海が囁く誓い ー冤罪で島流しになった令嬢は、初恋王子と戀に堕ちるー

まめなちゅせん

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揺れる馬車と恋心*

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 扉が閉まる乾いた音と同時に、エリザベスは柔らかい座席に押し込められた。
 舞踏会の余韻に酔いしれた広間から逃れるように足早に去ったのは、他でもないエドワードの判断だった。けれど、あの瞳に宿っていた烈しい炎を思えば、理性の働きよりも激情の方が勝っていたに違いない。

 馬車が動き出すと、厚い帳が降ろされ、世界は二人きりになった。
 疲労の重みで背を凭れに預けようとした瞬間、視界が覆われる。

 唇が、奪われた。

「……んっ……! エドワ……さっ」

 抗議の声は甘い吐息にかき消され、舌先が強引に差し入れられる。
 深く、貪るような口づけ。いつもは優雅で整然とした彼の動きが、今は獣のように荒々しい。

 胸が苦しいほどに口を塞がれ、酸素を求めて喉が震える。
 けれど逃げられない。彼の手はエリザベスの顎を掴み、わずかな退路すら与えてくれなかった。

(……怖い……でも、それ以上に……熱い……)

 背筋を這い上がる火照り。舞踏会で彼が誰よりも冷静に見えたのは仮初めだったのだ。
 嫉妬を隠し、笑みを繕い、エリザベスを見守っていた。その分すべてが今、この場に噴き出している。

 舌を絡められるたびに、甘さと苦さが混じった熱が喉を流れ込み、身体の芯を痺れさせる。
 吐息が漏れると、さらに深く追い立てられ、肺まで彼に侵されてしまいそうだった。

 唇を解放されたとき、エリザベスは荒く肩を上下させていた。
 涙に濡れた視界の中で、エドワードの顔は影に沈み、瞳だけが暗く煌めいている。

「……殿下と踊る君を見ている間、私はどれほど気が狂いそうだったと思う?」

 低く、喉を震わせる声。
 吐き捨てるというより、耐えきれず零れ落ちた本音。

 言葉を返そうとする前に、彼の手がドレスの上から腿を強く掴んだ。

「……エドワード様……っ、だめ……ここは……」

「ここだからいいんだ。誰にも見せない。誰にも触れさせない。君は……私のものだ」

 熱を帯びた掌が、布越しに肌を撫でる。
 広間で見せた冷静さとは真逆。まるで嫉妬の刃を研ぎ澄ませるように、エドワードはエリザベスを責め立ててくる。

 馬車の揺れに合わせて身体が軋み、腰が座席に押し付けられる。
 肩口へ落ちてくる口づけは止まらず、白い肌に火傷のような跡を残していった。

(いや……だめ……っ、誰かに見られたら……でも……)

 羞恥と快感がせめぎ合い、思考がどろどろに溶かされていく。
 胸元に伸びた指先が、布の上から強く揉みしだくたび、喉の奥からか細い声が漏れてしまう。

「もっと……声を出せ。さっきまで笑顔を繕っていた分、今は全部、私にだけ晒せ」

「ん……っ、あぁ……っ……!」

 命じるように囁きながら、エドワードはエリザベスの反応を一つも逃さない。
 まるで舞踏会での彼のリードを思わせる的確さ。けれど、これは舞踏ではなく、欲望の舞。

「っは、んん!」

 強引に奪われる唇。
 まるで口移しで命を与えられるように、息を吸うことさえ許されない。

 舌を絡められ、喉の奥まで侵されるたび、ただ彼に溺れていった。
 舞踏会で微笑みを絶やさずにいたエリザベスの仮面を、エドワードは一瞬で剥ぎ取ってしまったのだ。

「君が微笑むたび……殿下の視線が注がれるたび……胸が灼けた」

 耳元で囁く声は、低く湿って熱い。
 吐息が頬を撫でるだけで震えが走り、心臓が跳ね上がる。

「エリザベス。私の婚約者だと知らしめるためなら……今すぐ、この場で痕を刻んでやりたい」

「だ……だめ……っあ!」

 震える声を無視して、彼は首筋に唇を押し付ける。
 じゅ、と湿った音を立てて吸い上げられ、そこに熱い疼きが刻まれる。
 痕が残る――そう悟った瞬間、羞恥で全身が熱くなった。

「……っあ、や……そこは……っ」

 胸元にかかる布を指先で押し広げられ、敏感な先端を指が擦る。
 ドレス越しでもはっきりと感じるほど、愛撫は容赦がなかった。
 くたりと背もたれに沈み込む彼女を、彼は上から覆いかぶさる。

 逃げ場など、最初から存在しない。

「君の声は……私だけのものだ」

 囁きと同時に強く揉みしだかれ、喉の奥から甘い悲鳴が零れた。
 快感が胸から全身に広がり、腰が勝手に浮き上がってしまう。

(……どうして……こんなに……)

 彼に触れられるだけで、舞踏会で纏った誇りも気高さも、すべてが剥ぎ取られていく。
 理性より先に身体が反応し、蕩けてしまう。

「殿下に微笑んでは、だめ……でしたか?」

 その問いに、エドワードの声が耳に突き刺さる。
 痛いほどに冷たく、けれど熱情を孕んだ声。

「わかっている……わかっているのに……嫉妬でどうにかなりそうだった」

 その言葉が、胸を締めつけた。
 彼が嫉妬で狂いそうになるほど、わたくしを――?

「エドワード……ごめんなさい……」

 涙混じりに呟いた瞬間、唇をもう一度塞がれる。
 謝罪の言葉など不要だと言わんばかりに、彼はさらに深く口づけを重ねた。

「ん、ふ……んんっ!?」

 荒い吐息の合間、彼の手は胸元からさらに下へと滑っていった。
 布地の上から太腿を撫で上げられ、思わず脚が震える。

「やぁ……そこは……っ」

 必死に閉じた膝を、彼の強い手が押し広げる。
 抗う力など最初から存在しない。
 彼女の意思よりも早く、身体は熱に溶かされていく。

「……濡れているな」

 囁かれた言葉に、羞恥で顔が一瞬で火照った。
 彼の指先が布越しに敏感な部分を押さえた瞬間、声が漏れてしまう。

「っあ、だ……め……エドワード様、だめぇ……!」

「……だめじゃない。君はもう、こんなに求めているじゃないか」

 ぬら、と布越しに指を滑らされただけで、腰が勝手に跳ね上がった。
 理性では否定しても、身体は彼の言葉を肯定してしまう。
 何度も、何度も同じ場所を擦られ、頭が真っ白になる。

(……っいや……どうして……こんな……)

 背筋を貫く快感に耐え切れず、小さく悲鳴をあげた。
 その瞬間、全身が痙攣し、視界が白く弾け飛ぶ。

「……っ、あぁ……!」

 絶頂に達したエリザベスを、エドワードは獲物を抱きしめるように抱き寄せた。
 まだ震えが止まらない身体を、彼の熱がさらに追い詰める。

「可愛い声だ。殿下にも、誰にも聞かせたくない。私だけに……私だけに聞かせろ」

 囁きと同時に、今度は下着の中へ直接指が滑り込む。
 生々しい音が馬車の中に響き、羞恥と快楽が絡み合う。
 敏感な部分を優しくなぞられるたび、再び甘い痙攣が全身を駆け巡った。

「……もう、一度……いや、何度でもイけ」

「っあ、だめ……そんな、もう……無理……っ」

 けれど、容赦はなかった。
 胸を強く揉みしだかれながら、下では指が的確に弱点を探り当てる。
 何度も、何度も絶頂へ追い込まれ、息が続かない。
 馬車の小さな空間に、彼女の声と水音だけが響いた。

「エドワード……お願いっ……もう、許してぇ……」

 泣きそうに縋る声さえ、彼の嫉妬をさらに煽るだけだった。
 獲物を離さない獣のように、彼は耳を噛み、唇を貪る。

「……君を嫉妬で泣かせたかったはずなのに……結局、泣かされているのは私だ」

 その声に胸が痛んだ。
 彼がどれほど嫉妬に苛まれていたのかを、今さらながらに悟る。
 だからエリザベスは、震える腕で彼を抱きしめ返した。

「……わたしは、あなたのものですわ。未来の旦那様?」

 囁くと、彼の瞳が一瞬だけ揺らいだ。
 次の瞬間、唇を塞がれ、さらに深く舌を絡め取られる。

 やがて、彼の熱が下腹部に押し付けられるのを感じた。
 硬く、熱い。
 布越しでも、その存在ははっきりとわかる。

「……今すぐ、貫きたい」

 低い唸り声のような囁きに、全身が震えた。
 けれど彼は、ギリギリのところで踏みとどまる。

「だが……今は、ここまでだ」

 熱を下着の上から押し当てられ、腰を擦り付けられる。
 生々しい摩擦が生じ、敏感な部分が擦り上げられて快感が迸る。

「っあ、や……それ……っ」

 布越しの素股。
 挿入されていないのに、擦り合わされるたびに頭が真っ白になり、何度も波が押し寄せた。

「……エリザベス。私以外に、この顔を見せるな」

 何度も絶頂に追い込まれ、力なく彼に縋るしかない。
 快感に痙攣する身体を抱きしめながら、彼は低く囁いた。

「お前を誰よりも愛している。だから、誰にも渡さない」

 その独占欲に満ちた言葉が、甘く胸を貫いた。

 やがて彼は深く息を吐き、彼女の額に口づけを落とす。
 荒い呼吸が少しずつ落ち着いていく。

 馬車の中には、まだ互いの熱が色濃く残っていた。
 けれどその夜、彼はあえて最後の一線を越えず、婚約者を抱き締めながら瞼を閉じた。

 嫉妬と独占欲に駆られた彼の熱情。
 それに翻弄され、何度も甘い波に溺れた私。

 けれど最後に残ったのは――
 彼の腕の中に守られている、確かな安心感だった。
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