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しおりを挟む「そういや、あたしは自己紹介してないですけど。ユイカさんは異彩まで見抜いてるんですよね?」
「はい。悪意を持って心を覗いたわけではないので、ご容赦いただければと。この力を日常的に使うこともありませんから」
「心の声を閉ざしたり開放したり……コントロール可能ってこと?」
「そうです。住人の皆さまの心を読むのも、わたしの異彩についてご理解いただくまで。その後は基本的に閉ざしています。そうするよう、兄さまからも厳しく言われていますから」
可愛らしい声で強く言い切ったユイカに「そう」と返す。
彼女は小さく笑み、リンゴジュースに口を付けた。ハルと同じく綺麗な顔立ちだが、あまり似ていない気がする。メイクの影響だろうか。
「ユイカさんってハーフっぽい顔ですね」
「美容整形しているんです。可愛いものが大好きなので、自分も可愛くなりたくて……。兄さまは『今のままでも充分だ』と言って反対したんですけど」
ルックスも服も、声も仕草も可愛いユイカ。ファミリアの住人でなければ接点を持つことさえなかっただろう――などと考えながら見つめていると、彼女は困ったように眉を寄せた。
「わたしみたいな女の子は苦手ですか?」
「あたしがどう思ってるか読み取ってるんでしょ?」
「自己紹介が終わった時点で、心の声は閉ざしていますよ」
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