幼馴染が勇者となって帰ってきました。

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「トーイよ。昨夜は良く眠れたか?」

俺がおとなしく朝食の席に着くのを見て陛下はにこやかに話し掛けてきた。
昨夜の無礼な態度など、忘れたかのような態度だ……。

「はい。綺麗な部屋を用意してくださりありがとうございます。ぐっすりと休みました。」  

陛下は鷹揚に頷く。
一晩拘束され、俺が反省したと思ったのだろう。
陛下は自分の斜め前に座っている華美に着飾った王女を紹介した。

「うむ。トーイ、私の娘のマルガリーゼだ。これから一緒に過ごして交流を深めて欲しい。」

俺はちらりと王女を一瞥して、陛下へと視線を戻す。

「俺に結婚しないという選択肢はないんですか?」

「ふむ。君の両親から聞いている。アイサと言う女性に君は入れあげているらしいな。」

俺を真っ直ぐ見据える陛下の目に不穏な影が混じる。

「彼女の身の安全を考えるなら逆らわん方がよい。分かるな?」

(俺を脅しているのか?)

俺を脅迫してまで俺との婚姻を望んでいるのか?
王女なんてどっかの貴族と結婚すればいいのに……。俺との結婚を無理に進める理由は何なんだ?

姉ちゃんの家はバレている。早く姉ちゃんの安全を確認したい。
けど。

(俺が言うことを聞かないと姉ちゃんが危ないのか……。)

「はい。」

笑顔を作るなんて出来ず、無表情で頷くので精一杯だった。

★★★

「……。」

マルガリーゼ様のティータイムに付き合わされていた。
彼女は何か話し掛けてくるけど、俺は姉ちゃんの事が心配でそれどころじゃ無かった。

「トーイ様は甘い食べ物はお好きですか?」

「いや。好きじゃない。」

「お好きな食べ物はなんですの?」

「獅子肉の唐揚げ。」

「では、夕食に用意するようシェフに伝えますね。」

「王宮のシェフが作ったヤツが好きなわけじゃない。」

「そうですか……。」

俺の無愛想な態度にも腹を立てずに、王女様気味が悪いほどにっこりと微笑んでいる。

「私との婚約はご不満ですか?」 

王女様がこの婚姻を拒否すれば、陛下だって無理強いしないだろう。
俺は彼女を説得しようと試みた。

「王女様だって俺みたいな平民と結婚するなんて嫌だろう?」

「いえ、わたくしは世界を救った勇者様に添うことが出来ることを誇らしく思います。」

「俺は別に好きな人がいるんだ。他の女を好きな男なんて……。」

「ああ、両親を亡くして独り暮らしとかいう平民の女性……。」

彼女の声にはハッキリと侮蔑の響きが含まれていた。

「父上から聞いておりますが……もうお立場が違います。弁えてくださいませ。貴方はもうわたくしの正式な婚約者なのですから……。」

「弁えるって何だよ?」

「愛人にしても平民の女性が相手など………。わたくしの世評に関わりますわ。婚約者を満足させられない女などという謗りを受けるのは困ります。もう婚約は発表してしまっているのです。」

「知るかよ。横入りしてきたのはお前らだろう?お前なんかで勃つかよっ!」

俺のあまりの言葉にその場に居た侍女や護衛達は固まってしまった。

「そうですね。トーイ様にはご自分の立場というものをしっかりと理解して貰う事が必要のようですね。」

マルガリーゼは諦めたのか、スッと席を立つと俺をその場に残して去っていった。

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