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朝チュン!(終)
「んっ……」
明るい日差しを瞼に感じて目を開けると、浅黒い盛り上がった筋肉が見えた。
「ぱーしばるさま……?」
おおう、そうだ……わたし、昨日……。
ヤバっ。
昨夜の自らの失態を思い出して、恥ずかしさが込み上げてきた。
私はしっかりと抱きしめられたまま眠っていたらしく、頭上から低く掠れた声が聞こえてくる。
「おはよう……アイティラ、身体は大丈夫か?」
その慈しむような優しい聞き方に、じんときた。
「大丈夫です。私こそ、無茶してごめんなさい」
「いや。アイティラらしいなと思って……俺には可愛かった。でも本当に身体は何ともないのか?」
「はい」
「パーシヴァルさまこそ、可愛いかったです」
昨夜の彼を思い出す。目を閉じて耐えるように息を吐く、その色気たっぷりの表情!
射精を我慢するところが可愛かったなんて、内緒にしておこう。早いと駄目って思ったんだよね、きっと!
どう反応して良いのか迷ったのか、パーシヴァルさまは、私の言葉を聞いて困ったように笑った。
「本当に……貴女って人は」
普段は怖い顔なんだろうけど、こういう時の彼は眉を下げるからちょっとだけ情けなく見える。
ふふっ。
好き♡
「今日は一日この部屋でゆっくり過ごそう」
「良いのですか?」
「ああ、デーヴィット殿下の不始末の詫びにと、陛下が結婚休暇を1ヶ月くれたんだ」
長いっ!
流石王宮はホワイトだな。
「わあ!嬉しい。……あれ?でも、書類仕事は?昨日まで書斎に篭っていたのに……」
「ああ、今日からはアイティラとゆっくりしたくてな。昨日までに報告書は全部終わらせたよ。屋敷が落ち着いたら旅行に行ってもいいし……」
パーシヴァル様はお父様の持つ爵位の一つを譲り受け、ケルミス伯爵を名乗ることになり王都に屋敷を建てている。
今は公爵邸の離れ屋に仮住まいしている身で、使用人も数人だけというのんびりした生活だ。
その日は一日ベッドの住人。
お風呂に入ったり、軽い物を食べたり、イチャイチャしたり。パーシヴァルさまに甘やかされながら、ゆっくりと過ごした。
そんなに痛みは無くて歩けると思うのに、パーシヴァルさまってば過保護で。食事も全てベッドまで運んでくれた。
彼はキスをしたり、身体に軽く触れたりはするけれど、それ以上の事はしなくて……。
あれ?異世界騎士って絶倫のはずじゃ??
昨夜は1回。
そういえば、異世界ローションも大した効果無かったしな……。
翌日も、その次の日もパーシヴァルさまは私を抱こうとしなくて……。
私の中でムクムクと、パーシヴァルさま淡白説が湧き上がってきた頃、ようやく2回目のお誘いがあった。
「もう身体は大丈夫か?今夜……良いだろう……(か?)」
「はいっ!!」
私はパーシヴァル様の言葉に被せるように大きく返事をした。
だって……ねえ?
「痛かったら言ってくれ」
「大丈夫です」
2回目の営みは、夢心地で……。
優しく丁寧に触れてくれるから、何度もイかされて、朦朧とした意識の中、彼に揺さぶられた。
大きいからキツイけど痛くは無かったよ!
でもっ!
またもやッ!
1回!!
やっぱり淡白……。
だけど!
彼が本領発揮したのは、3回目からだった。
ええ、抜かずの○発って言うの?……あれを初めて体験しました!
本当に翌朝まで貪られて、気絶するように眠って起きたのは翌日の夕方。
喉はガラガラで、関節は軋むし、腕を挙げことすら億劫なほどの疲労感ッ。
いや、初めてだよ、こんな体験……。
エッチってこんなに疲れるものなのね、なんて改めて認識してた。
ぐったりとしていた私とは対称的な、パーシヴァル様の爽やかな笑顔が忘れられない。
ゴメンなさい。淡白かも、なんて疑って……。
異世界の憧れ騎士さまは、本当に絶倫!
そして、私は後にこれより強烈な彼の本当の凄さを身体に教えられることになる。
ーー終ーー
おまけ
王妃様のその後
「今日も返事は届いてないの?」
「はい」
「手紙が届いたらすぐに知らせてちょうだい。いいわねっ!」
陛下に命じられ、王都より西部にあるこの寂れた離宮に住むことになり1ヶ月が経った。
表向きの理由は、病気療養。
陛下はわたくしがデーヴィットを甘やかし悪い影響を与えていると考えているようだ。だが、母として息子を案じるのは当然のこと。
陛下はわたくしの外出や面会はお許しにならないが、手紙だけは許してくれた。もちろん検閲はあるようだが……。
デーヴィットに手紙を書く毎日。
離れてしまうと気になることは山ほどある。
きちんと睡眠が取れている?
疲れは溜まってない?
料理長の食事は美味しく食べられているの?
マリアーナさんとの関係はどう?
デーヴィットからは一度返事が来たがそれきりで、返事は来なくなった。
一度だけ来た返事も『大丈夫』たったそれだけ。
マリアーナさんにも毎日手紙を書いた。
デーヴィットの体調はどう?
あなた達に反抗的な臣下はいない?
懐妊の兆候は無いの?
マリアーナさんからは一度も返事が来ない。
あの子ったら。全く嫁として駄目ね。
仕方なく、あの子たちの側仕えの家臣たちにも手紙を書いた。
デーヴィットの王宮での評価はどう?
痩せてきたり体調が悪そうだったりしない?
デーヴィットとマリアーナさんは上手くやってる?
二人は寝所を共にしてる?
懐妊の兆候は?
けれどーー
今日も手紙の返事は誰からも来ない。
☆
王宮にてーー
「また王妃様からの手紙か?」
「ああ、毎日毎日、よく書くよな」
「そこの箱に入れて置いてくれ」
「読まないのか?」
「ああ、陛下の命令で放っておけってさ」
「ふーん」
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みんなの感想(39件)
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王妃様、放置。
とまとさん🍅様
感想ありがとうございます
(੭*ˊᵕˋ)੭ᵗʱᵃᵑᵏᵧₒᵤ♡
こういう方は放置がいいかなー、なんて。
(´>∀<`)ゝ))エヘヘ
本日も、こちらの世界にお邪魔しています。
鍋様のほかの世界の感想欄でも、毎回書かせていただいていることなのですが。2度目であっても、まったく色あせることはないのですよね……!
いつまでもアイティラさんたちを、眺めていたくなって。ですので今夜も、とてもよい時間を過ごすことができました……っ。
柚木ゆず様〜💐
感想ありがとうございます
(੭*ˊᵕˋ)੭ᵗʱᵃᵑᵏᵧₒᵤ♡
コメディは書いていて楽しかったけれど、甘さがもう少し欲しいなーなんて思ってます!
ゆず様も連載頑張ってください💖
応援してます
୧(`•ω•´)୨⚑゛
完結おめでとうございます。本日、最終話を拝読しました。
パーシヴァルさんは、頼りになる本当に素敵な方でして。アイティラさんはかわいらしくて、ずっと見守っていたくなる方でして。
そんなお二人による、甘々なやりとり、できごとを、じっくりと眺めさせていただきました(楽しませていただきました)。
鍋様。
素敵な方々、素敵な世界に出会えて、幸せでした……!
柚木ゆず様〜💐
感想ありがとうございます
(੭*ˊᵕˋ)੭ᵗʱᵃᵑᵏᵧₒᵤ♡
ゆず様、何本も連載していてお忙しい中、読んでいただけて嬉しいです
r⌒ヽ /⌒ヽ
|⌒ヽ>-──く/⌒ |
ヽ/ _ ヽ、ノ
`/ ●/●\● ヽ
/ ( 人 ) ヘ
| / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ |
| 士 ● o ● 士 |
し_乂γ⌒v⌒ヽメJ
(^) thanks (^)
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