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番外編④
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※R18
「シェイラぁ~!会いたかった。」
ふにゃりとした笑顔で寝室に訪れた殿下は、部屋に入るなり私をぎゅうぎゅう抱き締めた。
お酒の匂いがするし足元も覚束ない……
殿下の後ろに控えていた侍従に視線を送ると、
「騎士団の壮行会で久しぶりにお酒を飲み過ぎたようです。」と苦い顔で返された。
侍従である彼も戸惑っているみたい。
それだけ、珍しいことだった。
「殿下、ベッドに横になってくださいませ。」
「シェイラ、大好きぃーーーーっっ。」
よたよたと歩く殿下が危なっかしくて、肩を貸してベッドまで運んだ。
大の字に寝転がった殿下の傍に座ると、殿下が私のお腹にぎゅっと顔を埋めてきた。
「シェイラぁーーーーっ。ぐすっ。」
ぐすっ?
もしかして……泣いてる?
「どうしたんですか?」
殿下の髪を手で梳きながら優しく聞いてみた。傷みのない艶やかな髪は指の間をするするとこぼれ落ちる。
「騎士たちはみんな、安全祈願に恋人や妻から刺繍を入れたハンカチを貰うんだ。ちょっと羨ましくなった。俺、シェイラからプレゼント貰ったことないし……監禁してる俺が悪いんだけど……。」
ーーこの人は何を……。
一国の王太子だというのに……。
私からのプレゼントがそんなに欲しいなんて。
望めば何でも手に入るのに、こんな何にも取り柄の無い私のこと、本気で好きでいてくれる。
「ばかね……。」
酔って素直になった殿下からは何でも聞きやすい気がした。
「他に私にして欲しいことはない?」
「もっと好きって言われたい。シェイラの好きをもっといっぱい聞きたい。」
髪を梳くのが気持ち良いのか、殿下は今にも寝てしまいそう。
私は身を屈めて殿下の耳に「好きよ。」と小さく囁いた。
安らかな寝顔。髭の剃り跡すらない滑らかな頬。
いっぱい言って欲しいというリクエストに応えて、繰り返す。
「リック好きよ。リックだけが好き。」
無防備な殿下の寝顔を見ていたら、愛しさが溢れだして、そっと唇を寄せて髪にキスを落とした。
その時、急に殿下の目がパチリと開きムクッと起き上がると、驚いている私をベッドに押し倒した。
「リ、リック、起きてたの?」
「寝てたけどシェイラの声が聞こえた。好きって言った?」
「え、ええ。」
「ははっ、嬉しいな。シェイラ、今夜は寝かさないよ。」
あれ?
さっきまでの可愛い殿下はどこに?
殿下はニヤリと不敵な笑みを浮かべると、私の耳朶を食むように口づけてきた。
「んっ……。」
耳の中に舌を差し込まれると、くちゅくちゅとした湿った音が耳の中で響く。
「はぁ……リック……。」
「シェイラ、いっぱい感じて……。君の身体は俺のものだ……。」
殿下はいつもみたいに焦らさない。濡れそぼった秘所に指を挿れ、ぬちゅぬちゅと掻き回し、私の感じるところだけを的確に責めてくる。私を確実に高みへと押し上げるために。
「ぁ……あっ……い、いくぅーーーーっ!!」
「ふふっ……シェイラはここが感じやすいよね……。」
こんな風にされると、私の全てを彼に知られていると深く実感してしまう。
その馴れた指で、舌で、私を確実に追い詰める。恥ずかしいのに、この身体は殿下専用みたいに開発されてしまった。彼に与えられる刺激は何もかもが気持ち良いことを知っている。
やがて殿下が服を脱ぐ頃には、秘壺はひくひくと蠢いて彼の剛直が肉襞を開いてくれるのを待っていた。
「リック、お願い…………っ!」
「ああ、シェイラ……。もうトロトロだ……。」
私を横に向けると足を高く持ち上げたまま一気に奥まで突き挿れる。
「あぁーーーーっっ!!」
ぶちゅんと彼の剛直を迎える淫らな音。膣奥に当たった瞬間走る稲妻のような衝撃。痙攣するように身体が大きく揺れた。
待ち望んでいた彼の肉欲で、満たされ同時に深く果てる。
「うっ……シェイラ、……すごいよ……。絞り取られる……はっ。」
やがて、今度はさざ波のような甘い痺れが全身を伝う。
くちゅりくちゅりと愛蜜を混ぜるような腰遣い。膣襞が抉られ、睦奥が潰される。
「……はぁ……はぁ……リック……いい……。」
「くっ……俺もあんまりもちそうにないな……。」
殿下が腰を早める。出し挿れされるたび、雁首が引っ掛かって甘い愉悦が湧きあがる。
「あっ……あっ……リックゥ……あああーーーーっ!!」
「ああ、シェイラ……愛してる……愛してるよ……はっ!」
果てた殿下はそのまま、私の上にのし掛かり、「シェイラ、シェイラ……。」と甘えたような声で呟く。
その声色はやっぱりいつもの殿下らしくなくて……。
まだ酔っているのかしら?
そう思いながら、何とか顔を横に向けて殿下を見ると目が潤んでいるのが見えた。
泣き上戸……なのかしら?
いつも見せないそんな姿に愛しさが募る。私はそんな彼を見つめながら、刺繍を習うことを決心した。
じんわりとした幸福感が私を満たす。
翌朝になると、彼は夜のことは覚えていなかった。泥酔していたのだろう。
私は殿下に内緒で侍女に刺繍を教わり、半年後なんとか一枚だけ王太子を示す紋章を施したハンカチが完成した。
私にしては頑張ったほうだと思う。
細かい作業は大変で、何度も諦めそうになったけどなんとか一枚だけ作って殿下に渡した。
「殿下、はじめて刺繍を刺したので、不恰好かもしれませんが、受け取ってくださいませ。」
そう言って殿下にハンカチを贈った時、彼の顔に喜びがじわじわと広がっていくのが分かった。
意地悪だったり、クールな時が多い殿下のその表情はとても印象的で……。
半年もかかった刺繍。
もう二度と刺すもんかって思ったけど……。
半年後ボロボロになり薄汚れるまで繰り返し使ったハンカチを発見して、私はまた刺繍を刺しはじめたのだった。
「シェイラぁ~!会いたかった。」
ふにゃりとした笑顔で寝室に訪れた殿下は、部屋に入るなり私をぎゅうぎゅう抱き締めた。
お酒の匂いがするし足元も覚束ない……
殿下の後ろに控えていた侍従に視線を送ると、
「騎士団の壮行会で久しぶりにお酒を飲み過ぎたようです。」と苦い顔で返された。
侍従である彼も戸惑っているみたい。
それだけ、珍しいことだった。
「殿下、ベッドに横になってくださいませ。」
「シェイラ、大好きぃーーーーっっ。」
よたよたと歩く殿下が危なっかしくて、肩を貸してベッドまで運んだ。
大の字に寝転がった殿下の傍に座ると、殿下が私のお腹にぎゅっと顔を埋めてきた。
「シェイラぁーーーーっ。ぐすっ。」
ぐすっ?
もしかして……泣いてる?
「どうしたんですか?」
殿下の髪を手で梳きながら優しく聞いてみた。傷みのない艶やかな髪は指の間をするするとこぼれ落ちる。
「騎士たちはみんな、安全祈願に恋人や妻から刺繍を入れたハンカチを貰うんだ。ちょっと羨ましくなった。俺、シェイラからプレゼント貰ったことないし……監禁してる俺が悪いんだけど……。」
ーーこの人は何を……。
一国の王太子だというのに……。
私からのプレゼントがそんなに欲しいなんて。
望めば何でも手に入るのに、こんな何にも取り柄の無い私のこと、本気で好きでいてくれる。
「ばかね……。」
酔って素直になった殿下からは何でも聞きやすい気がした。
「他に私にして欲しいことはない?」
「もっと好きって言われたい。シェイラの好きをもっといっぱい聞きたい。」
髪を梳くのが気持ち良いのか、殿下は今にも寝てしまいそう。
私は身を屈めて殿下の耳に「好きよ。」と小さく囁いた。
安らかな寝顔。髭の剃り跡すらない滑らかな頬。
いっぱい言って欲しいというリクエストに応えて、繰り返す。
「リック好きよ。リックだけが好き。」
無防備な殿下の寝顔を見ていたら、愛しさが溢れだして、そっと唇を寄せて髪にキスを落とした。
その時、急に殿下の目がパチリと開きムクッと起き上がると、驚いている私をベッドに押し倒した。
「リ、リック、起きてたの?」
「寝てたけどシェイラの声が聞こえた。好きって言った?」
「え、ええ。」
「ははっ、嬉しいな。シェイラ、今夜は寝かさないよ。」
あれ?
さっきまでの可愛い殿下はどこに?
殿下はニヤリと不敵な笑みを浮かべると、私の耳朶を食むように口づけてきた。
「んっ……。」
耳の中に舌を差し込まれると、くちゅくちゅとした湿った音が耳の中で響く。
「はぁ……リック……。」
「シェイラ、いっぱい感じて……。君の身体は俺のものだ……。」
殿下はいつもみたいに焦らさない。濡れそぼった秘所に指を挿れ、ぬちゅぬちゅと掻き回し、私の感じるところだけを的確に責めてくる。私を確実に高みへと押し上げるために。
「ぁ……あっ……い、いくぅーーーーっ!!」
「ふふっ……シェイラはここが感じやすいよね……。」
こんな風にされると、私の全てを彼に知られていると深く実感してしまう。
その馴れた指で、舌で、私を確実に追い詰める。恥ずかしいのに、この身体は殿下専用みたいに開発されてしまった。彼に与えられる刺激は何もかもが気持ち良いことを知っている。
やがて殿下が服を脱ぐ頃には、秘壺はひくひくと蠢いて彼の剛直が肉襞を開いてくれるのを待っていた。
「リック、お願い…………っ!」
「ああ、シェイラ……。もうトロトロだ……。」
私を横に向けると足を高く持ち上げたまま一気に奥まで突き挿れる。
「あぁーーーーっっ!!」
ぶちゅんと彼の剛直を迎える淫らな音。膣奥に当たった瞬間走る稲妻のような衝撃。痙攣するように身体が大きく揺れた。
待ち望んでいた彼の肉欲で、満たされ同時に深く果てる。
「うっ……シェイラ、……すごいよ……。絞り取られる……はっ。」
やがて、今度はさざ波のような甘い痺れが全身を伝う。
くちゅりくちゅりと愛蜜を混ぜるような腰遣い。膣襞が抉られ、睦奥が潰される。
「……はぁ……はぁ……リック……いい……。」
「くっ……俺もあんまりもちそうにないな……。」
殿下が腰を早める。出し挿れされるたび、雁首が引っ掛かって甘い愉悦が湧きあがる。
「あっ……あっ……リックゥ……あああーーーーっ!!」
「ああ、シェイラ……愛してる……愛してるよ……はっ!」
果てた殿下はそのまま、私の上にのし掛かり、「シェイラ、シェイラ……。」と甘えたような声で呟く。
その声色はやっぱりいつもの殿下らしくなくて……。
まだ酔っているのかしら?
そう思いながら、何とか顔を横に向けて殿下を見ると目が潤んでいるのが見えた。
泣き上戸……なのかしら?
いつも見せないそんな姿に愛しさが募る。私はそんな彼を見つめながら、刺繍を習うことを決心した。
じんわりとした幸福感が私を満たす。
翌朝になると、彼は夜のことは覚えていなかった。泥酔していたのだろう。
私は殿下に内緒で侍女に刺繍を教わり、半年後なんとか一枚だけ王太子を示す紋章を施したハンカチが完成した。
私にしては頑張ったほうだと思う。
細かい作業は大変で、何度も諦めそうになったけどなんとか一枚だけ作って殿下に渡した。
「殿下、はじめて刺繍を刺したので、不恰好かもしれませんが、受け取ってくださいませ。」
そう言って殿下にハンカチを贈った時、彼の顔に喜びがじわじわと広がっていくのが分かった。
意地悪だったり、クールな時が多い殿下のその表情はとても印象的で……。
半年もかかった刺繍。
もう二度と刺すもんかって思ったけど……。
半年後ボロボロになり薄汚れるまで繰り返し使ったハンカチを発見して、私はまた刺繍を刺しはじめたのだった。
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退会済ユーザのコメントです
キリカワ ルカ様
感想ありがとうございます
·˖✶ᵗʱᵃᵑᵏᵧₒᵤ𖤐.*゚
このお話も読んでいただけて、嬉しいです。
意外と健気です( ,,-`_´-)੭ੇ৸੭ੇ৸
退会済ユーザのコメントです
maro様~🌺
感想ありがとうございます💐
このお話はもっと暗いお話になる予定だったのに💦
後はアブノーマルプレイでも書こうかと……💧
今回のエピソードが一番好きかも〜。
なまけものシェイラが刺繍したハンカチ、そりゃあ肌身離さず持っちゃうよね。
陛下、良かったねぇ。
どんどん枚数が増えていくと良いね。
田沢みん様~🌺
感想ありがとうございます💐
結局ラブラブしちゃいました💦
怠惰なヒロインにお付き合いいただきありがとうございました(///ω///)♪