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トーイ視点
俺には小さな頃から大好きで大好きでたまらない人がいる。
今は弟同然にしか思われてないけど、カッコいい男に成長して姉ちゃんを堕としてみせる!!
ある日俺は神官長の予言で勇者だと言われた。
(そんなの知るかっ!)
って思ったけど、仕方が無いので命令に従って魔王討伐の旅に出た。
この世界はアイ姉ちゃんの住む世界でもあるんだ。
確かに伝説の武具は俺にピッタリで俺はメキメキと強くなった。
(アイ姉ちゃん、俺を見直してくれるかな?魔王倒したんだからカッコいいって褒めて欲しいよなー。)
王城なんて素通りだ。
俺は陛下への帰還の挨拶が終わった後、用意された部屋を抜け出してアイ姉ちゃんの家へ一目散に駆けつけた。
アイ姉ちゃんの両親は旅に出る前に流行り病で亡くなってしまった。そんな姉ちゃんを置いて行くのが心配だったけど、彼女は刺繍の腕が凄くて一人で生活出来るだけの収入は充分にあった。
両親が残した家もあるし、近所は良い人ばかりだ。
ただアイ姉ちゃんは美人だし、恋人が出来たり、結婚してしまわないか心配だった。
★★★
久しぶりに会ったアイ姉ちゃんは女盛りでますます綺麗になっていた。
彼女の家は懐かしい匂い。
毎日この家でおやつを貰った事を思い出す。
部屋の中を見回しても男の気配は無いことに安心した。
お土産を渡して自分の好物をリクエストする。
何だかアイ姉ちゃんの夫になったようなささやかな贅沢気分。
眉をへにょりと下げて俺を見る。
顔に(しょうがないなー。)って書いてあるけど、それでも俺の我が儘をきいてくれる。
(アイ姉ちゃんにカッコいいって言われなかったなぁー。そろそろ姉ちゃん呼びも卒業したい。いきなりアイって呼んだら怒るかな?)
姉ちゃんが俺の為にメシを作ってくれるのが嬉しい。
キッチンに立つ大好きな人の後ろ姿を見ながら俺は顔がにやけるのを抑えられなかった。
ーーコンコンコン
俺の幸せを邪魔するノックの音
アイ姉ちゃんが作業を中断して玄関にパタパタと走っていった。
「…………すか?」
「………。」
男の話し声。
まさかー
アイ姉ちゃん恋人がいるのか?
俺が玄関に出ていくと王城からの兵士だった。
(こいつら、デカイ図体して姉ちゃん取り囲んで。姉ちゃんが怯えてるっ!離れろっ!)
王城の兵士は俺を探しに来ていた。
(何だよ。宴よりも俺は姉ちゃんの唐揚げが食いたいのに……。祝いたいならそっとしておいてくれよ!)
それでもアイ姉ちゃんに説得されて俺は兵士に連れられ王城へと向かった。
「どうしてここが?」
「宴に出席されているご両親が、きっとここだろうと。」
両親は俺がアイ姉ちゃんの家に通っていたのを知っていた。
俺を虐げていた大嫌いな奴ら。
俺が勇者に選ばれるまで放置していた癖に、勇者になった途端態度を変えた。
あんな両親よりも俺が信頼出来るのは姉ちゃんだけだ。
俺は渋々王城へと赴いた。
俺には小さな頃から大好きで大好きでたまらない人がいる。
今は弟同然にしか思われてないけど、カッコいい男に成長して姉ちゃんを堕としてみせる!!
ある日俺は神官長の予言で勇者だと言われた。
(そんなの知るかっ!)
って思ったけど、仕方が無いので命令に従って魔王討伐の旅に出た。
この世界はアイ姉ちゃんの住む世界でもあるんだ。
確かに伝説の武具は俺にピッタリで俺はメキメキと強くなった。
(アイ姉ちゃん、俺を見直してくれるかな?魔王倒したんだからカッコいいって褒めて欲しいよなー。)
王城なんて素通りだ。
俺は陛下への帰還の挨拶が終わった後、用意された部屋を抜け出してアイ姉ちゃんの家へ一目散に駆けつけた。
アイ姉ちゃんの両親は旅に出る前に流行り病で亡くなってしまった。そんな姉ちゃんを置いて行くのが心配だったけど、彼女は刺繍の腕が凄くて一人で生活出来るだけの収入は充分にあった。
両親が残した家もあるし、近所は良い人ばかりだ。
ただアイ姉ちゃんは美人だし、恋人が出来たり、結婚してしまわないか心配だった。
★★★
久しぶりに会ったアイ姉ちゃんは女盛りでますます綺麗になっていた。
彼女の家は懐かしい匂い。
毎日この家でおやつを貰った事を思い出す。
部屋の中を見回しても男の気配は無いことに安心した。
お土産を渡して自分の好物をリクエストする。
何だかアイ姉ちゃんの夫になったようなささやかな贅沢気分。
眉をへにょりと下げて俺を見る。
顔に(しょうがないなー。)って書いてあるけど、それでも俺の我が儘をきいてくれる。
(アイ姉ちゃんにカッコいいって言われなかったなぁー。そろそろ姉ちゃん呼びも卒業したい。いきなりアイって呼んだら怒るかな?)
姉ちゃんが俺の為にメシを作ってくれるのが嬉しい。
キッチンに立つ大好きな人の後ろ姿を見ながら俺は顔がにやけるのを抑えられなかった。
ーーコンコンコン
俺の幸せを邪魔するノックの音
アイ姉ちゃんが作業を中断して玄関にパタパタと走っていった。
「…………すか?」
「………。」
男の話し声。
まさかー
アイ姉ちゃん恋人がいるのか?
俺が玄関に出ていくと王城からの兵士だった。
(こいつら、デカイ図体して姉ちゃん取り囲んで。姉ちゃんが怯えてるっ!離れろっ!)
王城の兵士は俺を探しに来ていた。
(何だよ。宴よりも俺は姉ちゃんの唐揚げが食いたいのに……。祝いたいならそっとしておいてくれよ!)
それでもアイ姉ちゃんに説得されて俺は兵士に連れられ王城へと向かった。
「どうしてここが?」
「宴に出席されているご両親が、きっとここだろうと。」
両親は俺がアイ姉ちゃんの家に通っていたのを知っていた。
俺を虐げていた大嫌いな奴ら。
俺が勇者に選ばれるまで放置していた癖に、勇者になった途端態度を変えた。
あんな両親よりも俺が信頼出来るのは姉ちゃんだけだ。
俺は渋々王城へと赴いた。
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