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もう一人の転生者
マリアーナ視点
「信じらんないっ!あんなテンプレマザコンあり?」
安っぽいストーリーの異世界恋愛小説の世界に転生。しかも、ヒロインだって分かった時は喜んだわ。
だって幸せが約束されてるって事よね?
デーヴィット様との恋愛は、小説のストーリー通りで、彼は直ぐにマリアーナに夢中になった。
当たり前よね。
だって今の私は可愛いもの!
ツルツルすべすべのお肌。ピンクの艷やかな髪にエメラルドみたいなおめめはぱっちり二重!
食べても太らないこの身体、最高じゃない?
ライバル令嬢のアイティラが私と同じように転生者じゃないかっていうのは、ちょっと不安だった。だけど、アイティラは小説通りの縦ロールの髪型に、原色の派手なドレスで。
転生者があんなテンプレ通りの悪役令嬢のわけないわよねって安心してた。
だけど婚約解消した日、アイティラは不吉な言葉を残していった。
んん?
『僕ちゃん』『ママン』って?
もしかして、マザコンってことっ!?
アイティラとの婚約を解消してすぐに、デーヴィット様は私を王妃様に紹介してくれた。
「母上、私が好きになったマリアーナです。アイティラとの婚約は解消したので、これからは彼女にお妃教育をお願いします」
「あら?アイティラさんよりも随分地味な子ね。実家はブリッコ伯爵家?じゃあ、そんなに高価なドレスは用意出来ないのね。いいわ。わたくしの方で準備するから、これからはそれを着なさいね」
王妃様の言葉には棘があって……。
何この嫌味全開の姑!
横目でデーヴィット様を睨んだけど、彼は黙ったまま。
置物かよっ!!
普通恋人を庇うものじゃないの??
私はその時着ていた可愛いピンクのドレスを脱がされ、真っ赤で妖艶なドレスを着せられた。
「マリアーナさんは華が無いわねえ。それと、その貧乏くさいアクセサリーも全て外しなさい」
お気に入りの桜の花びらの形のペンダントも貶されて……。硝子で出来たオモチャみたいな指輪を10個着けられた。
何この四角いルビーっ!!
「宝石ってのはね、大きければ大きいほど良いのよ!」
えー、流石につけ過ぎは下品だと思う。
髪型も時代遅れの縦ロールを命じられてしまった。
なるほど。
縦ロールの髪型はアイティラ様じゃ無くて、王妃様の好みだったのか……。
普通の転生者なら縦ロールなんてしないと思ったよ……。
私は凄く嫌だったけれど、縦ロールに髪をセットして、真っ赤なドレスを着た。なのに王妃様は不満そうに首を振る。
「はぁー、どうしてかしら?ぱっとしない顔ね。この髪型も似合わないなんて……。そうだわ、髪をもう少し盛ったらどうかしら!?」
この王妃、殴っていい?
王妃様は侍女たちに私の髪を高く高く盛るように指示した。
はあ?
何この縦長の髪型!
重くて首が曲げられないんですけどっ??
「ディ君がね、マリアーナさんはマカロンが好きって言ってたから特注したのよ」
「さすが、ママン!」
髪飾りはマカロンが重なったようなデザイン。
ええ?
はっきり言って、頭が長くて変!
「やっぱりディ君の隣に立つなら、社交界の流行を作り出すぐらいじゃないと」
デーヴィット様と婚約して初めてのパーティーで私は大注目!
だって髪が盛り盛りなのよ?
傍目には、私は王子様と婚約した途端に高級品を身に着けるイタい女よね。しかも目立ちたがりの。
それでも私は耐えた。
だってデーヴィット殿下と結婚するつもりだもの。一応王族が嫁ぎ先なら多少の我慢はするつもり。
だけどーー
毎日のお妃教育という名のイビリ。
それには我慢出来なかった!
両親を無能だとか、貧乏だとか、そんな風に貶されて笑顔でなんていられない。
私はデーヴィット様に泣きついた。
「王妃様、私にイヤミばっかり言うの。どうにかならないの?」
だけど彼は自分の母親を良い人だと信じて疑わない。
「母上はマリアーナと仲良くしたいだけなんだよー」
んな訳無いでしょっ!!
あんなの悪意の塊よ?
黙ってニコニコしてると舐められちゃう。おとなしいフリはもう止めたわ。
反撃開始よっ!
私は不快な事を言われたら直ぐに
「そういう言い方をされると気分が悪いです」
そう、反論するようにした。
すると、デーヴィット様が慌てて私の所にやって来た。
「マリアーナ、君が母上に逆らったって聞いたんだけど……」
「ええ。王妃様が私を貶すので、『気分が悪い』って言っただけですが?」
「母上はショックを受けててね。もしお妃教育が負担なら、アイティラに戻ってきてもらって、正妃としての政務はアイティラにやらせたらどうだってさ。どう?」
はあーっ??
何、この男!何から何まで全部お母さんの指示通りに動くのねっ。
もう、こんな事故物件との結婚は止めたっ。
アイティラさんに戻って来てもらえば良いじゃないっ!!
もう私は知らないっ!!
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