ミレイア・グランシェリは思った。 重度の“筋肉フェチ”で料理上手、○○なのに自由すぎる彼女が取った行動は──まさかの自ら押しかけ!? 騎士団で巻き起こる爆笑と騒動、そして、不器用なふたりの距離は少しずつ近づいていく。 これは、筋肉を愛し、胃袋を掴み、心まで溶かす姉御ヒロインが、 推しの騎士団長を全力で幸せにするまでの、ときめきと笑いと“ざまぁ”の物語。

冷たかった夫が別人のように豹変した

京佳
恋愛
常に無表情で表情を崩さない事で有名な公爵子息ジョゼフと政略結婚で結ばれた妻ケイティ。義務的に初夜を終わらせたジョゼフはその後ケイティに触れる事は無くなった。自分に無関心なジョゼフとの結婚生活に寂しさと不満を感じながらも簡単に離縁出来ないしがらみにケイティは全てを諦めていた。そんなある時、公爵家の裏庭に弱った雄猫が迷い込みケイティはその猫を保護して飼うことにした。 ざまぁ。ゆるゆる設定

結婚後、訳もわからないまま閉じ込められていました。

しゃーりん
恋愛
結婚して二年、別邸に閉じ込められていたハリエット。 友人の助けにより外に出ることができ、久しぶりに見た夫アルバートは騎士に連行されるところだった。 『お前のせいだ!』と言われても訳がわからなかった。 取り調べにより判明したのは、ハリエットには恋人がいるのだとアルバートが信じていたこと。 彼にその嘘を吹き込んだのは、二人いたというお話です。

処理中です...