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初デート!
しおりを挟むアイティラ視点に戻ります。
そんなこんなで、今日はパーシヴァル様との初デート!
この世界に来てからはデートなんて始めて。しかも相手は憧れの異世界騎士様で……。
前の夜は、なかなか寝つけないほどワクワクドキドキ。
朝起きたらびっくり、鼻血が出ていた。興奮しすぎたのかもしれない。
「お嬢様、髪型はどうなさいます?」
「もう縦ロールは嫌なの。もっと清楚な感じにして欲しいわ」
「畏まりました」
髪はハーフアップにして、残った髪は真っ直ぐに下ろしして貰った。今までは、王妃様に言われた通り『華』のある縦ロールオンリーだったから、随分印象が違うと思う。
くるぶしまである空色のワンピースに、濃いブルーの縁取りがあるシルバーのパンプス。
鏡の前で確認すると、前世でも着たことのないような、清楚なお嬢様ファッションに仕上がっていた。
「パーシヴァル様に気に入ってもらえるかしら」
「もちろんですわ。お嬢様はとても可愛らしいですもの」
念のため、持っている中で一番レースの多い下着を選んだ。
別に今日何かがあるわけは無いって思うけど……。
期待してるわけじゃ無いけど……。
一応……不器用そうなパーシヴァル様でも脱がせやすそうなサイドは紐のタイプ。
ずっとデーヴィット殿下の婚約者だったから、純潔は守らなければいけなかった。でも、この世界での一般の人の貞操観念が分からない。
やっぱり結婚までは手を出さないのが普通なのかしら?貴族だし、ねー。
でも、それじゃあアッチの相性分かんないわよね?
『我慢出来ない』なんて襲われたらどうしましょ。キャッ♡
迎えに来てくれたパーシヴァル様は、前回の騎士服とは違った雰囲気。前髪を下ろしているからか、少し幼く見える。あの野性的な雰囲気も幾分和らいで見えた。
「パーシヴァル様!わざわざ迎えに来てくださり、ありがとうございます」
パーシヴァル様は私を見て動きを止めた。
ん?
「ア、アイティラ様。今日は一段と、か、可愛いです。し、正直自分のような人間とデートしていただけるのが不思議で」
「そうですか?パーシヴァル様は以上の方は私には思い当たりませんが……。デート出来て嬉しいです!」
「あ、ありがとうございます。自分、デートの経験が無いので、王都の散策を予定してますが、アイティラ様はどこか行きたい場所はありますか?」
「パーシヴァル様と一緒ならどこでも!」
パーシヴァル様が手を差し出してくれたので、その手に掴まって馬車へと乗り込んだ。
私は隣に座りたいのに、パーシヴァル様は向かい側に座ってしまった。初デートだからしょうがないのか?でも随分と他人行儀。
馬車の中でもずっと敬語であんまり笑ってくれない。
ひょっとして、このデートに乗り気じゃないのかも。
「ごめんなさい、強引にデートに連れ出して」
「いえ。自分は女性との交際経験がないので、アイティラ様に楽しんでもらえるのか不安で……」
「それなら心配ないです。もうすでに楽しいですから。」
「もう……ですか?」
「はい。服を選んだり髪型を考えたり。パーシヴァル様に見てもらうためにお洒落するのが楽しかったです」
パーシヴァル様の顔を見て笑顔でそう言うと、彼は照れたように笑って頭を掻いた。
私はずっと馬車の中でお喋りしてた。だって、早く打ち解けたかったから。
煩い女って思われてないかな?
目的地に着いて馬車を下りると、パーシヴァル様の腕に自分の腕をするりと絡めた。
うっ、素敵!
太いしかたい!
もちろん騎士様だから、逞しいだろうって予想はしてたけど、全然自分とは違うその腕の感触にドキドキしてしまう。
「ア、アイティラ様?」
突然腕を組まれてパーシヴァル様は驚いた顔で私を見た。
「この靴ヒールが高いのでこの方が歩き易いんです。今日はパーシヴァルにこうやってつかまって歩いていたいです。いいですか?」
「ええ」
見上げたパーシヴァル様の耳は真っ赤。
ふふっ。可愛い!
若い女性に人気の店が立ち並ぶ中央通りに来ると、パーシヴァル様が向こうに見える看板を指差した。
「あそこが最近出来た人気の店だそうです。カヌレが美味しいらしいですよ」
「わあ!可愛いお店っ!!」
案内されたのは、パーシヴァル様にはちょっと似合わないファンシーなカフェ。後輩騎士にデートに行くならここが良いって聞いたそうだ。
二人で中に入って、看板メニューのカヌレを注文すると、間もなく私の前には紅茶とカヌレ。そしてパーシヴァル様の前にはたくさんのスイーツと珈琲が運ばれてきた。
ごつい指に、小さなコーヒーカップが持ちにくそうで、ちょっと可笑しい。
「美味しいっ!!」
「良かった……もっと注文しますか?」
「いいえ。お腹いっぱいになっちゃいますから」
パーシヴァル様にとってはカヌレなんて小さいのだろう。何回も足りるのか心配して聞いてくる。
それもなんだか可笑しくて可愛い。
パーシヴァル様はさすが騎士様。食べる量が違う。カヌレ以外にもいろんな物を注文して、パクパクリズム良く口の中に入れていく。
その食べっぷりは気持ちが良くて、周囲のお客さんたちも思わず見惚れてしまうぐらい。
身体のサイズも全然違うもんね。
はー。
あらためてパーシヴァル様をゆっくりと眺めた。
結婚したらこのごつごつした大きな手で全身を触られるのよね……。私の胸……大きめだけど、それでも足りるかしら。
昼間から淫らな妄想が止まらない。
パーシヴァル様の服の奥に隠れた身体を想像して、勝手に滾ってしまう。
そんな私達の幸せな時間を再び邪魔する者が現れた!
「アイティラっ!!ちょっと話がある」
「はあ?殿下。どうしてここに……」
振り返るとそこには護衛騎士を引き連れたデーヴィット殿下が!
「公爵邸に行ったらデートで留守だと言われて追い掛けてきた」
「どうしてデートにまで追い掛けてくるんですか!」
「母上がやはり正妃はアイティラの方がいいと言うのでな。婚約解消は無しにしてくれ。良かったな。さあ、これで、無理して新しい結婚相手を探す必要などない。帰るぞ」
「嫌です。無理してません。私はパーシヴァル様が良いんです」
「えっ、何を言っているんだ?王子である僕以上の相手なんかいるわけがないだろう?」
何?この男。自分の方がパーシヴァル様より良いと思ってんの?
事故物件の自覚がないのね!
私はパーシヴァル様の腕にしがみついた。
「帰りません」
「一度ちゃんと話をしよう。さあ、帰ろう。こんな場所で他の男とのデートなんて、駄目だ。」
どうして婚約解消したのに、そんな事言われなきゃならないの!
パーシヴァル様は、私と殿下のやり取りを聞いて、私を庇うように前に出た。
「スターリー公爵はどう仰っているのですか?」
「公爵には後で説明する。お前たち、さっさとアイティラを此方に連れてこい」
殿下は自分の護衛騎士たちに命じるけれど、騎士達は首を横に振っている。
「殿下、無理です。相手はあのルクセン卿ですよ?もう4~5人連れて来ないと……」
殿下の護衛騎士たちは、同じ騎士でもパーシヴァル様とは全然体格が違う。絶対、パーシヴァル様の方が圧倒的に強いと思う。
王族の護衛騎士がそれでいいの?
「はあ?役立たずめ!まあ、今日は突然だから仕方ない。話の内容は、今話した通りだ。後日、公爵に使いを送ろう」
殿下はそう言うと、護衛騎士たちを引き連れて帰っていった。
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