薄幸の少女は鬼の花嫁となる (旧題)【R18】薄幸の少女は夜叉との淫靡な夢に溺れる

文字の大きさ
5 / 15

5.

しおりを挟む

※R18
(ほんのり)

     

翌朝、夜叉堂へ向かうが何故だか中へと入れない。
継母と男の会話を聞いて複雑な気持ちになっていた。
命が削られるのが怖い……のではないーーー
ただ、自分は知らずに皆の犠牲にされてきた。
私を一方的に虐げる彼女たちの……。

竹藪の中で少しの時間を潰して私は家へと帰った。

「蓮華、戻ったのかい。中庭の雑草が増えてきたよ。むしってきな!」

私が竹藪から戻ってきたのを確認した継母が、早速用事を言い付けてきた。それが終わると買い物を言い付ける。

『あれ、藪元さん家の上の子だよ。男に襲われたって……。』
『聞いた話じゃ、おとなしそうな顔して、男に色目を使うそうだよ。あの子の実の母親も男漁りが酷かったらしいねー。血は争えないとキヨさんが言ってたよ……。』

商店街に出ると、村の人のヒソヒソ話が耳に入る。
蔑むような視線が私の心を更に傷つける。

母から決してサボらないよう言い付けられてきた夜叉堂の掃除。
それをサボったことに後ろめたさを感じながらも、私は心のどこかで、皆が困ればいい…と思っていた。

それから数日間私は同じように竹藪で時間を過ごし、夜叉堂へは入らなかった。

やがて、引きずり込まれるような強烈な眠気に襲われた。

「どうした?蓮華?」
 
「一夜さん、一夜さん。」

縋るように彼に飛び付いた。

「どうした?また悲しい事があったのか?」

彼の胸の中では感情が剥き出しになる。
泣きじゃくり、歯が噛み合わないほどしゃくり上げながら話す私の言葉は意味を成さない。
それでも一夜さんは私を受け止めてくれた。

一夜さんは私の身体を慈しむように、優しく抱いてくれる。
身体をくまなく愛されて、今日皿を割ったせいで鞭で打たれた傷の痛みも忘れてしまう。

「蓮華、新しい傷があるね。恥ずかしがらないで、全部見せてごらん。」

全てを晒け出すことが出来た。
彼の腕の中で淫らに喘ぐ。
夢の中で、私は彼と二人きり。
全ての憂いも悲しみも今だけは考えなくてすむ。

母を殺されたことも……。
男に犯されたことも……。
虐待され身体中に醜い傷痕をつけられたことも……。

いつか……あの男に孕まされてしまうことも……。

「一夜さん、私……もう目覚めたくない……。ずっとこの夢の中に居たいの……。」

「ああ……。………蓮華……永遠に我と共に居るか?」

「一夜さん……。いいの?」

「ああ、けれど時間は永遠だ……。人のように離縁も出来ない…。……それでも……いいか?」

「一夜さんと一緒に?」

「我の伴侶となるか?人としての生は終わる。それでも良いか?」

「はい。」

「夜叉堂の奥に我は居る。札を剥がしてくれ。」

予感はしていたーーー

一夜さんは夜叉なんだと………。


※※※※※


一夜さんに札を剥がすよう言われて一週間が経ったが私はまだ剥がせずにいた。

母から決して御札を剥がさないよう小さな頃から言い聞かせられてきたせいで、迷いがあった。
相変わらず竹藪のお堂へは訪れては中に入らず帰って行った。
夢の中の一夜さんも急かすようなことは何も言わなかった。

もし、私のせいで罪のない人たちがあやかしに襲われたら……。


※※※


ある日、買い物をした帰り道、背後からヒタヒタと足音が聞こえた。
あの日の記憶が甦る。
足早に帰り道を急ぐが、足音は、ぴたりと後からついてきた。

(とうとう来た。あの男だ。今日私を拐うつもりなんだ!)

恐怖を感じて、買い物の荷物を捨て去り駆け足で逃げた。足は自然とお堂へと向かった。

「一夜さんっ!!」

50メートルほど先にお堂がある。

前に襲われた現場と同じ場所だった。
男の足音が迫ってくるのを背後に感じる。
懸命に縺れる足を動かしてお堂へと駆け込んだ。

バタン!ーーー

ドタドタドターーー

「一夜さん助けて!」

扉に貼り付けられた御札へと手を伸ばす。
指が触れピリッと軽い感触がして、御札は簡単に剥がれ落ちた。
その瞬間ーーー

「ギャーーーーー!!!」

ぐぎゅ

不気味でイヤな感じの音。
私は誰かの腕の中に抱き留められた。微かに香る白檀。

「蓮華……。」

大きな胸の中は確かに鼓動が聴こえる。
温かい生身の肉体。

「一夜さん……。」

一夜さんと抱き合っていると、血の匂いがした。

まさかーーー

振り向くと、男だった肉片が床に散乱していた。壁には血飛沫が飛び散り、凄惨な様子に言葉を無くす。

「心配するな。餓鬼たちが食べるだろう。跡形も残らない。」

餓鬼と言う言葉に、一夜さんがあやかしだったことを思い出す。

「一夜さん。」
「お前は鬼の花嫁だ。我の根城に行くぞ。」

ふわりと何かに包まれ、浮遊感を感じたと思うとすぐに地面に下ろされた。

「ここは?」

目の前には大きくて立派な城。
藪元の家の数倍はある。

「虎臥山の山頂だ。」

「こんなところに城が?」

「人には城は見えぬ。」

妖怪?のような生き物たちが城門に立っていた。
みなそれぞれに恭しく頭を下げ、一夜さんを出迎えている。

「頭領、そちらのお嬢さんは?ひっく。」

ろくろ首が首だけをにゅーっと伸ばして私に顔を近づけて目をギョロギョロと動かしている。
怖い……けど敵意は無さそう。

「ああ、俺の花嫁だ。」

「そうですか、そうですか。ひっく。では祝言の準備をいたしましょう。」

ろくろ首は首を元に戻すときびすを返して屋敷へと入って行く。
その後を美しい女性が付いて行った。真っ黒な美しい黒髪。

「綺麗……。」

思わず声が漏れると、その女性は立ち止まった。

「そうかい?ありがとね。」

後頭部に口が現れニヤーっと口角を上げた。

「っ!!」

二口女……?

いつの間にか足元に小さい禿げたお爺さんが居た。

「ワシは宗玄です。この屋敷の総括を任されております。花嫁さま、どうぞ頭領をよろしくお願いします。」

ぬらりひょん……?らしき宗玄さんも嬉しそうに私に話し掛けてきた。

言い伝えでは、もののけは人を脅かす邪悪な存在だと聞いていたけど、そんなことは無さそう……。
全体的に歓迎されているみたい。

「……っ!」

強ー烈な視線を感じて振り向くと、柱の影に一つ目小僧の目が半分見えていた。

「一夜さん……あの子……。」
「ああ、あの子は人が怖いんだ。」

一つ目小僧はずっと柱から半分身体を出して此方を見ている。

(怖いんだ……。挨拶しない方がいいみたい…。)

私は一夜さんに肩を抱かれ城へと入っていった。

しおりを挟む
感想 46

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...