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ハルと電話で相談し、引っ越しは六月二十六日(月)に決まった。
様々な準備を行いつつ迎えた転居三日前。
手続きのためファミリアの事務所へ出向くと、爽やかな営業スマイルに出迎えられた。必要事項を記入した契約書と住民票をハルに提出する。
「お仕事はどうされる予定ですか?」
「引っ越しを決めてすぐバイト先に退職相談して。それから二週間で辞めることになって、ちょうど昨日付で終わりました。この近くで新しいバイトを探すつもり」
「それならば、こちらでも協力できますよ」
異彩を隠して日常生活を送っている者もいれば、外での生活に支障をきたすタイプの異彩もある――後者の場合、一般企業では働きにくい場合が多い。そのため、住人向けに仕事の斡旋を行っているそうだ。
「じゃあ適当にピックアップしてもらえますか? 接客業以外で」
「ではのちほどプリントアウトしてお渡ししますね。それから、入居者様向けの相談窓口もお伝えしておきます」
電話番号とメールアドレスの記されたハガキを受け取る。
《雑談・相談事などお気軽にどうぞ》と書かれているが、管理側の人間はハルしか知らない。他のスタッフはいないのだろうか。
「全住人相手に管理人さん一人で対応してるんですか?」
「基本的には。妹が対応する場合もあります」
「へぇ、妹がいるんだ」
「はい。妹の名はユイカ。僕の部屋の隣、二〇二号室に住んでいます。二〇三号室には叔父が住んでいます」
「二人にも挨拶した方がいいですか?」
「他の住人の皆さまと同じく、あえて顔を合わせる必要はないですよ。ただ、相談窓口用のスマホ――皆さまの連絡先と異彩情報は三人で共有させていただいておりますのでご了承ください」
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