異分子マンション

カナデ

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 話を聞かせてくれたことにお礼を告げると、シュンスケは「アリガトはこっちのセリフだよ」と言いながら腰を上げた。
 彼が隣室へ帰るついでにあたしも部屋を出る。
 これからバイト先に戻らなければならない――ロッカーの中にスケジュール手帳を置いてきてしまったからだ。

 明日は土曜。
 あたし自身は休日だが、ラベル貼りを行っている物流工場は年中無休で動いている。
 手帳には他人に見られたくない書き込みもあるため、誰かが手に取る可能性がある以上、今日中に取りに行かなければと考えていた。シュンスケとの再会で忘れかけていたが。

 バイト先へ向かう前に、シュンスケのことをハルに話しておこう。
 エレベーターで一階フロアに下り、事務所のドアをノックして開けた。パソコンの前に座っているハルに歩み寄りつつ「シュンスケが戻ってきたね」と声を掛ける。

「僕は大方の事情を伺いました。リツコさんは?」

「さっき聞かせてもらったとこ」

「そうでしたか。では僕からお伝えすることもありませんね」

 ハルは仕事にキリをつけるところだったらしく、一緒に事務所を出た。
 彼と逆方向へ歩き出そうとしたところで呼び止められる。

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